2016年09月05日

ヒルデガルトゆかりの料理とワインの集いの様子と感想です

日本にあるドイツ料理のレストランとしては最も有名で最初に名前の出てくる六本木一丁目のツム・アインホルンで会を開催しました。こちらでは一年半前に一度食事会をやらせてもらっていますが、今回はその時とはテーマが違い趣の異なる会となりました。
ツム・アインホルンの野田シェフはヒルデガルト・フォン・ビンゲンHildegard von Bingen(11世紀の修道女でさまざまな分野に影響を残した女性)のハーブを使った料理に興味を持っていて「ドイツ修道院のハーブ料理」という本も刊行しています。ヴァインベルクで輸入することとなったリューデスハイムのビショッフリッヒェス・リューデスハイムがヒルデガルトの建てた教会に醸造所を併設しているということもあり、ヒルデガルトのことを勉強しました。その中でツム・アインホルンでヒルデガルトをテーマにした会をできないかと打診したところ快く引き受けてくださったので、6月にドイツに行った時にヒルデガルトで造っているワインも入手しそれらとヴァインベルクで輸入しているリューデスハイムの醸造所のワインとヒルデガルトに関連する料理での食事会をすることとなりました。ヒルデガルトの修道院を訪れた時の様子はこちらをごらんください。


IMG_0725.jpg

まずはヒルデガルトについて野田シェフからの解説がありました。修道士たちの食生活をただす、健康を気遣うためにハーブ料理のレシピを多く開発したことなどをお話しいただきました。その当時はじゃがいもやトマトはなかったということも言われてみればそうだなと思いました。じゃがいもはアメリカ大陸からやってきたものなので。ドイツ料理なのにじゃがいもがない料理なのです。


IMG_0726.jpg

タルトにはトマトが入っていたり川魚ではなくメバルだったりと当時の料理の完全再現ということではなく、ハーブなどによる味付けなどヒルデガルトのレシピとはどういった系統のものかという雰囲気がわかりつつ、現代においしく食べられる料理、といったメニューです。事前にどういったワインを提供するかということを話して、野田シェフに料理の構成を考えていただきました。お話を聞きながらのゼクト以外のワインと料理を一種類ずつ合わせていく形となりました。


IMG_0732.jpg

料理が出たときなどに野田シェフからハーブや食材の解説をしていただきました。
僕も調理されていない根セロリは初めて見ました。


IMG_0735.jpg

こういったハーブの香りをかいだりなめたりしました。紅茶で使われているようなものや胃腸薬おような苦味のあるベルトラムなど面白い体験でした。


IMG_0747.jpg

提供したワインです。
②ヒルデガルト リースリング トロッケン
③ヒルデガルト リースリング シュペートレーゼ ファインヘルプ Sanctus
⑥ヒルデガルト リースリング シュペートレーゼ Scivias

当初は6種類の予定だったのですが予備として用意していたもう一種類のシュペートレーゼも提供しました。
ヒルデガルト以外のワインはヴァインベルクで販売しているので各ワインの紹介のページへリンクを貼ってあります。
ヒルデガルトのワインは全て2015年産です。他のヴィンテージも試飲したのですが、気にいったものが結果的に2015年産となりました。2番のラベルのものとヒルデガルトのシンボルをラベルにしているものの2種類の系統があり、後者はシュペートレーゼクラスのぶどうを使用していてワイン名にはヒルデガルトにまつわる単語が使われています。⑥のワイン名になっているSciviasはヒルデガルトが執筆した有名な指導書で日本訳では「道を知れ」とされています。



IMG_0730.jpg

根セロリのサラダ。生クリームのとハーブのみの味付けです。こういった味わいには、きりっとした②のような酸味がありフレッシュなリースリングの辛口がぴったりあいました。リースリングの酸の重要性はこういった料理でもよくわかります。②のワインは、わざわざ日本で購入するほど、というわけではないのですが、現地で飲んだらとてもおいしく感じるドイツの風土、食べ物にあった(あまり料理を選ばないので)お手本のようなフレッシュなリースリング・トロッケンです。トロッケンではサマーワインというシリーズもあったのですがこちらのほうがコクがあって好みだったのでこちらを入手しました。


IMG_0734.jpg

野菜のタルト。ハーブの風味がとけこんでいます。野田シェフの腕も感じる料理として完成している素晴らしいものでした。
③のファインヘルプは先のトロッケンがアルコール度数が11.5%だったのに対し12%で、収穫したときの糖度が高いので辛口よりもアルコールに変えていっても度数が高くボリュームがあるものになっているというのが参加者にも興味深かったと思います。甘いとは感じないけれど心地よいボリュームの残糖で野菜の料理との相性がとてもよいワインだと思いました。


IMG_0643.jpg

ヒルデガルトはいくつかの区画にブドウ畑を所有していますが、③のワインは修道院の真下の斜面のエリア、リューデスハイマー・クロスターベルクKlosterbergの畑です。ここは砂岩に石英が混ざっている土壌だそうです。リューデスハイムはレスやシーファー、石英、といった要素が畑ごとに微妙に異なっています。畑のことを調べていたらこの隣にはクロスターライKlosterlayという畑もありこちらはシーファーとレスの土壌だそうです。なんで似たような名前をつけるの、とは思いますが畑名が異なるのには構成要素が違うというちゃんとした理由があるのです。昔は科学的な分析ではなく感覚でその違いがわかっていたのだからすごいです。


IMG_0737.jpg

メバルです。クリームソースでこちらも塩、コショウの味付けはありません。ヒルデガルトでも重要な食材であるスペルト小麦があります。スペルト小麦はヘルシー健康というだけでなく食感やこくといった部分で食材としてもいいものだということがわかる料理でした。
こういったうすめだけどコクがあり洗練された料理とまったりめだけど深みと奥に力強さもある④のワインは最高の組み合わせでした。


IMG_0742.jpg

仔羊とレンズ豆の煮込みです。内側に力のある料理と、一見薄く感じるけれど力がありなおかつエレガントな⑤の赤ワインの組み合わせはとてもよいです。提供された時は少し温度が低かったのですが、時間がたつにつれこのワインの良さが出てきてほっとしました。一瞬でなくてゆったりと味わっていただきたいピノ・ノワールです。6000円というと高く感じるかもしれないけれど他の国の同価格のピノ・ノワールと比べたらとてもよいワイン、という感想をいただけました。


IMG_0743.jpg

デザートはかぼちゃのタルトです。砂糖の甘みが強くなくてもかぼちゃのうまみでホットできます。ツム・アインホルンといえばやはり一角獣の砂糖のデコレーションです。
甘口のシュペートレーゼは⑥のほうが甘みを感じ、⑦はより複雑みがありシュロスベルクという畑の良さがわかるものでした。どちらがよいかは好みであり、どちらもおいしい甘口ワインだということは間違いありません。

ヒルデガルトで販売しているハーブティで落ち着きこの会は終了となりました。

豪勢と感じない味付けや食材でも幸せで特別な食事になるということを感じられる会になりました。一見物足りなく感じる料理でも、繊細なドイツワインと合わせると相乗効果でお互いの良さが引き立っていくのがよくわかりました。ヘルシーと(心の)贅沢という相反しなさそうにみえるものの共存ということを強く感じることができました。新しい体験をすることができた料理を提供してくださった野田シェフに心から感謝しています。
多くの方の想像するドイツ料理とは異なるものですが、こういった料理によりドイツの文化の幅を知ってもらえる機会になればと思います。ワインと料理が好きな方も、フランス料理などとは異なる合わせ方なので、ぜひヒルデガルトの料理とドイツワイン、というのを体験していただきたい、と思いました。


次回のヴァインベルクの会は9月22日新宿リースリングにてゼクト(スパークリングワイン)でランチの会です。さまざまなタイプのゼクト6種類をお楽しみいただけます。



ドイツワインショップ ヴァインベルク
http://weinbergwine.com



posted by ヴァインベルク at 00:34| ワイン会報告 | 更新情報をチェックする