2017年01月09日

亜硫酸無添加のトロリンガーからドイツのビオワイン、自然派ワイン(ヴァンナチュール)について考えてみます

前回はクナウスの醸造所を訪れた時のことを書きましたが、クナウスと一緒に畑をまわってるいる時に会話が盛り上がったワインがあります。それが亜硫酸無添加のトロリンガーです。
このワインは2014年産を飲んだことがあって、あまり好みではないという印象があって、2015年の11月にクナウスを訪れた時にその話をしました。そういうこともあり、2015年産はかなりの自信作だからとこのワインについて熱く語っていたのです。アメリカではかなり人気があり数千本売れていること、デンマークの有名なレストラン、ノーマでもオンリストされていることなども話してくれました。
そこまでいうのなら、と試飲するのを楽しみにしていて、彼の自宅での夕食の時に飲みました。
そのワインのことを中心に、ドイツにおけるビオ、自然派ワインについて説明したいと思います。もっとふみこんで書きたいこともあるのですができるだけ簡潔に、なおかつわかりやすく理解できるような内容を心がけました。説明が不十分な部分があるかもしれないことをお許しください。


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抜栓したては還元香が少しあるのと開かせるためにデカンタに移してから飲みました。
色は通常のワインのトロリンガーも薄めでロゼに近い淡さがありこれは品種の特徴でもあります。
内側に濃さがありピュアな味わいで、少しくせを感じた2014年とは異なり素直な味わいで素直においしいと思えました。
当主のアンディが自信を持って薦めていたこととこれから書く理由により、このワインを輸入することを決めたのです。もちろんおいしかったからというのが決め手ですが。

その理由を説明するためにには自然派ワインということについての説明が必要です。自然派ワイン、ヴァンナチュールはぶどう自らで発酵させたワインで、培養酵母は使わず自然酵母であること、酵母を殺さないために亜硫酸は添加しない、という特徴があります。そういった造りにするためと自然な造りという理念から当然のように農薬を使わないビオの栽培が行われています。この部分を認識していない方が日本ではまだ多くいると思うのですが、ビオワイン、オーガニックワインと自然派ワイン、ヴァンナチュールは異なるということです。自然酵母での発酵をしているし限りなくヴァンナチュールに近い味わいのワインもありますが、ドイツの場合には亜硫酸を添加しているかどうか、というのが分類の違いだと思います。
コンビニやスーパーで見かける酸化防止剤無添加ワインとここで言っているビオワイン、自然派ワインは別物ということにもふれておきます。そういったものは果汁を熱処理したりして別の方法で劣化を防ぐようにしているだけで、テロワールなどの個性ということとはかけ離れた商業用の商品なのです。手のかかっているワインとは全く異なる商品だということは知っていていただきたいです。


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これはクナウスの所有している区画ですが、農薬を使っていないことがおわかりいただけるかと思います。
このように農薬を使わないビオの栽培は高品質なワインを造っているドイツの生産者では現在では当たり前のことになっています。その中には、急斜面の畑などリスクと手間がかかる場所では病気が蔓延し始めた時などの緊急事態には農薬を最小限でも使用しなければいけなかったりと一部のみ農薬を使用するため、認証を取得してないところも多く含まれています。しかし理念として極力農薬は使わないというのが根底にありワイン造りをしています。ヴァインベルクの取引している醸造所もそういうところばかりです。
醸造に関しても、トロッケン(辛口)に必ずしなければいけないので補うために培養酵母を使用ている生産者もいますが、自然酵母のみで発酵をしているところも少なくありません。ヴァインベルクのワインでもファルケンシュタイン、マルティン・ミュレン、クナウスは全て、ベルンハルト・アイフェルは大半が自然酵母による発酵です。
それでも自然派ワインとは異なる、という点は亜硫酸の添加にあります。亜硫酸が添加されていることが悪、と考えている方もいると思いますが、ドイツの場合は亜硫酸の添加により、ぶどうやテロワールの個性がはっきりと表れるという傾向があり、最低限の添加によりおいしいと思えるワインが造れるので必要なのです。リースリングの場合は酸が強めなので安定したワインにするために酸化防止剤も必要で、他のぶどう品種より量が多くなります。甘口ワインも多くなる傾向にあります。そういうこともあり、亜硫酸無添加というのはドイツワインにはあまり向いていないのです。
亜硫酸を添加しているのでヴァンナチュールではないのですが、テロワールの個性を重視した自然を生かしたワイン造りをしているのです。自然派ワインという言葉が大きくなってしまい、そのためにわかりにくくなってしまっている部分があるのです。自然派ワインのカテゴリーではないが、自然なワイン造りをしているというところがたくさんあるということです。ドイツには特にそういう醸造所が多いのです。

クナウスもそういった意味合いでは自然な造りということにこだわっているのですが、その中で亜硫酸無添加の醸造というチャレンジもしているのです。亜硫酸が添加されているといっても最低限なのでかなり少ないのですが、添加ゼロとは違いがあります。そういった無添加のワインが自然派ワイン、ヴァンナチュールいうカテゴリーに入るワインとなります。味わいとしてもそちら側の風味があります。
しかしそういうカテゴリーの中でも、私のように独特のくせのある味わいに少し抵抗がある人たちにも2015年のトロリンガーは受けていれるもらえるのではないかと思ったのです。和食や日本の家庭の食卓の料理にも合わせやすい味わいなのもポイントです。自然派ワインという世界が大きくなっている現在の中の、ドイツワインをインポーターしていてる私にとっての答えがこのワインだと考えています。
2014年よりは良くなっていると考えて私は進化していると思ったのですが、2016年産が出てからでないと2015年だけよかったのか技術が上がって進化しているかはわからないのですが、この2015年産が素晴らしいということだけは断言できるので、ドイツの自然派ワインにどういうものがあるのかというのを知りたい方にはぜひ飲んでいただきたいワインです。
大半は日常消費用のワインになるトロリンガーですが、こういったワインに向いているということを証明した点でクナウスは先駆者だと言えます。トロリンガーの亜硫酸無添加が面白い、というのは間違いないです。
レンベルガーも2015年から亜硫酸無添加のワインの製造を始めたそうで、樽から試飲をしましたが、こちらは2014年のトロリンガーで感じたようにあまり好みではありませんでした。
レンベルガーは1000リットルの木樽、トロリンガーは3000リットルの木樽で発酵、熟成させています。

ドイツでもここ最近、亜硫酸無添加、オレンジワイン、アンフォラによる醸造、という自然派ワインにカテゴライズされるワインの醸造にチャレンジする醸造所が増えています。ビオが当たり前になり、ではさらにその先のいいワインを造るためには、ということでこの方向性に向く傾向があるようです。今はまだ話題作りだったり、ビジネスのための手法にすぎないだけだったりする場合もあるのですが、一昔前のドイツでのバリック樽の使用は、色んなぶどうでチャレンジしていてその経験があり適したぶどうや使い方というのが定着して今になっているように、自然派ワインというカテゴリーもドイツでは今はまだ過渡期であり、これからいいものが生まれたり残っていくといように進化していくと思います。その中でトロリンガーの品種というのはこのクナウスの2015年産を飲んで可能性を感じたのでした。

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トロリンガー Without all 2015 クナウス (Weingut Knauss)
http://weinbergwine.com/22_83.html

2014年産までは他のラベルと同じでその中にWhithout allと書いてあったのですが、わかりづらいという声があったようで2015年産から葉っぱのラベルに変更となりました。

今は欠品となっていますが、新たに入荷し2月かた販売を開始するクナウスのワインの中に通常のラインのトロリンガーもあります。こちらも人気があるのですが、Without allとは少し味わいが異なるのは面白いので、両方購入して比較するのも興味深いと思います。


ビオワインもヴァンナチュールもドイツだからこその良さがあると思っています。比較ではなく、良さを感じていただけるような楽しみ方をしていただけるとうれしいです。


今回紹介したワインを造っているクナウスは2月に来日します。
前回の記事でもワイン会のお知らせをしましたが、2月17日の人形町モリモトハウスにて行う試飲即売会ではこのトロリンガーWithout allも試飲で提供予定です。16時半から18時半までの予定です。参加費は無料です。飲食店の方も大歓迎です。お気軽にお越しください。


ドイツワインショップ ヴァインベルク
http://weinbergwine.com




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posted by ヴァインベルク at 18:57| ワインのためになる知識 | 更新情報をチェックする