2017年02月05日

茜坂での出汁をテーマにした和食とドイツワインの会の様子

赤坂にある和食とワインおお店、茜坂にてヴァインベルクのワインによるワイン会が開かれたのでその様子と感想を書きます。
茜坂はあじる亭、セレブール系列で2016年にセレーブールの一つ下の下の階にオープンしたお店です。開店の時からヴァインベルクのワインも取り扱ってもらっていて、ペアリングの話をしに行ったりと何度も顔を出したりしていて、ヴァインベルクのワインでワイン会をとずっと話していたのですが、お互いのタイミングがあってついに実現することができました。

茜坂は、ワインに寄せた和食ではなく、板前の作る純和食にワインを合わせるスタイルです。ここの板前の小嶋さんの料理はワインということがなくても大好きです。特に出汁の取り方、味わいが好みに合うと思っています。
そこで、ドイツワインは出汁という話を私はドイツワインの説明でよくしているし、出汁をテーマにしたワイン会をと提案しました。このことはについては後でも書きます。


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会の募集をかけたら12人の定員がすぐ埋まりびっくりしました。ヴァインベルクのワイン会に来てくださったり面識のある方が2組だけということにも驚きました。参加された方になぜ参加しようと思ったのか聞いてみたところ、ドイツワインをもっと飲んでみたいと思ったから、ドイツワインは和食に合うと思っているのでいい機会だと思ったから、出汁とワインということに興味を持っているから、ということを複数の方が言っていて、引きの強いテーマだということがわかりました。


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ワインは7種類選びました。


① トリッテンハイマー トロッケン 2015 ベルンハルト・アイフェル 辛口

 Riesling  Trittenheimer Sommelier Selection  trocken  11.5%

② アルテンベルク トロッケン 2015 ファルケンシュタイン 辛口

 Riesling  Krettnacher Altenberg  Spätlese trocken 11.5%

③ ゾンネンベルク ファインヘルプ 2015 ファルケンシュタイン 中甘口

 Riesling  Niedermenniger Sonnenberg  Spätlese feinherb 9%

④ ウンゲホイヤー トロッケン 2015 シュピンドラー 辛口

 Riesling  Forster Ungeheuer trocken 14%

⑤ トロリンガー Without all 2015 クナウス 赤・ライトボディ

 Trolinger Without all trocken  10.5%

⑥ シュペートブルグンダー ヨハニスベルク 2009 ビッケル・シュトゥンプ  赤・ミディアム

 Spätlburgunder Tüngersheimer Johannisberg  Erste Lage  trocken 13%

⑦ キュヴェ アンリ ブリュット ゼクト N.V ゾルター  泡・辛口 Cuvee Henri  12% 


前半はタイプの異なるリースリングを4種類お出しし、ワイン自体の違いや料理との相性の比較をしていただくという意図で、後半は赤と泡で、ドイツの多様性を知っていただけるという内容にしました。
ワイン先行で考えたわけではなく、ワイン選びの中に意図がありつつ料理の構成と相談しながらワインと料理は決めていきました。
ひとつの料理とワインを対で考えるのではなく、グラスを並べて、前後でお出ししたワインともその料理と相性を楽しんでもらえるように、というのがこの会のポイントでもあると考えていました。

事前に試作して綿密に合わせるということはせずに、ワインを飲んでもらってある程度のイメージをつかんでもらい、こちらも料理の内容を聞き、どういうふうになるのかある程度想像する、という程度にとどめておくことにより、思いがけない良さがあったりするのでそういう楽しみもあるワイン会にしたいと思ったのです。こちらで提示するだけではないことにより、想定したワインだけでなく他のワインでもいいなあと思ってもらえたりということも和食の会では大事なことだと考えています。このことについても後半でまた書きます。



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献立とワインリストです。
テーブルにあるおちょこは、ここに出汁を入れてもらいそれを飲んでもらってから会を始めようという提案によるものです。
かつおだしの純粋な出汁を飲んでもらうことによって、今回のテーマがよりわかりやすくなると考えたのです。


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①のワインを飲んでもらった時に、菜の花というのが浮かんできて、ここに貝を合わせるとよいのではということで決まった料理です。菜の花の苦みとワインの余韻が心地よかったです。


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②のきりっとししてなおかつ果実味のあるワインはたけのこにといういことでこのお椀になりました。


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黒むつの西京焼です。このメニューは1月のレギュラーメニューになっていたもので12月に③のワインを持っていところ西京焼に合うということで出してもらったら素晴らしく、このペアリングは通常のコースの中でも採用されていました。
レストランのマリアージュという方向性の合わせ方でぴったりとはまっていたのです。食感もあるし西京焼の味の部分とほのかな甘みがとけこんでいたりとパーフェクトでした。
この感覚も体験してもらいということで構成に入れました。


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この会の中でもリースリングと天ぷらを合わせたことがあるという会話もありましたが、揚げ物はぜひということで組み込まれた献立です。
④のボリューム感があるけれどきりっとしているGGクラス(ドイツ辛口の最上級)の辛口は海老にも胡麻豆腐にもぴったりでした。石灰質の土壌からのワインということもポイントだと思いました。


ここまでの白ワイン4種類は全てリースリングにしました。
①と②は同じモーゼル(といっても片方はザールですが)の辛口でもグーツワインと収穫糖度の高いぶどうからのものとの違い、②と③は同じ造り手で残糖が異なるもの、④は産地の違い(土壌やアルコール度数など)、とドイツのリースリングといっても多種多様であり、料理との合わせ方も異なると、いうことを体感してほしいという意図を持って選びました。
和食にはリースリングは酸味があるので合わないという方もいらっしゃるのですが、ヴァインベルクの選ぶリースリングはとても和食と相性がよいので、他の品種は選らず今回は白ワインはリースリングだけにしました。

料理との相性は関係なしにこの4種類の中でどれが好きかと感想を聞いたら②が半数を超えていました。
ワイン好きの方が多く、そういった方々のこの結果は新鮮でした。みなさんワイン自体のクオリティを感じていただけているということとドイツワインでもその方向性は同じということを認識することができました。④はなじみのある味わいという声もありましたが、それでも②を選んでいて、ドイツワインならではの魅力が発揮されているワインを選んでくれていることをうれしく思いました。
③もいいけれどずっと飲むのであれば②がいいというのも参考になる意見です。ドイツ好きの方は③のほうがずっと飲めるという方のほうが多いと思うので。

食事のことも考えると、①は食事に万能だし、③は和食の甘みやうまみと合いワインをそれほど飲まない方でも飲みやすい心地よい甘みがあったり、とそれぞれの良さがあるワインということをわかってくださりみなさんどれも気にいってくださいました。


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こういったものとはペアリングというよりは、こういうったものとも合わせられるということを感じていただければなという意図がありました。
⑤の亜硫酸無添加のトロリンガー、⑥のピノ・ノワールもお出しして楽しんでもらいました。
数の子とドイツの白の相性が良いこと(といっても質が良く添加物がないものだからこそですが)、いわしの田作と④や⑤の相性、黒豆との新鮮な合わせ方、などみなさん発見や驚きがあったりしながら楽しまれていました。
時期はすぎてしまいましたが、おせち料理とドイツワインというのはぜひ試していただきたいのです。特に⑤とおせちの料理というのは興味深いと思っています。


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鴨の治部煮は、片栗をまぶした鴨肉が肉質の良さや食感すべてが素晴らしくとても好みでした。今まで食べた鴨の中で一番おいしいと思いました。
鴨肉だけならブルゴーニュのピノ・ノワールのほうがよいというのはうなずける意見で、葱や出汁があるからこそ慈悲深いこのフランケンのピノ・ノワールと同じトーンでほっとできる合わせ方になっているのだと思いました。
白ワインでも楽しめました。リースリングだからこそというのがあると思います。


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最後もすっぽんの雑炊と豪華でした。
通常営業ではシャンパンを合わせていると聞き、当初は甘めのリースリングをと考えていたのですが、提供しているシャンパンを飲ませてもらったらゾルターの⑦のキュヴェアンリとタイプが似ているので面白いなあと思いこのスパークリンングワインにすることにしました。
99年産など熟成したワインもブレンドされていて奥行きと深みのあるこのゼクトは深みのある味わいのこの雑炊と同調していました。
ゼクトでしめるのもいいという声もいただきました。酸を強く感じるタイプではなくこういうタイプだからこそ、なのですがそういう提案もできてよかったです。


これらの料理とワインを通して、出汁といっても味付けや調理法によって合うワインや合わせ方のアプローチが異なるということ、料理のポイントに合わせてワインが合うという西洋料理の感覚の合わせ方だけでなく、食事に寄り添う、つつみこむような合わせ方もドイツワインはできる、ということを感じていただけました。
寄り添う合わせ方というのは、ドイツワインにも出汁のようなニュアンスがあるから、と考えていて、最初にやさしくてほっとする味わいの出汁を飲んでもらったことにより、今回のドイツワインでそのことは感じていただけたかなと思っています。うまみ、出汁というのはドイツワインと料理ということにおいて重要なキーワードなのです。
日本酒のような合わせ方であること、でもお米による余韻とは異なり酸味があるからこその相性がある、という点も体感していただけました。

和食にワインを合わせる場合の感覚という点でもこの会をやる上での意図は成功したと考えています。
懐の深さがあるのが和食だと思っていて、色々なアプローチの仕方ができるのが和食とワインを合わせる時の魅力だと思っています。だからこそ冒頭で書いたように厳密なペアリングでないほうが面白いと思っていて、そういうやり方で、というお願いをお店のほうにしたのです。特にドイツワインではそうやるからこその楽しみが発揮できえると考えていて、今回の会でもみなさまそれぞれの楽しみ方をされていました。提案した相性と異なる楽しみ方でもいいと思っていてそれがドイツワインと和食を合わせる醍醐味だと思っています。
また、同じ食材や調理法によっても料理人によって味わいなどはかなり異なるのが和食で、ワインを合わせることによってそのことはよくわかります。だからこそ、ピンポイントな相性の提案ではなく、感覚を感じてもらうことが、和食(家庭の食卓の料理も含んて)とドイツワインを各々で楽しむ時に役立つと思っているのでこういった合わせ方のやり方をしているのです。そしてそうやって食事をされていても違和感なく楽しめる組み合わせが多いのがドイツワインなのです。
相性ということだけでなく、楽しみ方のアプローチも含めて、ドイツワインと和食を合わせるのは素晴らしい、というのをわかっていただけたのではないかと思います。

今回の会をやって、新たな発見ができるかなあと思っていたのですが、驚くような発見や驚きはなく、今まで考えていたこと、感じたことの再認識となったのですが、そのこと自体がわかったのが今回の収穫でした。
上記で書いたようなことをポイントにして薦めていくことをすればよい、というのを自信を持ってやっていけることができるようになりました。


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板前の小嶋さんです。何度か話をして理想の料理を提供してくださり感謝しています。私が小嶋さんの料理が好きで、小嶋さんがヴァインベルクのワインを好きだと思ってくれているからこそ相性が良いというのもあると思います。
アイデアやセッティングもしてくださった三沢さんにも感謝です。参加者みなさまが喜んでいただけた会にすることができました。

ワイン会としてのクオリティも、ドイツワインと和食ということを示す上でも、素晴らしい会となりました。



ドイツワインショップ ヴァインベルク
http://weinbergwine.com




posted by ヴァインベルク at 07:52| ワイン会報告 | 更新情報をチェックする