2017年05月04日

シュヴァイッヒャー・アンナベルクの畑を訪れて ベルンハルト・アイフェル醸造所訪問2017年3月

今回はモーゼル中域、ピースポートより上流(トリアー寄り)のトリッテンハイムTrittenheimに醸造所のあるベルンハルト・アイフェルBernhard Eifelです。

この醸造所も何度も訪れているのですが、トリッテンハイムからは離れている所有する畑シュヴァイッヒャー・アンナベルクSchweicher Annabergに寄りたいとリクエストしてこの畑を見るところからスタートしました。この畑には一度、現当主のアレキサンドラの旦那さんと訪れているのですが(その時の記事はこちら)、この畑のワインにはかなり思い入れがあるのでもう一度訪れたいと思いリクエストしたのです。アイフェルのワインは、トリッテンハイムのワインだけでなく、この畑のワインも素晴らしくて気に入っています。著名な生産者があまり所有していないのであまり知られていないのですが、アンナベルクはかなりポテンシャルの高い畑なのです。
畑から一番近い鉄道の駅であるシュヴァイッヒSchweichでアレキサンドラと合流し、モーゼル川沿いの畑に向かいました。


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モーゼルらしい、蛇行するが川と急斜面の畑が広がっています。ここにいるだけで喜びに満ちてきます。


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どれだけ急斜面かがこの写真でおわかりいただけるかと思います。

ベルンハルト・アイフェルではいくつかの区画を所有していて(全てリースリングです)、それぞれ樹齢が少し異なります。一番古いところ(最初の画像)は樹齢が100年を超えていて、他の区画もほとんどが60年から80年の樹齢で、大半はフィロキセラの害を逃れた自根です。収穫量が多く出来がとてもよいヴィンテージは、樹齢の一番古い区画のみで畑名のGGクラスのワインとしてリリースしていて、その他の自根のエリアのぶどうがヴルツェルエヒテWurzelechteのワインになります。それらのエリアでも早積みしたぶどうや樹がダメになり植え替えた樹からのぶどうはロートリンゲンデンRotliegendenのワインになります。ベルンハルト・アイフェルでは自然発酵なので発酵はコントロールしない醸造なのですが、彼女らのこの畑のワインはどれもトロッケンの規定よりも少しだけ残糖のあるワインとなります。しかし土壌由来で複雑みとボリューム感があるので甘いと感じるわけではなくとてもよいバランスのワインに仕上がっています。
また、それぞれの畑でアウスレーゼもリリースしているのですが、それは区画ではなく、ボトリティス菌がついて、クリーンな味わいにしたい辛口系には混ぜたくないということで、目視でのけて辛口系用のぶどうは収穫しその後にさらに熟したぶどうからアウスレーゼを造っているのです。今はアウスレーゼより上のクラスのワインはリリースしていなくて全てアウスレーゼの中に含まれるので、他の醸造所のベーレンアウスレーゼ、トロッケンベーレンアウスレーゼのクオリティ(貴腐ワイン)に近いです。価格もBA、TBAに比べればかなり安価です。

一番樹齢が古いエリアは栽培方法は棒仕立てなのですが、その他は異なる仕立て方をしていると聞きました。樹にとっての最適な仕立てという他に、急斜面の中でいかに労働しやすいかということを考慮しながら仕立て方を考えているとのことでした。ミュレンもですが、100年前後のは棒仕立てでないとだめなそうですが、もう少し若いと応用がきくようで、醸造所ごとにいろいろなやり方をしていることがわかりました。

前回投稿したミュレンのパラディースの畑とは異なり、この畑は地面は土で覆われていますが、30cm下からは同様のシーファー(粘板岩)です。上のほうは土がないところもあると言っていました。
こちらの畑では転んでしまいました。石よりも土のほうが滑りやすくて危険ということを身をもって感じたのでした。


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アンナベルクの隣の畑はロングイッヒャー・ヘレンベルクLonguicher Herrenbergです。画像ではわかりづらいですが、別々の丘になっていて、上流がアンナベルク、写真を撮っているところがヘレンベルクです。
こんなに近くても土壌が異なりワインの味わいにも差が出るのがドイツワインの面白いところです。アンナベルクは赤色シーファーRoten Schieferで、ヘレンベルクは青色に少し赤色もお混ざっているシーファー土壌です。アンナべルクは火山の噴火の影響で赤くなっていて、地質年代も異なるのです。


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ヘレンベルクもアンナベルクと同様に急斜面です。
この畑のワインからは黄色いラベルのAlex Eが造られていてこちらもトロッケンではなくファインヘルプになります。


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醸造所には、畑の土壌を縦にくり抜いたものものが展示されています。
左からヘレンベルク、アンナベルク、アポテーケ(トリッテンハイム)の土壌で、これを見ると石の色が異なるのがおわかりいただけるかと思います。
アンナベルクは他に比べて石が砕けず大きめなようですが、こういう状態でも樹齢100年の樹は10m下まで根を張っているそうです。その話は初めて聞いて、そこまでとは思っていなかったので驚きました。リースリングは生命力が強く、だから果実味と強さのあるワインができるようになるのだなあとあらためて思いました。その上繊細さもある味わいになるので、ドイツの急斜面に向いてるぶどうとなっているのは必然的なのだなあと。


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今回は都合が合わずゲストハウスには宿泊しなかったのですが、ご家族にお会いできてよかったです。
試飲の時にはお父さん(前当主)に地下のケラーに行って2016年産の樽に入っているワインをとってきてもらったりもしました。
一通り試飲しましたが、2016年産もよかったです。この造り手は、ヴィンテージで収量の差はあると思ういますが、それぞれのワインはヴィンテージにあまり左右されず安定しておいしいのも特徴です。2016年産でもう4年目のヴィンテージになりますが、そのことは確信したので毎年ほぼ同じワインを注文しています。その中で、試飲した中でそれら以外でもこの年はよかったというものをさらに1種類注文する、というスタンスにしています。
ただ、バイヤーは同じ傾向のワインが好きなようで、年々売り切れるタイミングが早くなってきているワインが増えているようで、早めに動ぎださないとということも気づかされました。オランダのバイヤーは試飲しに来て、気にいった一樽を購入していった、などという話も聞いたのです。

また、2015と2016、両方試飲できたものもあるのですが、ヴィンテージの差というだけでなく、アンナベルクの畑のワインは少し時間を置いたほうがよりよくなっているということを確信しました。その意見をアレキサンドラに伝えると、その通り、赤色粘板岩のこの畑のワインは少し時間が必要、と言っていました。時間といっても甘口のような長さではなく、ボトリングしてから1、2年してから、ということです。ドイツの辛口は、フレッシュなうちに早めに、というものが少なくないのですが、アンナベルクのワインは我慢して少し待っていたほうがよいのです。


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今回も試飲の後はアレキサンドラと一緒に食事を食べました。前回も訪れたイタリアンでランチです。今回はグラタン風のパスタにしましたがおいしかったです。ただ量が多すぎて途中から少し飽きてはきましたが。
今回も知らかった話など色々と聞けてよかったです。2児の母であり、醸造所のマネージメントと栽培に加えて、夫のクリストファーの家系もワインを造っていて(今のところは別の畑で醸造も別々です)、そちらのことも関わっていたりと、パワフルに活動していて尊敬します。そんな中毎回僕のために時間を作ってくれて感謝しています。


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トリアーに戻るバスまで時間があったので散歩すると言ったら、車でしか行かないであろう場所まで連れてきてもらい、そこから歩いてトリッテンハイムの村まで戻るということにしてアレキサンドラとそこでお別れしました。
アイフェルの所有していない畑なので今回はその写真は載せませんが、機会があればその写真も掲載します。上の画像はそこからトリッテンハイムの村に戻るところです。アーモンドも咲いていました。正面の斜面がアポテーケで。こちら側はアルテーヒェンです。けっこう広い畑で斜面の部分もあり、リースリング以外にヴァイスブルグンダー(ピノ・ブラン)、グラウブルグンダー(ピノ・グリ)も栽培されています。


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アポテーケTrittenheimer Apothekeの畑は、いつも橋の周辺から通っているのでたまには別のところからのを掲載します。


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モーゼルの産地の写真だとよくこの場所からのが使われているのですが、この畑の上の部分を路線バスが通っていて、簡単にこういう写真をバスの中から撮ることができます。川の右がアポテーケ、左が斜面も含めてアルテーヒェンです。

トリッテンハイムは何度来ても飽きません。車がないと少し行きづらい場所ではありますが、モーゼルに来る際はぜひ訪れていただきたい土地です。



ベルンハルト・アイフェルのワインはこちらから

ドイツワインショップ ヴァインベルク
http://weinbergwine.com


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posted by ヴァインベルク at 00:26| 醸造所紹介 | 更新情報をチェックする