2019年05月06日

2018ヴィンテージを試飲して感じたこと

今の時期(4、5月)には昨年収穫したぶどうから造られた白ワインのリリースが多くなります。グーツヴァイン(ハウスワイン)のタイプやステンレスタンクで大量生産しているところは1月くらいから販売しているワインもありますし、まだ木樽の中に入っているワインもありますが、リリースはしていなくても、発酵は止まっているのでバレルサンプルとして醸造所や試飲会で飲むことができるので、ある程度の白ワインは飲むことができます。ただ、辛口の最上級クラスの格付けのグローセスゲヴェックス(GG)はVDPでは販売は9月からと定めていたり、収穫糖度が高いぶどうからの重めたのワインにあるものはもっと木樽での熟成が必要だったりということもあるもので、全てを試飲できる、あるいは状態を判断できるというわけではありません。そういったことや飲み頃など、ヴィンテージについては昨年ブログに何回かに分けて書いていますのでそちらもご覧いただけるとうれしいです。
という前置きが少し必要ではありますが、2018年産をたくさん試飲しました。まだ傾向は、と言える時期ではありませんが、感じたことを書いていきたいと思います。

2018年はヨーロッパはとても暑い年だったという印象の国が多いと思いますが、ドイツもあてはまります。
生育は早く、昨年も同じ時期にドイツの同じワイン産地を訪れていますが、明らかに昨年のほうが同じ時期で葉が大きかったです。
そして実も順調に生育したのですが、雨がかなり少なく暑い中で実は熟していきました。収穫は、2017年も早かったのですが、この年も史上最速と言われる速さで、南の地域では、バカンスをとっているはずの8月末から収穫が始まっているところもあります。
収穫量は、近年ずっと少なかったのですが、順調に育ってカビや腐敗につながる要因も少なかったため、満足できる量を収穫することができました。2017年は遅霜で樹は実を満足につけることができなかったので、防衛本能で多く実をつけようとしたことも生産量が増えた要因ではないかと言われています。自分のところの醸造設備の樽やタンクの容量ぎりぎりだったと言っていた生産者も何人かいました。樽試飲のために蓋を開けたら、目一杯に入っていて開けた瞬間に吹き出てくるというのも何回か見ていてそういうところからも量がとれたのだなと感じることができます。
これらは、ドイツのワイン産地全体をまとめたら、ということで、ある程度事前に聞いていた情報と複数の生産者の話をまとめると上記のような感じになります。
ただし、産地、もっと狭い地域での環境の違いで印象が異なっていくのは毎年のように当然のことです。それをふまえた上でも、ワインの印象としては、2015年のようにボリューム感、明るさのあるワインになっているという印象があります。17が陰、18が陽と表現している知人がいますがまさにその通りだと思います。その印象には、収量、水、日照量、成熟度など色々な要因があってのことですが、明らかに違いがあります。
糖度が上がったためどの産地もアルコール度数は同じワインでも0.5%から1%高くなっているワインが大半です。特に南のほうの産地は味わいとしてもボリューム感を感じるワインが多かったです。
ドイツワインは糖度、果実味などとのバランスで酸の存在は重要で、特にエレガントなワインを目指している生産者にとっては酸は最も重要なポイントです。ぶどうが熟し雨も少ないと酸は減ってしまうので、2018年産は特にその点を苦労した多くの生産者は話していました。一番容易な策は、酸が残っている例年よりも早めの収穫、ですが、それ以外にも栽培や醸造での工夫で醸造所それぞれが色々な対応をしています。
モーゼル、ザールの一部の地域では、収穫の時期に雨が降ってくれた、寒かったというのはとても幸運だったと話しているところもありました。

また、たくさん収穫できたということはワインの質にも影響しているような気がしました。辛口から甘口まで、甘口でもカビネットからトロッケンベーレンアウスレーゼまで全てのワインをリリースできたと言っているところもあり、その分ワインごとの質に差が出ていると感じました。収穫量が少ない年は、多くのワインにはわけないで、上のクラスをあきらめてその下のクラスにいいぶどうを混ぜたりして対応することもあるのですが、2018年は多くに分類されていることにより区画や等級の本質のクオリティが見えてしまうので、2018年という環境に合わなかった場合にはあまりいいワインとはならない可能性が高くなり、試飲でも例年でもそう感じるワインが多かったように思います。しかしその反面、狭い条件で適したぶどうとなった場合にはとてもクオリティの高い素晴らしいワインとなっています。かなり色々なワインができている、というのも2018年の特徴かと思います。毎年好きなワインが今年は全然よくないという場合も多いでしょうし、ずば抜けてよい、という可能性も大いにありえるのです。
2017年の量が少なったトラウマにより芽欠きは少な目だったり一本あたりの実の収量をあまり減らさなかったり、という生産者もあったのではと取引先の生産者は話していました。そういったことも質に影響しているようです。
また、量がとれたからこそ、経済的にも余裕があるので、一部は醸造で冒険してみたりとか新たなチャレンジをしたりとかもあり、生産者にとっては余裕があった年、とも言えることができます。

色々と飲んで、生産者との会話などもあり、上記のようなことを感じたのでした。
そして生産者ごとにかなり印象やクオリティの違いが大きい年でもあると感じました。なので先入観から決めつけるのでなく、生産者の話や情報、いくつかのワインを飲んでみることが、それぞれの生産者の2018年を感じられることである、というのが例年より重要であると思いました。ヴァインベルクのワインでは例年よりも多めにそういった情報をお伝えしていきたいと考えています。


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ザールのファルケンシュタインでの木樽からの試飲。大半が酸の存在感のあるファルケンシュタインらしいワイン、でも暑かった年を感じる2018年ならではのワインも多くありました。
醸造所のキャラクターを選ぶのか、2018年だからこそのいいワインを選ぶのか、それは生産者でも考えて選択し、購入するほうもそれぞれの考え方でどう選択していくかを考えていくことになります。


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マインツでのVDP試飲会の様子です。一か月前のプロヴァインProweinでも2018年産がバレルサンプルも含めてたくさん試飲できます。
まだ若く、今飲んでおいしいという状態でないもので判断しなくてはいけないこともたくさんあります。
瓶詰めしたばかりというワインもたくさん試飲に出ていて、しっかり試飲をしているところでは生産者からこれは数日前に瓶詰めしたもの、などと言ってくれるので、それを加味して判断することができます。


ヴィンテージについてはまだ書きたいことがありますので、あと1、2回続きます。


ドイツワインショップ ヴァインベルク
http://weinbergwine.com



posted by ヴァインベルク at 22:38| ワインのためになる知識 | 更新情報をチェックする