2021年11月22日

ザールのファルシュタインがドイツワインガイドブックVinumヴィーヌムで5つ星獲得!

ドイツワインガイドブックのヴィーヌムVinumで、ヴァインベルクが8年前に開業した時から輸入しているザール(モーゼル)のファルケンシュタインHofgut Falkenstein5つ星に昇格しました。モーゼルでは4軒のみが5つ星でザールエリアではファルケンシュタインのみです。5つ星に気がついた時にはびっくりしました。この年(2020ヴィンテージ)のモーゼルの最優秀Winzer des yearも獲得しています。
これらのことについて解説、感想などを書いていきます。記念、お祝いとして3本セットも販売しています。



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まずはヴィーヌムについてです。数年前に出版社の事情でゴーミヨGault Millauが今まで同様にできなくなってしまい、その編集陣がヴィーヌムでゴーミヨと同じことをやっているのです。今もゴーミヨはありますが、変わってからは別の編集陣でやっているので、今までのゴーミヨと同じ基準というのはヴィーヌムなのです。今のゴーミヨは、トロッケンに対しても高得点をつける、低価格のワインも得点が高かったりちゃんと取り上げている、という印象があります。ゴーミヨにはファルケンシュタインは掲載させれていません。アイヒェルマンEichelmannも含めて、全てではなく特定のところにだけサンプルを送っている生産者もあるので、ひとつのガイドブックだけでは全てを網羅できない、ということもあります。


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ヴィーヌムの特徴としては、醸造所の星が高いほどワインごとの点数も高めになる傾向があります。なので、私(ヴァインベルク店主)自身はあまり点数は気にしていません。ファルケンシュタインは数年前から軒並み高い点数となっていますが。そしてその中の高い低いも。また、醸造所によっては、あまり点数が高くならないのがわかっているワインや得意先で売れてしまうようなワインはサンプルに出さないで掲載されていない、ということもよくあることです。
今年輸入した2020ヴィンテージではヘレンベルクのファインヘルプ(フーダー4)とアルテンベルク・トロッケンはサンプルを出していないみたいなので掲載されていません。


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冒頭にはカテゴリーごとに10位まで順位をつけているページがあるのですが、今年(2020ヴィンテージ)からカビネットとファインヘルプの部門がひとつになっていました。そして最高得点の96点は3本でうち2本(1位と3位)がファルケンシュタインでした。
3位のアルテレーベンのカビネットは2017年に輸入していていますが、醸造所販売価格がそのヴィンテージの2倍になっていました。前が安すぎたととらえたほうがよいと思います。

そしてこの部門の7位(95点)に輸入しているオイヒャリウスベルクのカビネットが入っていました。順位と点数とか関係なく、僕自身が大好きなワインです。高得点だとか考えず気軽に飲んでおいしさを感じていただきたいです。


ヴァインベルク店主としては点数より醸造所の星数のほうが気になります。ヴァインベルクで輸入している醸造所は3つ星は当然だと思っていて、4つ星以上になると誇りに思えます。マルティン・ミュレンが今年から4つ星になりました。アイヒェルマンでは、シュピンドラーとビショッフリッヒェス・リューデスハイムが4つ星です。そして星が低くても、その生産者の素晴らしさを知っていますので気にはしていません。

ヴァインベルクとしては、評価が高いから選ぶということはしていません。試飲会や何かの機会で気になったところが、あまり星がなくても全然気にしないのですが、だいたいは3つ星前後のところです。そして大半はその当時より今は星が増えているのです。元から評価と人気があるから選んでいるのではなく、良いと思っているところが評価されていくのはとてもうれしいことです。
その最たる例がファルケンシュタインとなりました。生産量が少なくアメリカへの輸出も多いのでドイツ国内ではあまり知られていなかったところが評価され、そして知られていったのでした。

ただ、おかげで争奪戦がさらに激しくなり、来年からヴァイベルクの分を希望通り確保できるか心配にはなっています。評価される前から付き合いがあり信頼関係もあるので、ヴァインベルクは好きなだけオーダーできるとヨハネスは言っていたのですが、それでも2020年ヴィンテージはトロッケンは希望よりかなり少ない数しか確保できなったのです。なので2021ヴィンテージはとても心配です。
それと、星が多くなるにつれ醸造所のスタンスや印象が変わる造り手もあったのですが(ヴァインベルク輸入の造り手ではなく)、ファルケンシュタインは全く変わっていません。一部のワインは価格を上げていますが、今までが安すぎたと思っているので何も思いません。エリッヒとヨハネスの親子は、自分たちのワインの向上だけを考えてがんばっているのをよくわかっています。以前より栽培、醸造以外の仕事が増えているみたいで大変そうではありますが。
そしてそんな彼らを知っていて、当たり前のことを当たり前にやるだけと思ってやっているだけで、それが評価されているのは自分のようにうれしいです。建物が火事になったりして大変だったのも知っていますので、いいことがあってとてもうれしいです。5つ星という基準で見られてそういった目でしか評価できない人たちに彼らのワインが飲まれるようになるのは嫌ではありますが。


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星が多いところでも生産量が多いところでは、収量が低くなかったり早摘みだったりで、畑の特性や造り手の個性などがあまりわからないいわゆる裾もののワインも多く生産しています。そういったワインが大きな収入源にもなっています。しかしそういったグーツヴァインなどを一本飲んだだけではその生産者の魅力がわかりません。そういうこともわからず生産者の考察をしたり評価されているのを見ると悲しくなります。ワイン自体はおいしくて食事に合わせてなど最適なシチュエーションはあるのですが。

生産量が少ない生産者だとわりとそういった裾ものワインは少なくなります。とはいえグーツヴァインだけで評価はしてほしくはないです。
ファルケンシュタインではそういった裾ものをほとんど造っていないのです。どのワインでもファルケンシュタインの魅力がわかると思います。辛口、中甘口、甘口とありますし、トロッケンでも酸が強くかたいものから果実味豊かでやわらかいものでありますので、好みで選んでいただけます。点数が高くタイプのワインではありませんが、シュペートブルグンダーのロゼも素晴らしく、そして好評です。


ファルケンシュタイン一覧


今回の5つ星獲得のお祝いということで、3本セットを企画しました。
ファルケンシュタイン中甘口甘口リースリング3本セット 送料込み 9,500円

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辛口から甘口までにしたかったのですが、アルテンベルク・トロッケンは在庫数が少ないので、ファインヘルプ(中甘口)、カビネット(甘口)、シュペートレーゼ(甘口)となりました。
まだファルケンシュタインのワインを飲んだことがなくて全体像を知りたい方はアルテンベルク・トロッケンも一緒にご注文されることをおすすめします。

中甘口、甘口といっても、冷涼なザールならではの酸があるので甘みは前面には出ていなくて酸と甘みの調和の素晴らしさを感じていただけます。そしてクラシカルではありながらこういった完璧なバランスのワインは近年は少なくなっていますので、こういったドイツワインならではの魅力を感じていただけます。


冒頭にはヴィーヌムの生産者紹介のページを撮りましたが、土壌の粘板岩はグラウ(灰色)だけじゃないよ、とか、アルテンベルクもいい畑だよとか思いますが、あくまでその醸造所を知らない方へのインフォメーションと思ってこれらは読んだほうがよいと思います。醸造所で話を聞くと大半のところは、もっと深いところを知れる、聞けます。


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これは約3年前に日本にヨハネスが来てくれた時のものです。
この時に5日間一緒にいたことなどもあり、今は彼とは友達のような関係です。彼の方がかなり年は下ですが。
そして彼はおちゃらけているだけでなく、ワインに真摯に取り組んでいるし、研究熱心で色々なことを知っている、というのもよくわかっています。
これからも彼らのワインを輸入し、彼らとそのワインの魅力を伝えていくことをがんばります。


ドイツワインショップ ヴァインベルク
http://weinbergwine.com


posted by ヴァインベルク at 19:15| 醸造所紹介 | 更新情報をチェックする

2021年11月14日

ドイツ料理との会、イワナの会などヴァインベルクのワイン会の様子 

緊急事態宣言が終わりヴァインベルクでもできることからイベントをやり始めています。
開催したイベントを感想と共に簡単に紹介します。


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8月に入荷したモーゼルのマルティン・ミュレン、ザールのファルケンシュタイン、ヴュルテンベルクのクナウスのワインを紹介する試飲会を新宿リースリングで開催しました。
予想通りの反応がありましたが、その中でマルティン・ミュレンのほぼ貴腐ぶどうで造られているアルコール度数13.5%のレッターライ・リースリング・シュペートレーゼがみなさん強く印象に残ったようです。このワインは後の会でも提供していますので再び紹介します。
ご注文のあったワインはこのワインだけでなくみなさんバラバラで満遍なくご注文いただいていますので、それぞれのワインがいいという証明になっているかと思います。


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緊急事態宣言明け初めての食事会は青山一丁目のOAGホール内にあるマールツァイトでドイツ料理の会でした。14時からで遅めのランチ会としました。
会の時間は店内を貸し切りにしていただき、申し込みの組ごとのテーブルとして感覚はとってとかんがえていましたが、席の上限の16名様にご参加いただきました。

ゾルターのリースリングのゼクトで喉を潤した後は前菜盛り合わせとワイン2種です。きりっとしてうまみのあるファルケンシュタインのシュペートブルグンダーのロゼもフランケンシュタインのグラウブルグンダーも違和感なく愉しめました。特にグラウブルグンダーの落ち着いて気品も感じる味わいは、こういったレストランならではの料理ととても相性がよく、そして優雅な気持ちになれたかと思います。


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ニジマスの燻製とは先に紹介したミュレンのファインヘルプを。この料理を聞いてどのワインと合わせるかすごく迷ったのですが、結果的にはこれしかないという組み合わせでした。複雑みと強さがあるので、ふつうの白ワインだけど負けてしまうのですが、このワインだと広がりと強さがあるので、調和して楽しめました。アルコール度数が高めということもポイントだったかと思います。


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メインは仔牛のグーラッシュです。クナウスのシュペートブルグンダーと。
マリアージュという相性ではありませんでしうたが、ドイツのレストランで赤ワインを飲んでいるような感覚を思い出しました。


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デザートはアップルシュトゥルーデルと前日焼いたというシュトレン。酸と果実味が強いものでないほうがよいと思ったので、ミッテルラインのヨステンウントクラインのシュペートレーゼを。柑橘系よりもイチゴの風味があり、シュペートレーゼというよりはアウスレーゼのふくよかさと甘みがあるのでデザートとも違和感がありませんでした。甘口のドイツワインの良さもあらためて知っていただきたいと思っています。


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かわりましてここからは別の会です。
南会津のイワナづくしの料理にヴァインベルクのワインを合わせるという企画を数年前からやっていまして、好評なので毎年恒例となっています。


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今年はこのようなラインナップにしました。
どの料理とも相性が良かったのでがビッケルシュトゥンプのジルヴァーナーでした。日本酒のように料理をつつみこむような感覚でお愉しみいただけます。
ロゼのゼクト、先でも紹介してしているミュレンのファインヘルプ、ファルケンシュタインの甘口カビネットは、マリアージュというように料理と合うというよりは料理に寄り添って楽しめました。それぞれのワイン自体のおいしさも感じていただき参加されたみなさまは満喫されていました。


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田舎の料理なおで塩味が強くて濃いというのを想像されるかと思いますが、絶妙の味つけでうまみを感じる料理はヴァインベルクのワインととても相性がよいのです。
イワナの塩焼きは、ワインとの相性というのを考える以前に食べ物自体のおいしさに夢中になってしまいました。味噌焼きのほうがワインと合わせては興味深いかと思います。

今回相性としてびっくりしたのは、ラインヘッセンのグッツラーのリープフラウエンシュティフトのリースリングGGがこの時期ならではのイワナのたまごと相性がとてもよかたです。このワインは他のリースリング辛口よりも包容力のある上質なクラスのワインで、以前スッポンの会で茶碗蒸しと雑炊と相性が良かったり、卵だったりワインと合わせるのが難しい食材と相性が良かったりする不思議なワインです。同じ造り手のモアシュタインのGGではこうはいきません。
この会では、過去に1993年のマルティン・ミュレンのアウスレーゼを合わせてみたりと少し冒険をしていみるのですが、毎回いい方向に向かっていてほっとしています。


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赤ワインは食事の後半に提供することとなり、このうまみの詰まった鍋と大根ご飯に合わせることとなるのですが、うすうまのドイツの上質なピノ・ノワールは全く違和感なく楽しめるのです。
今回はアールのヨステンウントクラインのラーヒャーベルクのピノ・ノワールを選びましたが、好評でした。

こういった内輪の会にもお呼びがかかれば伺いますのでご相談ください。


今年はおそらくあと一回だけとなりますが会を開催します。
あまり紹介できていないワイン、ヴァインベルク店主自体も最近飲んでいないワインを提供します。ファルツのシュピンドラーのリースリングの特級畑のトロッケン飲み比べ、リューデスハイムのピノ・ノワールなどを考えています。
11月23日の水曜祝日に新宿リースリングで18時から、会費8,000円となります。
https://www.facebook.com/events/555153909038253/




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