2016年01月15日

ヴュルテンベルクのクナウス醸造所訪問2015年

モーゼルでもう一軒訪れているのですが先にヴュルテンベルクのことを書きます。

クナウスKnaussは2014年に訪れた時に気に入り、2015年から輸入を開始しました。
醸造所の紹介はネットショップに載せていますのでそちらもご覧いただけるとうれしいです。
前回の訪問は醸造所での試飲とケラーの見学でしたが、今回は試飲に加えて、ゲストハウスに泊めてさせてもらい、車で畑を案内してもらいました。

モーゼルから鉄道で、コブレンツでIC(特急)に乗り換えてシュトットガルトまで向かい、そこからSバーンでクナウスの醸造所のある最寄り駅まで向かいました。クナウスの当主であるアンディが迎えに来てくれて車で醸造所兼住居まで連れていってもらいました。
住居は醸造所と同じ建物なのですが、丘をまわっていった高いところに住居の入り口があります。その隣にも扉があってワンルームのゲストルーム(トイレ、シャワー付き)があってここに泊めさせていただきました。


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アンディと奥さんと双子のお子さんと一緒に夕食を食べました。
仔牛を焼いたものとマッシュポテトでした。ソースはクナウスのレンベルガーのワインを使ったそうです。
食事をとりながら6種類の赤ワインを試飲も兼ねながら飲みました。レンベルガー(ブラウフレンキッシュ)だけでなくシュペートブルグンダー(ピノ・ノワール)も相性抜群でした。
リラックスできるスペースであり時間もあったので色々と話すこともできました。日本のドイツワイン事情、飲み手がとういうものを求めているのか(一般的、ヴァインベルクの顧客、両方の観点から)、なども話すことができてよかったです。
ビオについての考え方などもお互いの意見を言ったりしました。クナウスは亜硫酸無添加のワインも作っているのですが、それはアメリカでは大人気とのことですが、僕とアンディの奥さんはあまり好みではない、と言ったら苦笑していました。


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翌朝は、車で畑をまわるということになっていましたが、まずは行きつけのパン屋さんでパンとコーヒーで朝食をとりました。
ドイツはあまり知られていませんが、パン屋さんがそこらじゅうにありパンのレベルも高いです。僕はドイツの菓子パンが大好きなのですが、ナッツのペーストが入っているパンとカプチーノ、シンプルだけど満たされる朝食でした。
そのパン屋さんのある街はシュトルンフェルバッハStruempfelbachで、ロマンティック街道と同じような木組みの建物が並んでいます。ヴュルテンベルクの地域にもこういった建物が残っている街がいくつかあって、日本人にはあまり知られていませんが観光地として訪れている人も多いとのことでした。


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当主のアンディです。お父さんも醸造所を持っていましたが、彼に引き継いでから高品質なスタイルのワインを目指すようになったそうです。オーストリアで数年学んだ以外は独学とのことですが、ドイツだけでなくアメリカなどでもクナウスのワインは評価されています。


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クナウスの所有する畑はこういった斜面がほとんどです。いくつかの場所を案内してもらいましたがどこもこういったかんじです。
くねくねと道路をまわりながらかなり標高の高いところまでブドウ畑は続いています。クナウスは3つの異なる村名の畑を持っていますが、一つ一つの畑名のエリアの面積はけっこう広いです。
そして車で通っているとよくわかるのですが、畑の斜度はまちまちだし、向きもまちまちです。ということは広範囲で同じぶどうを育てていても、それぞれの実の特性が変わってくるのです。
クナウスの所有する畑の場合、赤ワインだとトロリンガーは実がよく熟すように斜面に植えられていて、シュペートブルグンダーはうねっていて保湿性の高いエリアのゆるやかな斜面に植えられていたりしました。


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区画の特性の違いで重要な要素のひとつが土壌です。
サイクリングなどで観光客なども通ることもあってかこういう看板が用意されていて、これがとてもわかりやすいです。
この周辺は標高によって地質が異なるのです。
この地域はフランケンと同じ三畳紀の地層です。三畳紀は名前のとおり年代によって三層にわかれているのですが、ヴュルテンベルクはコイパーの地層です。
コイパーといってもその年代がとても長くいくつもの異なる要素によって層が構成されているのです。
コイパーの年代は他の2つよりも1000万年以上長い2400万年続いたそうです。
図のように異なる要素の地層が積み重なっています。なので標高によってその地層が異なるということを表しています。
ザントシュタインSandstein(砂岩)でも地層によってきめ細かさが異なったり、メルゲルMergel(マール、泥灰岩)には石灰質が含まれたいたりということで、水はけや保湿、実の構成要素が異なったりということありぶどうの味わいが変わってくるのです。
クナウスだけでなく、この地域では赤ワインは石灰質の土壌に植えられていることが多く、地質を意識してブドウが植えられていることがわかります。

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岩肌が見えているところがあったので撮りました。ここは標高が高くキーゼルザントシュタインKieselsandsteinのエリアです。
ぶどうが植えられているところも1メートル下にはこういった岩の地層が広がっています。


斜面の向きや斜度、上と下で地質が異なるなど、いつくもの要素により小さい区画ごとに特性が異なるのです。それらのことがあって、同じ畑名であっても区画ごとにテロワールにあったぶどう品種が植えられているのがレムスタールの地域の特徴だと思っています。


クナウスは3つの村の畑から30以上の区画を所有しているとのことでした。同じ品種でも先に書いたように区画によって特性が違うので別々に醸造をしています。それぞれをタンク、樽で発酵、熟成させた後に、瓶詰前にブレンドしています。それぞれを試飲しながら、グーツ(ハウス)ワインにブレンドするのか、ランクが上のワインにするのか、などを考えています。ブレンドもワインの個性を出すための重要な仕事でセンスが必要です。クナウスはグーツワインでもおいしのはこういったことも要因にあるのです。
また、他の地域でも複数のタンク、樽をブレンドして瓶詰めすることはありますが、レムシュタールの場合、畑ごとに分けるというのは、先に書いたように区画によってキャラクターが違うのでその分け方はナンセンスで、畑名は気にせずにそれぞれの個性を活かしたブレンドのほうが、この地域にはあっているのです。なのでクナウスは一番上のワイン以外は畑名の記載はなく、G、S、Rという独自のランクで価格に差をつけています。同じ村の畑や単一畑に固執するよりも良質なワインにすることができるからです。
クナウスがなぜ従来のドイツの表記をしていないのか、ということが畑をまわって理解することができたのです。


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畑をまわっているとエリアごとに樹の仕立て方が異なるのが面白かったです。それはすなわち所有者が異なるのでやり方が違うということです。
かなり多くの生産者が畑を所有していて、地産地消のもの、農協にぶどうを売るためのもの、醸造まで一括して管理して高品質なワインを目指す生産者、というのがこの畑の中に入り混じっている、というのがちょっと見るだけでもわかります。
クナウスはビオの造りをしていて極力農薬を使っていないのでこのエリアは雑草が生えています。地面を見るだけでも生産者ごとに異なるのです。

前日の夜にこのシーズン初めての雪が降ったので少し白くなっていて葉も実もない光景の見栄えをよくしてくれていました。


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醸造所に戻り、ケラーで少し話をしてから白ワインの試飲をしました。
ケラーでは、R(レゼルヴ)のワインには300リットルのバリックも使っていたけれど昨年からは500リットル以上の木樽のみを使うことにしていました。樽の風味を重要視しているところもある中での彼の決断は興味深いですし、テロワールを重視し果実味もあるワインを自分(ヴァインベルク店主)は好むのでこの傾向に賛同しています。
2014年産は2013年産と異なる部分も多く色々と感じるものがありました。輸入する量が限られてしまうので、たくさんの種類を選ぶことができないので選ぶのが大変でしたが、日本の方に紹介したいと思うワインを選びすでにオーダーしています。3月には販売を開始できると思うので楽しみにしてください。


アンディは日本に来たいと言っていて2016年のシーズンの冬にも実現するかもしれません。
最初、変わり者と言ってかれを紹介されたのですが、まったくそうは思わなくてすぐに意気投合しました。ワインだけでなく実直にワイン造りに向かい合っている彼の人柄も知っていただければと思っています。



ドイツワインショップ ヴァインベルク
http://weinbergwine.com

posted by ヴァインベルク at 16:01| 醸造所紹介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする