2016年03月19日

ビッケル・シュトゥンプ醸造所訪問その2 醸造所紹介

前回ブログに書いた前日のパーティーからホテルに戻ったのが1時すぎだったのですが、ワイナリーの人たちはその後片づけをしてから寝るということで2時以降になるだろうから、9時の約束を10時にしてほしいと言われ、状況はわかっていたのでその時間に醸造所に向かいました。

フリッケンハウゼンFrickenhausenは、フランケンワインの産地で最も大きい街であるヴュルツブルグからマイン川沿いを南に降りて(上流ですが)向きが変わったところにあります。この画像だと真ん中の一番下です。色が塗られているのがブドウ畑ですが、川沿いの向きに畑があるので南向きの斜面というがわかるかと思います。


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この街の目抜き通りです。川に平行していて、この道のまわりに横に細長く街が形成されています。とても小さな街です。


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街の中心の広場にある教会の横を川から遠ざかる方向に斜面を登って行ったところにワイナリーがあります。


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醸造所の入り口です。ここで前日集まって飲んでいたのでした。この日も夜イベントがあるのでそのままになっていました。


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ワイナリーのスタッフです。奥にいるのが先代、真ん中の女性がその娘でメラニーさんです。営業を担っています。写真には写っていませんがお兄さんがマティアスで(前回の投稿でアイスワインを注いでいた人)、彼が現在醸造所を担当していてこの2人が現在醸造所の中心です。マティアスもメラニーも結婚しているので二家族での経営ということになります。

10時に着くと、観光客のような団体がすでに座っていてメラニーもいて対応していたのですが、シャワーを浴びた後らしく髪をタオルで巻いていて、セットしてくるから15分くらい待っていてと言われました。家族経営の醸造所所らしい一面でした。

その間に畑のほうに行くことにしました。醸造所を出て川と平行に街の中心から離れていくとすぐに住宅がなくなり畑が広がっていきます。画像は斜面の畑の中腹で、この道路の上と下にブドウ畑があります。
Kapellenbergという畑で、街に近くこの道から下の斜面の一画はグローセス・ゲヴェックス(GG)に認定されているMoenchshofという畑名になっています。由来は聞いていませんが、どちらも教会に関係した名前になっています。
この日の朝に初雪が降ったので薄く白くなっています。


醸造所に戻り試飲会開始です。前日にも少しずつ話は聞いていたのでイントロダクションは少なめで試飲を始めました。

この醸造所の一番の特徴は、離れた2つの土地に畑を所有しているということです。
先代のCarmen Bickelの家系はヴュルツブルクから北にある川沿いの町テュンゲルスハイムThuengersheimでワイナリーをしていて、Reimund Stumpの家系はフリッケンハウゼンでワイナリーをしていました。
この2人が出会い結婚し、新たにBickel-Stumpfという名前でワイナリーを設立し、家族が所有していた畑を引き継いだのです。
離れている土地にあるというだけでなく、この2つの土地の土壌構成が異なるということが現在のマケーティングの中でとても重要な要素で売りにできるポイントなのです。

フランケンの土壌は三畳紀(トリアス)と呼ばれる時代の土壌で、その中でも大きく3つに分類されていて土地により異なっています。ざっくりいうと北がブントザントシュタイン(雑食砂岩)Buntsandstein、ビュルツブルクのあたりも含めた真ん中が日本でも飲まれているフランケンワインのほとんどを占めているムッシェルカルク(貝殻石灰)Mushelkalk、さらに南西の地域にコイパー(泥土岩)Keuperという土壌です。
この3つの土壌の畑のワインを飲み比べてみると、同じフランケンといえど味わいの特徴が異なるのがわかります。

北にあるテュンゲルスハイムがブントザントシュタイン、南に位置するフリッケンハウゼンがムッシェルカルクの土壌ということでそのポイントを最大に生かすような商品構成にしています。


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その中で一番わかりやすいのが、それぞれの土壌の畑のぶどうで通られたジルヴァーナーのワインです。商品名がその土壌になっています。
画像がそれぞれの土壌を形成している石です。左の赤みを帯びているのがブントザントシュタインで少し厚みのある味わい、右ムッシェルカルクは貝を中心とした生物による蓄積物の多い土壌でフワッとした印象を受けます。

ジルヴァーナーやリースリングはどちらの土壌にも植えられていますが、他のブドウ品種はそれぞれに適した土壌の畑に植えられています。赤ワインの品種はブントザントシュタインのテュルンゲルスハイムの畑のみに植えられているそうです。
フリッケンハウゼンには一区画に多様な品種が植えられているところです。収穫したものを分けないで醸造するいわゆるゲミュターザッツGemischter Satzで、オートストリアのウイーン近郊にあるワイン酒場ホイリゲではこの手法で造られたワインが飲まれています。
フランケンでもひと昔前はゲミシュターザッツが多かったそうですが、時代の流れが単一品種の志向になっていたので植え替えられていって今でもゲミシュターザッツによって造っているフランケンの生産者はほんの一握りになっています。ゲミシュターザッツはフランケンの伝統でもあるとい言えるのですがそのことを認識しているのはほとんどいないという状況なのです。この醸造所では2007年から再びゲミシュターザッツのワインの生産を始めたそうで、ここのは名前の聞いたことないような品種も含めて10種類のぶどう品種がブレンドされています。ただ、量が作れないことと貴重だということで価格は安くはないので値段相応の味わいか言われると少し返答に困ってしまいます。


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というような話をしながら試飲を進めていきました。
キャップシールが赤いものがありますが、これらは全て赤ワインというわけではなく、VDPの呼称のエアステラーゲEraste Lage(以前の等級でいうシュペートレーゼに相当)以上のワインは金色のキャップシールで、それ以外には醸造所のロゴにも使われている赤色をキャプシールにしているということです。
また、現在はフランケン特有の丸みを帯びた瓶ボックスボイテルは使用していなくて、全てが細長い瓶に入ってリリースされています。輸送中に割れやすかったこと(平積みするため)、業者が取り扱いしづらいこと(スペースをとるので)をふまえてメリットよりデメリットが大きいということで全廃という決断をしたそうです。ブルゴーニュ品種やGGクラスはボックスボイテルは使わないという生産者はかなり多くなりましたが、完全に使っていないというフランケンの生産者はまだ少ないと思います。
画像で一つだけボックスボイテルがあるのは2010年のジルヴァーナーのGGだからです。


若者でも飲みやすいような軽めのワインになるようにブレンドで造っているシリーズTwenty Sixなど、今の大多数が常識だとは覆わず、自分ができることでいいと思ったことはまわりにとらわれず信念を持ってやるという姿勢の作り手です。他と違うこともするので革新的とも見えますが、本人たちにとっては自分たちにとっては最良の選択をしているにすぎないことなのです。

先にふれたゲミシュターザッツやどブラウフレンキッシュ、ドミナ、カベルネ系をブレンドしたものなど今回輸入した以外にも興味深いワインがいくつかありましたが、今回は醸造所の傾向がわかりやすくなおかつ素直においしいと思えるワインを価格も考慮しながら選びました。そうやって悩みながら選んだのがトゥウェンティイシックスの白、ブントザントシュタインのジルヴァーナー、2009年のシュペートブルグンダーの3種類です。

個人的にはこの造り手のワインはムッシェルカルクの土壌のワインよりブントザントシュタイン土壌のワインが好みだと感じました。しかしこの造り手で一番最初に飲んだのはムッシェルカルク土壌のジルヴァーナーのGGでとても気に入ったので、1ヴィンテージだけ一通り飲んだだけでブントザントシュタインのほうがよいと決めつけるのはしないほうがよいと思いました。

土壌などのうんちくがなくてもおいしいと思えるワインを入荷したので多くの方に飲んでいただきたいです。

ネットショップでの商品掲載は3月21日の週に順次更新していきます。



ドイツワインショップ ヴァインベルク
http://weinbergwine.com



posted by ヴァインベルク at 07:20 | TrackBack(0) | 醸造所紹介 | 更新情報をチェックする

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