2017年04月30日

モーゼルの知られざる急斜面の畑 マルティン・ミュレン醸造所訪問2017年3月

今回はモーゼル中域トラーベン・トラーバッハTraben-Trarbachに醸造所のあるマルティン・ミュレンMartin Muellenです。
ヴァインベルクを始めてからドイツに来るたびに訪れているのでもう5回目の訪問となりました。
2015年の時にはヒューナーベルクの畑を訪れたのですが、今回はもうひとつの彼のフラッグシップの畑であるKroever Paradiesの畑を訪れたいリクエストを事前にメールで出していました。ということでトラーベン・トラーバッハの駅で待ち合わせをして当主のマルティンMartinと再会し車でパラディースの畑へ向かいました。
パラディースはトラーベンより上流にあり、少し離れたところにあります。村としてはヴォルフWolfよりさらに上流側です。ベルンカステル、ユルツィッヒ方面から車や船で何度か通っていてこの畑だというのはわかっていたのですが、メインの通りは反対岸なので畑に来るのは初めてでした。


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この小さい村の中を抜けて川沿いの小道を少し進むと畑にたどり着きます。この辺は花が咲いていて(おそらくアーモンド)、この時期に通るのが楽しみとマルティンも言っていました。


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パラディースと名の付く畑は反対岸にもあるのですが、急斜面でなかったりシーファーの土壌でなったりしていて、こちら岸の畑を所有しているのはマルティン・ミュレンのみです。南西向きの川沿いの急斜面のシーファー土壌のパラディース(楽園)の畑を所有しているのは彼のみなので、他の生産者のパラディースとは全く異なるワインなのです。同じ畑名でも生産者が持ってる区画でテロワール、質ともに全く異なる、という代表的な例です。
反対岸のパラディースはこの写真では写していません。手前の斜面はシーファー土壌のシュテッフェンベルクSteffenbergとレッターライLetterlayで、蛇行している部分はヴォルフの畑ですがミュレンは所有していません。


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反対岸から見るより高さはありました。上の岩からシーファー(スレート、粘板岩)土壌というのがおわかりいただけるかと思います。
この写真のエリアはほとんどが樹齢100年後のリースリングが植えられているとさらっと言っていました。一番古いのは110年だそうです。ヴルツェルエヒテWurzelechte(フィロキセラの害を逃れた接ぎ木していない樹)なの?と聞いたらそうだと返答が。そういうところも売りにできるのにアピールしていないのも彼らしいと思いました。

この中に数本だけジルヴァーナーが植わっていて(樹齢100年!)、収穫したら彼のお母さんがスープに入れるとか、ここに生えるハーブがおいしいとかいう話を聞きながら畑を見てまわりました。


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下流寄りに移動した部分です。あきらかに石(シーファー)の大きさが異なるのがおわかりいただけるかと思います。
こういう区画や赤色や青色、酸化した石が混ざっている区画があったりと部分ごとに条件が異なるのです。JippiやDeareとワイン名につけていますが、それは彼がつけている区画の名前なのです。話はpには聞いてみましたが、実際に違いの説明を聞いて味わいを思い浮かべるとなるほどとそれぞれの個性を納得することができました。
こういう微妙な違いで、水はけ、温度、保湿状況が異なり、ぶどうの実にも違いが表れます。それをわかって区画ごとに収穫して別々に醸造、発酵をしているのでそれぞれの個性が出るのです。
どれも自然発酵なのですが、同じ遅摘みでも、この区画の違いによりトロッケンまで発酵したり途中で発酵が止まり甘口になったりするのは興味深いことです。
と、パラディースの中でも細かい違いはあるのですが、パラディースの畑のほうが果実味が出る味わいになっていて、ヒューナベルクのほうが複雑みのある味わいになる傾向にあります。


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これは昨年撮ったものです。反対岸からのです。岩のある写真のが右側で、石が細かいのは左のブロックの左端です。この左側にももう少し畑はあります。



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わりとこの辺りは樹齢が若い(といっても30年から50年)区画なのですが、異なる栽培方法を試しています。
伝統を守りつつも、よりよくしようと新しいチャレンジを試みる彼の姿勢がこういうところからも伝わります。


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一通り見てから彼の住居兼ゲストルームへ。
知らない人の方のために書くと、この100年前の畑名と良し悪しのわかるモーゼル川周辺の地図の彼の所有する周辺の部分を彼のワインのラベルにしているのです。
途中で奥さんにも会いました。昨年、大きな病気をして入院していて、退院後も少しも家を出ることができなかったそうなのですが、今年になって散歩もできるようになったと聞いて安心しました。再びお会いできたのが嬉しかったし、奥さんの様子を嬉しそうに話す彼を見ても安心しました。


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いつものようにたくさんの種類を試飲しました。先に書いたようにパラディースの畑でもカビネット、シュペートレーゼ、辛口から甘口まで別々に造っていてたくさんの数があり、他の畑でも同じようにしているので年間膨大な種類をリリースしています。
そして全てをすぐに販売するのではなく、熟成させたほうがよいと思うものは少し置いてから販売を開始する、というのもマルティン・ミュレンの特色で、色々なヴィンテージのワインを試飲することができます。
今回は2015年を中心に選んでくれましたが、2000年代、1990年代のもいくつか試飲させてもらました?97年のトロッケンが素晴らしくて、買って持って帰りたいと言ったら、別のところに保管してあるから無理、また今度、と言われました。彼にとってもとってもおきでお宝なようでした。
通常の輸入は価格の面と数量が少ないのでできないのですが、ワイン会にということで93年のアウスレーゼを購入し持って帰ってワイン会で提供したのですが、甘みは強くないけど奥行きと落ち着きのある味わいで参加者にとても好評でした。
若いワインでもどれも素晴らしくて、それぞれに個性があり、次回のオーダーでどれを輸入することにするかとても悩んでいるところです。どれもおいしい、というのはそれそれで輸入者にとっては悩みの種です。価格や料理との相性を考えながら選びます。
このワインは、数日前にロバート・パーカーが来た時に開けたワインだ、とかテクニカルな話以外にもたくさんのことを話しました。

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彼は毎回、私と同じ量をグラスに注いで一緒に飲みます。それを3時間くらい続けているのでマルティンも私も後半はほろ酔いです。飲み仲間というかんじで会話をしています。写真は、彼も酔っているので車ではなく徒歩で駅に一緒に行ってくれるという時の写真です。販売用とは別に個人用に購入して持って帰るワインを持ってくれています。この表情が物語っているかと思います。僕といることをとても喜んでいるのがよくわかって、それがとてもうれしいです。少年のような純粋さがある彼自身が大好きだし、彼の造るピュアなワインももちろん大好きです。


マルティン・ミュレンのワインはこちらから

ドイツワインショップ ヴァインベルク
http://weinbergwine.com




posted by ヴァインベルク at 19:27| 醸造所紹介 | 更新情報をチェックする