2018年05月25日

2017ヴィンテージについて 自然に向き合う大変さが表れた年

今年新しくリリースされる2017ヴィンテージについて少し書きます。
醸造所やマインツで行われたVDP加盟の醸造所が集合する新酒試飲会でもたくさんの2017ヴィンテージを飲んだので。


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昨年訪れた3月のプロヴァインの展示会くらい前年収穫したワインが試飲で出回るようになります。
4月くらいにはすでに販売を開始されるものも多くなり、今回訪れたVDP新酒試飲会では大半がニューヴィンテージ(2017年産)の試飲となります。しかしまだこの時期は、まだボトリングされていなくてタンク、樽から直接とってきた、いわゆるファスプローベFass Probeのワインもたくさんあります。
前の記事で書いた通り、ドイツは早くから販売されることが多い傾向にあり、そのため展示会でも新しいヴィンテージの試飲をたくさん出しているのですが、時間が経ってこそ良いワインになるものも多く、この時期で質を判断するのは難しいワインもたくさんあります。
そのこともふまえた上で2017ヴィンテージの話をします。

まずは2017ヴィンテージの大きな特徴を2つ。

1つは生産量がかなり少ないということです。
生産量は年の平均の20%減という数字が出ています。

4月末に全国的に氷点下となり、局地的ではなく大半のところで霜で芽がやられ、半分から70%くらいがダメージを受けてしまった生産者が多数ありました。これはドイツだけではなく、ブルゴーニュやオーストリアなど他の国でも起こったことなのでご存じの方もいらっしゃるかと思います。

その後、天候がよかったため新しく出た芽により少し生産量が回復したところもありますが、それでも平年よりは大きく量が減ることとなりました。加えて、局地的なこととして雹により生産量が減ってしまった造り手もたくさんあります。特に、実が成った状態での雹によるダメージは致命的です。
どこがどれだけやられたという話はあまり把握はしていませんが、試飲会などではラインガウでは収穫前の雹の被害がかなり大きかったと聞きました。エストリッヒの著名な造り手では生産量が半減してしまい、例年はアウスレーゼは、ノーマル、ゴールドカプセル、競売会用と分けて作るのにこの年はノーマル1種類にせざるを得なかったという話を聞きました。他にもそういう例がたくさんあると思います。
リューデスハハイムは少し気候が異なるので雹は降らなかったそうで、少しの違いで被害に合うか合わないかが決まってきます。霜も大きな範囲ですがその中でも川に近い、遠い、下、上などで被害に差が出てきます(ただこの年は斜面でも多くの霜の被害があったそうです)。
2016年は霜で所有していた区画の大半がやられてしまったけれど、昨年はその区画は無事だったなんて話も聞きました。
こういったことは毎年起きることで、生産者は被害に合わなければ感謝をし、被害に合ってしまったらその事実に向き合って進んでいかなければなりません。こういった話をしているとどの生産者も、自然と向き合って商売、生活しているのだからしょうがないことだ、ということを言っています。
2010年代からはずっと順調だった樹が霜や雹で昨年多くやられてしまったという話を畑で聞いてました。ところどころに新しく植えた樹があったりするのも、昨年やられたから、というのを聞いたりしました。ヴァインベルクの輸入している造り手には樹齢が80年を超えている樹の区画を所有しているところも多く、そういう話は本当に悲しくなります。


2つ目は収穫時期が早いということです。
夏は天候が良く、例年より半月くらい収穫時期が早かったそうです。史上最速、と言っているところもあります。早かったということはありあますが、被害を免れて残ったぶどうは健康に育ち、良質なぶどうを収穫できています。
収穫が早いことによりぶどうに差が出るのか、ということはここではあまり書きませんが、収穫タイミングが多いと樹につながっている時間がない、ゆっくり実が育った、という時とは少しキャラクターが異なるというのは明らかかと思います。いい悪い、というのは別にしてですが。

大きなまとめとしては、生産量は最悪、質は良かった、という年です。
消費者としては選んだ飲む一本がおいしければよいので、そのクオリティが平均的に良ければよい年、なのですが、造り手、インポーターにとっては量が確保できないと商売ができないので、クオリティの良いワインがある程度の量がなければ良くない年、という言い方をすると思います。


そして、実際に飲んだ感想なのですが、正直まだ傾向が見えません。
わりと同じようなタイプに感じました。酸は強くなく飲みやすい、というものが多く、低価格のグーツヴァインならば今飲んでもおいしく飲めるワインもいくつもありました。そういうワインは素直な味筋(薄いというわけではなく)というようタイプが多いかと思います。
しかし、まだキャラクターが出ていないワインも多いようです。収穫時期が早かったわりには、ボトリングは例年より遅めの傾向にあるようで、熟成がゆっくりなようで、飲むのも秋以降にするべきワインが多いのかなと思います。
試飲会ではその中でもポテンシャルを判断しなければいけないのですが、2017ヴィンテージはこの段階ではあまり傾向が見えない、というのも特徴かなと思いました。なんとなくですが、残糖が少しあるタイプのワインのほうがいいバランスになる年だったのかな、とは感じましたが。また、モーゼルのワインは、ボリューム感がある、酸がない、というのではなく、なんとなく重さがある、と感じたワインが多かったです。特にリースリング・トロッケン(辛口で)。
というように、味わいの面ではまだ参考にならないレポートとなりました。もっと早い3月に訪れた昨年(2016ヴィンテージ)のほうがもう少し傾向がわかったのです。


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そういった中でも毎年飲んでいる造り手、ワインだと、クオリティyこの先の変化がなんとなくは見えます。どういった傾向の年ということは説明できなくても、といったかんじですが。
VDP試飲会ではフランケンのビッケル・シュトゥンプの2017ヴィンテージを試飲しましたが、土壌違いのオルツヴァインのジルヴァーナーのポテンシャルは感じることができました。夏には決めて輸入したワインを販売します。


少し色々な話をつめこんで書いたので、ヴィンテージのことに関してはもう一度書こうと思います。



ドイツワインショップ ヴァインベルク
http://weinbergwine.com



posted by ヴァインベルク at 20:56| ワインのためになる知識 | 更新情報をチェックする