2018年05月28日

ヴィンテージの話 まとめ編

前回の記事では2017年のヴィンテージについて書き、その前の記事では、ワインには時間が必要、ということを書きました。
重複もする内容もありますが、それらのことをもう一度まとめとして書いていきます。
ヴィンテージの感想を具体的に書いているものは、ドイツワインに関してで、主に白、リースリングを多く飲んでいる中での感想です。


ドイツでは3月、4月、5月の試飲会で前年のワインが出てきますが、その段階でポテンシャルがわかるワインは多くはない。特に木樽熟成、天然酵母のワインは、おいしく飲めるまで時間がかかるので、判断はできるとしても早くに飲むべきではないワインもたくさんある。
特に2017年産は時間がかかる年で、この段階での判断は特に難しい。まだ傾向を判断するには早すぎる。

いい年、悪い年というのは、出来たワインの質という見方だけでなく、生産量、高く売れるもの、売れ筋となるワインが多いか、という生産者、販売者目線での考え方もある。遅霜、雹により生産量が落ちた醸造所が大半なので後者の点では2017年はとてもよくなかった年といえる。しかし天候はよく、生産されたワインはクオリティの高いワインが多い。しかし先に書いたとおりポテンシャルが見えないワインが多く、飲み頃もつかみにくい。

トロッケン(辛口)の白はフレッシュなうちに飲むほうが良いといわれていて1年以内にと考えている方が多いが、2016年産は1年たった今でもオルツヴァイン(カビネット・トロッケン)であっても今飲んだほうがよさが出ているワインも少なくない。そしてエアステラーゲ(シュペートレーゼ)、グローセスゲヴェックス(GG)のクラスはもう数年経ってから飲むとさらに良さが出るポテンシャルの高いワインが多い。

2015年もポテンシャルの高い年、とされているが、果実味と深みのある傾向のため、フレッシュで早飲みに向いているワイン以外はもう少し待ったほうがよい。そのかわりに2014年は白も赤も今が飲み頃のトロッケンが多い。
時間が経ってこそワインは良さがわかると考え、ボトリング後すぐにリリースをしないでとっておいている生産者で2014年産があれば試してみるとよい。日本でもあれば飲んでみるとよい(ポテンシャルの高いGGクラスはもう少し待つべきかもしれないが)。

というようにまとめてみました。
これらのことをもう少し詳しく書いている今までの記事をあらてめて一覧にします。

ワインの時間、熟成について need time

時間と熟成の話 少し補足です

2017ヴィンテージについて 自然に向き合う大変さが表れた年


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昨年は空輸で少量のみで、今年は秋ごろに本格的に輸入を開始する予定のラインヘッセンのグッツラー醸造所では、赤も白も2014年よりも前の
ヴェストホーフェンWesthofenの畑のグローセス・ゲヴェックス(VDPの辛口最上級の格付け、GG)を何種類か用意していただき試飲させてもらえました。2015や2016では早すぎる、とリースリングは2014から2012、赤は2010や2007を持ってきてくださいました。特に赤は、この段階で十分素晴らしかったのですが、このくらい経っていてもまだまだ熟成しての変化、ポテンシャルがありそうと感じられました。
そして時間が経っていると同じ畑のヴィンテージ違いだとより差がはっきりわかります。飲み頃の時期が生産年から何年後と同じようには言えないことなどもわかります。
当主は、あまり良い年とはいえないヴィンテージと言われている2013年が好みだと話していました。甘みのある果実味よりも複雑味とパワーのある傾向のワインが多かったです。ヴァインベルク当主は別の年の果実味によるボリューム感があるほうが好みだと感じて、その違いが新鮮で面白かったです。どちらのタイプもこの造り手では質が高いワインなのですが、その中で好みが分かれます。
もちろん同じ年の中でも色々なタイプのワインが生まれるわけですが、ヴィンテージで比べてみると、それぞれの年の共通する部分があったりということも見えてきます。

ヴィンテージというくくりでのとらえ方のことを書いていきましたが、先入観から入るのはあまりよくない、いうことも書いておきます。いいヴィンテージ、そうでないヴィンテージ、というのを目にすることもありますが、先に書いた通り色々な目線がありますし、全体として質が高いのか、長く熟成することができるワインが生まれた年なのか、などということでも色々な見方から良い悪いということができてしまいます。
なので、気候や生産量、どういう傾向のワインになるのかということをある程度理解してからヴィンテージという見方をしてみるとよいかと思います。また、同じ地域であっても局地的に傾向が全然異なる場合もあり、造り手と話しているとそのヴィンテージでイメージしていたこと真逆なことを言っていたということもあります。
それと、ドイツの場合では、酸の出方(果実味などバランスも含めて)はヴィンテージの特徴としてとらえるべき一つなのですが、モーゼルでは2016年は酸が強めに感じるのですが、ファルツではそうではなかったり、ラインガウでは2015と2016が酸の出方が全く逆、というような話も今回のドイツ出張では話をしました。

知れば知るほど深いので、理解する、というのはドイツワイン専門として仕事にしていてもなかなか難しいと感じているのですが、決めつけずに感じていく、というスタンスが特にドイツワインでは楽しめるかと思います。勉強、考察しよう、ではなくそういうやり方だとより楽しみながらワインを飲んでいけます。好奇心により考察をしていくのが、ドイツワインの場合はより深く知っていけるかと思います。



ドイツワインショップ ヴァインベルク
http://weinbergwine.com



posted by ヴァインベルク at 22:49| ワインのためになる知識 | 更新情報をチェックする