2018年06月08日

斜面でないけれどいい畑 畑の話その2 ファルツ、ラインヘッセンのグランクリュの話も

前回の記事ではドイツの斜面の畑の話を書きました。
そこで書いたようにたくさんの斜面の畑が存在しそこから良質なワインが生まれています。
しかし斜度がない平面の畑からも良質なワインが生み出されています。そういった話を、産地の特徴も含めながら書いていきます。
そのポイントは気候と土壌です。

南のほうが気温が高く温暖で穏やかな気候のため、斜面で直射日光を当てなくても完熟できるようになってきました。特に2000年代以降はファルツでは平面からもバランスの良い酸が強くない辛口ワインを容易に造れるようになりました。
大量生産のワインは他の地域でも平面に植えられていることは多いですが、家族経営の小中規模の生産者で良質なワインを造っているところも平面の畑からワインが造られている、というのもポイントです。


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ファルツのシュピンドラーの所有する畑です。このエリアはイエズスイーテンガルテンJesuitengarten、その奥の教会の前のエリアがキルヒェンシュトゥックです。その先はフロインドシュトゥックで、いずれもVDPではグローセラーゲGrosse Lageに認定されていて、グローセスゲヴェックスGG(辛口の最上級の格付け、ブルゴーニュのグランクリュ)をリリースすることができる畑です。どの畑も斜度がありません。シュピンドラーもこれらの畑から高品質なリースリングの辛口ワインをリリースしています。
そのまわりもほとんどの畑は斜度がなく、平面からも良質なワインが造られています。ダイデスハイム周辺、ワイン街道Weinstrasseのエリアの畑の大半は平面です。南ファルツや西の丘には斜面の畑もありますが、斜面だからよいブドウができるわけではないのです。特性によって植える品種を分けていたりしています。水はけがよすぎると、など斜面であることのデメリットがあったりもするのです。
モーゼルやラインガウなど斜面がいいというところでも、赤の品種は、斜面がゆるやか、陽の当たり方、風通しなどでリースリングとは好条件のエリアは異なります。

そして平面でも、区画が細かく分けてられていてそれぞれに畑名がつけられていることも特徴です。一つの畑名で一つの生産者、ということではなく一つの畑名でも複数の生産者が所有しているのですが、その大きな理由は土壌にあります。もちろん最初に持っていた生産者によって分けられていた、所有者の理由によって、という畑もあるのですが。そういったことも含めてファルツは特にブルゴーニュの畑名の由来と似ている部分もあるかと思います。
特にフォルストの先のキルヒェンシュトゥックなどの良質な畑は、4ha前後で細分化されているのですが、地質の違いごとに分けられています。単一の土壌というわけではなく、石灰岩が多いところ、雑色砂岩が多いところ、玄武岩が混ざっているところ、というようなかんじですが、それぞれの畑からできるワインはそれぞれキャラクターが異なります。フォルストの場合は、イエズス会系の修道院が所有していた畑ということもあり、最良の畑がキルヒェンシュトゥック、その次の良質な畑がイエズスイーテンガルテンという畑名がつけられました。
また、全てが分かれているというわけではなく、同じくGGに認定されているウンゲホイヤーUngehauerは先の畑よりは面積が大きいのですが、区画によって、石灰が多くて斜度もある畑、平面だけど玄武岩も混ざっている、というように異なっていて、所有する区画の生産者によってキャラクターが異なる、というような例もあります。


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同じく斜度があまりない畑からGGが造られているのが、ラインヘッセンのヴェストホーフェンWesthofenの畑です。この村名ではキルヒシュピール、モアシュタイン、ブルンネンホイスチェンといった複数のグランクリュの畑名のエリアがあります。画像はモアシュタインですが、このように大半が平面です。グローセラーゲの畑の大半はリースリング、ピノ・ノワール(シュペートブルグンダー)が植えられています。これらの畑は、石灰岩、メルゲルなどが含まれていたりと、それぞれの土壌に特徴があり、まわりの広大な面積のブドウ畑があレスロームである中で、特色がありなおかつ特に良質なワインにすることができるため、畑名が異なり特別な畑とされています。
これらの畑は、これから輸入を開始するグッツラーも所有しています。

ラインヘッセンはゆるやかな丘や平面の畑が多く、土壌も特別ではないので、生産量は多いけれどそれほどいいワインができない、というイメージでした。しかしビオやヴァンナチュールだったりと高品質なワインを造ることを努力する生産者が増えイメージを変えることに成功することができました。その要因にはファルツと同じように温暖化により高品質なワインにするためのぶどうが造りやすくなったということもあると思います。
そしてそんなラインヘッセンの中でも、先のヴェストホーフェンのように平面だけれど土壌と気候がよく素晴らしいワインができるところ、ニアシュタインのように急斜面のところ(土壌もレスロームでくロートリーゲンデンだったりします)、など畑自体が良いところ、というのも存在しているのです。


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平面でもよい畑はある、地域の中でも色々ある、ということを書いていきましたが、最後は同じ畑名だけど条件がかなり異なる、という話です。
画像はヴュルテンベルクのクナウスの所有するヴァインシュタットの畑です。このように彼が所有する畑のほとんどは丘の斜面です。
このように丘はぐるっとまわっていて角度が異なるので陽の当たり方が異なります。急斜面のところもあれば、少し穏やかなところもあります。そして標高によって土壌が多少異なります。コイパーなのですが、その中でも少し年代が異なるのです。
そういった、区画によって条件が異なる畑なので、それぞれの場所に適したぶどう品種が植えられいます。この地域では特に、一つの生産者で一つの区画で大きな面積を所有しているのではなく、点々とたくさんの小さい区画を所有しそれぞれのエリアに適した品種を栽培しているのです。
一つの畑名、といっても違いが出てくることがおわかりいただけると思います。斜面の場合は、こういうことも重要になってくるのです。
モーゼルでは同じ生産者でも急斜面の畑で、5月初めの葉の生育が斜面の下と陽が当たりより暖かい上の方では全く異なる、ということも見てきましたの。そういうできるぶどうに違いができるところでは同じ品種でも同じワインにしないで別々に醸造していたりということもあります。

斜面の場合は土壌だけでない条件、平地の場合は土壌が重要、ということが大まかにですが言うことができます。


畑の話は細かくたくさん話さないと説明できない部分あるのですが、ドイツの畑の特徴(地質の説明ということではなく)を紹介できたかと思います。
また、テロワールが同じ条件でも、栽培する人によって、仕立て方や収穫のタイミングなどが変わり、ワインの味が大きく変わる、ということも最後に書いておきます。


ドイツワインショップ ヴァインベルク
http://weinbergwine.com

posted by ヴァインベルク at 20:26| ワインのためになる知識 | 更新情報をチェックする