ヨステン ウント クラインJosten&Kleinのワインが入荷しましたので、4月末に醸造所を訪れた時のことを書きます。
この造り手は、ヨステンとクラインが2011年に立ち上げた醸造所です。昨年のプロヴァインで試飲会で気に入ったので今年のドイツ出張で訪れました。きれいな味筋で好きな系統だからなのですが、アールで赤ワイン、ミッテルラインで白ワインと2つの地域のワインがあるのも魅力的だと思ったのです。
アールを訪れれるのは2回目でした。アールはドイツワインの産地の中では北に位置していますが、赤ワインの産地で、他の国のピノ・ノワールに引けをとらないし、醸造所のトップクラスのワインでも他の国に比べて価格が優れている、と思っている産地です。
朝6時すぎにヴィースバーデンを出発し、レマーゲンでローカル線に乗り換えてヴァルポルツハイムへ。駅でマーク・ヨステンと合流しました。
昨年のやりとりはもう一人のクラインさんとしていたのと、醸造所の住所はレマーゲンだったのですがアールに来てと言われていて、疑問を持っていたのですが、その答えが合流して車に乗っている間にわかりました。
今年になってヨステンさんは離れて別の醸造所で働くことになって、一人での運営になったそうです。そして費用削減、規模を縮小すること、自宅に近いということで、自宅のあるマイショス近辺のヴァルポルツハイムを本拠地にしたそうです。
ふとわいた疑問で、醸造所名はこのままにするの?と聞いたら、変えることも考えている、とのことでした。別れた理由までは今回はふみこんで聞きませんでした。

醸造施設があり、樽、ボトリングしたワインを置いているスペースは工業地帯の一画の倉庫でした。
この条件で何の問題もない、とのことで、ヴァインベルク店主もそう思いました。何の不自由もないようでしたので。
ここで2時間近く立って試飲しながら話をしていました。
試飲会のブースでの会話やメールではそこまでお互いのことがわかっていない状態だったので、ここでお互いの考え方などを色々と話すことができました。
その中で、マークがかなり強調して話していたことは、時間が必要、ということでした。ここでの話も含めてすでにブログの記事にしているのですが、樽での熟成を長めにしてボトリングは他のところより遅め、飲んでほしいのも収穫の翌年(赤ワインは2年後)では早い、というようなことです。時間が経ってこそ、我々のワインは本領を発揮する、ということをずっと言っていました。
そういった流れもあり、リリースして一番若いワインだけでなく、前のヴィンテージのワインもいくつか試飲することとなりました。
プロヴァインでは白はバレルサンプル(瓶詰め前のもの)の2016年産、赤は2015年産だったのですが、その時の試飲でも良さを感じていたのですが、もっと時間の経っているワインを飲むと、彼らの目指しているワインがよくわかりましたし、その魅力も感じることができました。
そして、輸入するのに選んだワインは、試飲会で気にいった2016年産のグラウブルグンダーとリースリングの甘口カビネット、2015年のオルツヴァインのピノ・ノワールでしたが、別のものを選びました。
色々と話をしてヴァインベルク店主の好みや日本のマーケットの話などをする中で、後半は2014年産を中心に試飲する流れとなりました。2015年産も試飲しましたが、暑い年だったのでより強さ、濃さがあるため、この1、2年で飲むには2014年産の方がよいという話にもなっていきました。
樽の風味の話にもなって、ドイツではリースリングでは樽の風味はつかない方がよいというのが一般的で、1000リットル(フーダー)、1200リットル(シュトゥック)の大樽でも、2回目、3回目だと風味がついてしまうのでなるべく避けるのですが、ここはそこまでそういうことは気にしていないということが印象的でした。その風味も含めていいワインになっていると感じているのだと思いました。
ヴァインベルク店主は、リースリングの樽の風味には少し過敏になっているので、強すぎるとあまり良い印象ではないのですが、2011年の醸造が最初の時はリースリングも新樽に入れたそうで、そのワインも飲みましたが、私は苦手でした。彼は時間が経てばあまり気にならなくなる、と言っていましたが、そのことに関しては同意はできないです。
ここの赤ワインに関してはそこまで樽の強さは感じなかったというのも印象的でした。
ドイツワインの樽の使い方についてもブログの記事にしています。

色々な話をした後はマイショスMayschossの畑へ。
モーゼルなどと同じような急斜面の畑が広がります。
アールは東の方は緩やかな丘陵の畑が広がり、西のこちらの方は、こういった渓谷で険しい雰囲気となっています。シーファー土壌なのは後者のほうです。

マークです。やさしい雰囲気が出ています。
このあたりがラーヒャーベルクです。グローセスゲヴェックスにも指定されているメンヒベルクのほうが陽当たりが強く濃いワインになる傾向にあるのですが、こちらの畑は、風通しがよく、エレガントなワインに仕上がる傾向にあり、こちらの畑のワインのほうがヴァインベルク店主の好みの条件の畑だと感じています。

このように近くで見ると急斜面、モーゼルのようなシーファーの砕けた石がごろごろしている土壌だということがわかります。
一通り話を聞いて質問した後は、マイショスにあるお宅へ。事前に聞いていなかったのですが、奥さんが料理してくださっての昼食とのことでした。近くのどこかで軽く食べようと思っていたのですが。
豚肉の香草焼きを作ってくださり、ゆっくり飲みたいワインを4本選んで持ってきていてそれらを飲みながらの昼食でした。輸入した2種類以外にソーヴィニヨンブランとグラウブルグンダーを持っていきました。
お宅の窓からは畑も見えて、いい場所に住んでるなーと思っていました。
マイショスの駅の目の前には畑が広がっています。
ここからヴュルテンベルクに向かったのですが、その間がなかなか大変だったのですがそのことはここでは書きません。
というような半日を経て、2種類のワインを空輸で選びました。
ステンレスタンクでの発酵、醸造ですが火山性の土壌とマセラシオンによってミネラリックでハーブの風味があり、そのニュアンスと果実味が一体となった他にはないタイプのリースリングです。
まろやかでコクのあるエレガントなピノ・ノワールです。アールの王道と言えると思います。バリック新樽で17か月熟成。
それぞれのワインの説明と醸造所のことはリンクした商品ページに書いてあるのでそちらもお読みいただけるとうれしいです。