2019年03月11日

醸造所訪問 ラインヘッセンのグッツラーGutzler その2リープフラウミルヒのオリジナルの畑見学と醸造所での試飲の感想

前回に引き続き、新入荷のラインヘッセンのグッツラーの醸造所を訪れたことを書きます。

前回は畑をまわった時のことと畑の話を書いていきました。
醸造所での試飲の話の前に、醸造所を離れた後に寄った畑のことから書いていきます。


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醸造所を離れた後に向かったのはヴォルムスWormsです。
なぜ、ここを訪れたかというと、グッツラーも所有しているリープフラエンシュティフト・キルヒェンシュトゥックLiebfrauenstift Kirchestückの畑を訪れるためです。
この畑はリープフラウミルヒLiebfraumilchのオリジナルの畑です。リープフラウミルヒと名付けられていたここの畑のワインの評判がよく、リープフラウミルヒの名前だけが自由に使われるようになり、まわりの畑でそれほど質のよくないワインでもリープフラウミルヒとして売り出され、イメージが悪くなってしまいました。
このオリジナルの畑はヴォルムスの街中にあります。まわりは住宅ばかりで他の畑は郊外にあります。
前にある高い建物が聖母教会です(この街の有名な大聖堂とは異なります)。この塔の影が届くところまでがリープフラエンシュティフト(聖母修道院の)キルヒェンシュトゥック(教会の区画)の畑とされていたそうです。
現在は塀に囲まれていて大部分はファルケンベルク社が所有して、その中の0.2ヘクタールをグッツラーも所有しているのです。


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この畑の後方、もう半分の部分です。
2000年代からこのオリジナルの畑を見直そうという動きがあり、ファルケンベルクもこの畑のぶどうはマドンナとは別のワインとしてリリースするようになりました(現在は独立して別会社が所有しています)。
土壌がよいというだけでなく、現在は栽培はビオ(オーガニック農法)に転向していて畑自体の改善も行われています。
ヴァインベルクで輸入しているこちらの畑から造られているリースリングのグローセス・ゲヴェックス(GG)のワインはこちらです。


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試飲の話に移りますが、この醸造所を訪れる数日目にはマインツのでのVDP試飲会で当主にはお会いしていて試飲もしていました。
奥さんと一緒の写真ですが、醸造所を訪れた時にもいらっしゃいましたが、このご夫婦の関係性がとてもよいのです。奥さんのほうが主導権をにぎっているようなかんじなのですが、やさしい旦那さんといいバランスでいい空気感のお二人です。

ということで、新しいヴィンテージは一通り飲んでいたので、醸造所では試飲していないものを中心に飲みたいと伝えていて、試飲していたいものでは輸入する可能性のある気になっているものだけもう一度試飲をさせてもらいました。
まだ試飲していないものでは前年のヴィンテージだけかと思っていたのですが、自根のアルテレーベンのジルヴァーナー、リースリングとシュペートブルグンダーのグローセス・ゲヴェックス(辛口の最上級の格付け、GG)が在庫のあるヴィンテージがいくつかあるそうで、複数のヴィンテージのを試飲することができました。

ジルヴァーナーは、最近のヴィンテージは木樽で発酵、熟成で、以前はステンレスタンクでの発酵、熟成で、年の熟成感だけでない違いも感じることができて興味深かったです。
2017年はかなり樽の風味があり、これはこれでいいかなとも思ったのですが、数量が少ないということもあり、結果的にはぶどうの魅力をより感じられる2016年産を輸入することにしました(こちらです)。

リースリングのGGは、モアシュタインとキルヒェンシュトゥックは全くキャラクターが異なるのでどちらも入れたいと考えていて、それぞれの気に入ったヴィンテージのものを入れることにしました。
モアシュタインは、他の著名な醸造所のGGもありますし、グローセスゲヴェックスらしい高貴さのあるものを入れたいと考えていて、試飲した中で一番若かったのですが、自分のイメージに近かったので2016年のを輸入することにしました。熟成しての良さよりもヴィンテージによるぶどうの質で若い2016年を選ぶことにしました(こちらです)。
キルヒェンシュトゥックは、おととしに2014年のを空輸で少量入れていてその時にも感じていましたが、やわらかい味わいで、GGというイメージにとらわれないほうがよく、このリープフラウミルヒのオリジナルの畑の特徴が出ているワインを選んだほうが良いと考えました。飲んだ中では一番時間の経過していた2012年産が、まろやかさや深みがあったので好みだったので、このワインを輸入することにしました(実際には一本持ち帰って日本であらためて飲んで輸入する決断をしました)。

赤のシュペートブルグンダー(ピノ・ノワール)はモアシュタインとブルンネンホイスヒェンの畑のGGがリリースされているのですが、どういう方向のを入れたいと意志はなく試飲していきました。色々なタイプがありとても興味深かったのですが、どれか一種類となると濃さと深みがあるほうが良いかなあと思い、現行で販売できるワインとしてなかなか見つけることができないタイプの2010年のブルンネンホイスヒェンを選ぶことにしました。樽、ヴィンテージ、ドイツワインだから、という前置きが必要ない、このワイン自体の良さを感じてほしいなあと思えるワインでした。量は多くはないけど在庫はあるとのことで、少量ですがこのワインを輸入することができました。
モアシュタインの赤も魅力があるので次回は輸入できたらと考えています。


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というわけで、気がつけばGGだらけでこような試飲のラインナップになっていました。
ラベルが異なるのは、赤の入っているラベルはラベルが変わる前のヴィンテージ(おそらく2013年産以前)です。
こんなに開けてくれて申し訳ない、と言ったら、自分(当主のミカエル)も試してみたかったから、という答えが。ただ、途中で顔を出した奥さんは、開けすぎだ、というオーラを出していました・。
熟成してこそ魅力のあるワインにという意図でワインを造っているので、意図的に一定数は売り切れない残しているそうで、ヴァインベルクとしてもそういうワインを輸入することができてよかったです。一概には言えませんが、バリック樽を使用していて樽の影響が強めのワインは熟成させたほうが良さが出てるので、彼の考え方には共感できます。

GGは特にヴィンテージでの味わいの差が大きかったのですが、栽培の段階を重要視しているので、気候などの影響によるぶどうの違いがワインにも表れているためです。バリックということが特徴のひとつになっていますが、色々なヴィンテージを飲んだからこそ、彼がぶどう自体の、自然ということを大事にしているのがよくわかりました。

また、そのような差の大きいワインで試飲した中での彼の好みを訊いたら、2013年産など果実味が前に出ていないワインを挙げていたのは興味深かったです。
そしてその質問で、どのヴィンテージも自分の好みの方向に仕上げようとするのでなく、あくまで収穫したぶどうの良さを活かす造り方をしているということも感じ取れました。

バリック樽が特徴の醸造所ではありますが、バリックを使っていないリースリングのグーツヴァインgutwein、ジルヴァーナー、バリックの影響を感じないリースリングのGGと、果実味のある白ワインを魅力的だと感じて、結果的にはそういったワインのほうが多く輸入しています。バリックの使い方だけが特徴の生産者ではないのです。
とはいえブルグンダー系の白やシュペートブルグンダー以外などバリック樽を生かしたワインも数多くあるのですが今回は選べなかったので、次回の輸入の際にはそういったワインも紹介できればと考えています。
輸入したグーツヴァインのシュペートブルグンダーはバリック樽は使用していますが、果実味とのバランスが素晴らしくそういった当主のセンスも輸入してるワインから感じ取っていただけるかと思います。

低い声で静かに話すミカエルの人柄がヴァインベルク当主は大好きで、ワインへの考え方も今回の訪問でよりわかってもっと好きになりました。人柄がワインに表れているのもこの醸造所とそのワインが大好きな理由でもあります。


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最後に、本文とは関係ありませんが、訪れた時にお出迎えしてくれた猫の写真を。

輸入した各ワインのネットショップの商品紹介のページへのリンクは本文中にはってありますが、下記からもグッツラーのワインのページをご覧いただけます。



ドイツワインショップ ヴァインベルク
http://weinbergwine.com


posted by ヴァインベルク at 02:25| 醸造所紹介 | 更新情報をチェックする