2019年05月19日

ドイツで感じたトレンドや需要についてのこと ドイツの赤ワインについてなど

前回は、醸造所にワインを買いにきたドイツ人の顧客と観光客がどういうワインを選んでいるのか、ということについて書きました。
今回は、傾向や今の現状などドイツで感じたことを書いていきます。

帰りにフランクフルトの空港で免税店をのぞいたら、白ワインはドイツの各地のワインがたくさんあったのですが、赤はほとんどなくて他の国のワインばかりがありました。
とあるところで生産者と地元で人気のイタリアンに行ったのですが、白ワインは地元のリースリング、それも名前の知れている質の高いワインがたくさんあったのですが、赤はイタリアのを揃えていました。イタリアンですし、そのお店は赤が少ない地域ですので、白で地元のリースリングがたくさん置いてあるということがすごいと思ったほうがよいのかもしれませんが。これらで感じたのは、まだまだ一般的にドイツワインは白、赤はわざわざ飲むものではない、という認識なのだろうなあということでした。赤ワインの生産比率の高いアールやヴュルテンベルクではそうではないでしょうが。
高品質で高価格帯のシュペートブルグンダー(ピノ・ノワール)は2000年代から素晴らしいワインがたくさんあるのですが、温暖化の影響と栽培と醸造所の技術力と知識の向上で2010年代後半からは高くない赤ワインでも質の高いものが増えてきています。しかしそういった認識はまだ一般的には広まっていないのだな感じました。黒ブドウの割合も35%あり、生産量が少ないから、というわけでもないのです。評論家やメディアは今のドイツの赤をほめて高評価をしていますが、それは知られていないからこそというのもあると思いました。
もちろん南アフリカやカリフォルニアのような赤ワインはドイツワインでは造れませんが、それ以外ではさまざまなタイプのワインが存在しクオリティも高くなっています。ピノ・ノワール以外のブレンドのワインもファルツなどでたくさんあります。また、幅を広げるという点でレンベルガー(ブラウフレンキッシュ)は重要なポイントとなると思っているのですが、ドイツでも認知されていくのはまだまだ先なのだらうなあと感じました。飲食店や酒販店などの業界関係ではドイツの赤ワインのポテンシャルと良さは理解していると思うのですが、それが消費者に伝わるにはもう少し時間が必要なのかと思いました。例えば、赤ワインが好きな方でずっと他の国のワインを飲んでいた方が、ドイツの赤を手に取りそしてこれからはドイツのを飲んでみよう、となるにはハードルが高いかと思うのです。
日本ではドイツの白ですら辛口の質の高いワインをまだまだあまり知られていない状態ですので、一般的に赤の良さを、という状況ではまだないと思うのですが、ドイツのピノ・ノワールの魅力は業界やワイン好きの方には少しずつ浸透してきているような気がするので、まずその範囲でより伝えていくことが重要だと思います。食事と合わせるという点でもドイツの赤は日本ではすごくよいとヴァインベルク店主は考えていますし。そして日本の方にはレンベルガーも気にいってもらえると思っていますので、ヴァインベルクではクナウスのレンベルガーをプッシュしています。

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醸造所ではこのよう赤ワインをたくさん試飲をしていいワインがたくさんあるからこそ、そういったことを意外として感じたのです。


また、マインツで有名なワインショップにふらっと訪れた時に、グラスワインの辛口で唯一熟成していたワインとしてあったナーエの著名な造り手の2011年のリースリング・トロッケンを注文しようとしたら、フレッシュじゃなく特殊な味わいだけどいいのか?と訊かれました。自分が業界関係とは伝えてはいない段階でしたが、こういう味わいを好まない人が多いからそういうことを伝えるのだと思います。でもワイン関係の人はしっかりと造ってあるリースリングは辛口でも熟成すると魅力があるのは知っていると思うのです。実際、高価格帯ではないこのリースリングも複雑みと深みがありとてもよい味わいでした。ドイツではまだまだフレッシュなほうが良いと考え、熟成したワインの良さを感じられる人は少ないのだなと感じました。醸造所では意図的にすぐに販売しないで熟成したりという試みをするところも増えてきていますが(ヴァインベルクではマルティン・ミュレンでは90年代からそういう考えで一部のワインは長期熟成のためにストックしています)、一般的にまだまだこういった熟成したワインの魅力がわかる方は少ないのだなと感じました。

モーゼルのベルンカステルでは地下のケラーで100種類以上のワインが試飲できるところがあるのですが、英語をしゃべる観光客がたくさん訪れているのですが、会話を聞いていると、フルーティだから好き、甘みがあるから好き、甘くないから好き、といった感想がたくさん聞こえてきました。モーゼルでは酸と甘みのバランスとその中の深みが重要なのですが、好きになるかは甘みがポイントになってしまうのだなと感じました。おそらくドイツの方でも大半はそういったポイントと前に書いたヴィンテージの違いでわかりやすい味わいのほうということで選んでいるのだと思います。そういう方が多いのが現実なので、その中でどう薦めていくかが、販売する側として大切なポイントだとあらためて感じました。

造り手や業界の人と接していると気がつきにくいこういった点を今回感じることができました。
いいものはいい、なのですが、マーケットの状況などを把握することも大切なことだなとあらためて思いました。

次回からはドイツでの食事について書いていきます。



ドイツワインショップ ヴァインベルク
http://weinbergwine.com



posted by ヴァインベルク at 17:02| ワインのためになる知識 | 更新情報をチェックする