2018年06月10日

田崎真也ワインサロンでのドイツワインセミナーの様子とまとめ

先日、愛宕山の田崎真也ワインサロンにてドイツワインのセミナーの講師をしました。
以前このスクールの講師の方と知り合う機会があり、ヴァインベルクのワインとヴァインベルク店主のドイツワインへの熱意を気に入ってくださりオファーをいただきました。
通常の講座とは別の6回のオムニバスセミナーとしてそれぞれの回でひとつの国をフィーチャーしたセミナー、という形でそのドイツの回を任せれました。
打ち合わせに伺った時に3人の講師の方と話をして、通常の講座では話しきれないことがたくあるからこういったセミナーを企画した、自由に話してもらってよい、ということをお聞きしたので、自分の好きなように内容を組み立ててやらせてもらいました。

2時間という限られた中でドイツワインの魅力を語る、というのは非常に大変なことなので、できるだけポイントをおさえようと考えました。祖幅広いワインを飲んでもらって良さを知ってもらうこと、そしてそれらのワインがなぜよいのか、どう違うのか、という方向で内容を考えました。

主に話したのは、
ドイツワインの特徴 中小規模の生産者が多い、白と赤の比率、辛口系が増加していることとその理由(ぶどうが容易に熟すことができようになったことと需要によって)
ドイツワインの品種 リースリングとピノ・ノワールが核になっていること、それぞれの地域での重要な品種がある、交配品種は栽培面積が減ってきて国際品種が増えてきていること
土壌の影響 ワインにおける土壌の影響、産地が異なっても同じ土壌だとキャラクターが似ていることなどによる土壌の重要性
格付けの話 プレディカーツヴァイン(カビネットやシュペートレーゼなどの等級)から辛口の場合はブルゴーニュのような格付けに変わっていること、それらが混在している状態
酸と甘みの関係 トロッケンやファインヘルプの説明、残糖だけでなく収穫した時の糖度も味わいの感覚に影響、同じ残糖でも酸や複雑みによっては甘く感じるかは変わる
ビオ、ヴァンナチュール 大半の良質なワインを造る生産者は減農薬(ほぼビオ、大半がビオロジック)、認証をとる、とらないの理由、どういうタイプの造り手、ワインがあるかの説明、それらに見える思想と商売、

ドイツワインのことを知っている方は、これだけのことを話すのに90分では足らないことはお分かりいただけると思います。
それぞれのことの細かい説明(品種の特徴やそれぞれの地質の説明など)は省いて、こういうことがドイツワインで重要、こういった要素があって違いによって変わってくる、ということをまずは知っていただければという内容にしました。
産地の話は、それだけでかなり時間をとってしまうので今回は省きました。土壌の話の中で、産地ごとの気候などの条件も大事、同じリースリングでも産地でキャラクターが異なるのは土壌が異なるから(モーゼルのシーファーを例に)、というようなことで産地のことにもふれていく形にしました。
こういうやり方をやっていると、テイスティングも含めてですが、産地ごとで紹介していくより、テーマがありながら色々なワインを紹介していくほうが、知識でも感覚でもドイツワインのことをよりわかっていってもらえるのでは、と考えるようになっています。

色々な話をするのでうまく伝わらない可能性もあるし、話す中でも話し忘れることがある可能性もあると思ったので、伝えいことはレジュメにしっかりと書く形にしました。細かく書いてあることもセミナーを聞いて読み返すとわかりやすい解説になっている、というような内容を目指しました。その枚数はデータなどなしで(データも読み解くだけで時間がかかるので)、文だけでぎっちり6枚となりました。

スクールに通われた方などは、ブラインドテイスティングでペトロール香を感じたらリースリング、と認識している方が多く、でもドイツの大半の若いリースリングからはペトロール香は感じないのですが、ドイツのリースリングの若い健全なワインの大半いはペトロール香はない、とレジュメに書きました。その理由はセミナーの中で話したかったのですが、そこまで話す時間がなかったのは残念でした。
ペトロール香は暑くて水がない時などにぶどうが生成する物質で、ドイツでは今のワインにはほとんど出ないのです。ただ、モーゼルのシーファー土壌では出やすかったり、わずかにあるものが熟成すると前に出てくる、ということはあります。


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定員はこの一番大きい部屋でのちょうどいい人数ということで40名ということになったのですが、20人から30人集まればいいかなと考えています。しかしおかげさまで40人の方にご参加いただけました。うれしい限りです。
ヴァインベルクとしても告知はしていたのですが、結果的には面識のある方は10名程度でした。とういうことはその他の方々の大半は、ヴァインベルクのことは知らないけれどドイツワインに興味がある、という方々なので、そういった方たちにドイツワインの魅力を話すセミナーができるということはとてもうれしいことで、より気合いが入りました。


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ブログでは、参加者の顔が写っていない写真だけ載せます。
参加者は、6、7割が女性でした。

プロジェクターではパワーポイントでデータや文を載せるのではなく、画像だけを映すようにしました。
醸造所や造り手と一緒に畑を訪れた時の画像で、それらを使って先の内容の話の説明をしたり、試飲されているワインの説明をしたりしました。
アンケートでは、生産者の話が聞けて良かった、という声もいくつかありましたので、難しい話だけでなく、生産者とのエピソードをはさんだりするやり方は正解だったと思いました。


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ワインは10種類です。ワインスクールのセミナーとしては種類が多いです。全てヴァインベルク輸入のドイツワインです。
色々なタイプがあることをお知ってほしい、飲んでみてほしい、ということで、相談の上承認を受けて10種類となりました。
ソーヴィニヨン・ブラン、リースリングは格付け違いの2種類、ファインヘルプ2種類、甘口シュペートレーゼ、赤が4種類です。

テーマをどうする、という時に、わかりやすほうがいいということで、より深くほしいということでのリースリング、かなり質がよくあんっていることもあり紹介したかた赤ワイン、にしました。
そのため、白ワインは紹介したいワインが色々とある中で、リースリングを5種類にして、その中での多様性を感じてもらうようにしました。ソーヴィニヨンブランは、ドイツでも増えている品種で、珍しいわけではなくいいワインが作られているということを知っていただくためにクナウスのソーヴィニヨンブランを選びました。
赤は幅広さとヴァンナチュールの話をしたかったので、ビオロジックのトロリンガー、同じ造り手のトロリンガーで亜硫酸無添加、リューデスハイムのピノ・ノワール(ラインガウ)、4種類ブレンドのフランケンの赤(終売となりました)を用意しました。


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一人ずつがこのような状態になりました。
ふと思ったら、410脚のワインを用意が必要なので、申し訳ないなあという気持ちになりましたが、参加された方々が喜んでいたのでよかったです。
どれもおいしい、と試飲の時間をとった時に複数の方から聞こえてきてうれしかったです。

試飲で感じたのは、これだけあると、この中の比較として、安価なものは埋もれがちになるなあと思いました。毛並みの違うソーヴィニヨンブランや甘口、亜硫酸無添加のワインは、感じやすかったとは思うのですが、今回のではファルツのリースリングのグーツヴァインが埋もれてしまったなあと思いました。それだけ飲めば、同価格のリースリング辛口の中では質が高いことがわかるのですが、そういった話があまりできなかったのを悔やんでいます。ファルツの典型的なリースリングといって出されるもう少し安価なワインは、酸があまりなくゆるいものが多いので、今回のようなワインが典型的なタイプ、というようなことも話したかったです。

グランクリュ、グローセスゲヴェックスのタイプのイエズイーテンガルテンは、若いながらもその魅力とポテンシャルを感じていただけたようです。
ファインヘルプは2種で、ファインヘルプの中でも違いがある、ということを感じていただく意図だったのですが、成功したようです。
ミュレンのヒューナベルクは少し甘く感じましたが、好評だったようです。アイフェルの自根のヴルツェルエヒテはこの日は少しご機嫌斜めなようでしたが、それでもポテンシャルは感じていただけたようです。
甘口シュペートレーゼはザールの酸があるタイプのファルケンシュタインにしましたが、甘口と酸、という感覚も感じていただけました。

赤ワインは、先にワインリストを配らずに4種類を提供してテイスティングしてもらいました。品種や価格といった情報なしに感じていただきたかったからです。
そして、ひとつだけ選ぶならどのワインか(食べ物と合わせたいというのありで)、価格ということでなくても一番質がよいと思うか、という2つの質問をして、それぞれのワインのどれかに手をあげてもらいました。
最初の質問は、トロリンガー2種がちらほら、ブレンドのロートヒューゲルは誰もあげず、ピノ・ノワールが大半、となり、2つめは、けっこうばらけていて、ピノ・ノワールに手を挙げていた方もブレンドのほうでけっこう手をあげていたのが印象的でした。
価格はリューデスハイムのほうが数百円高いのですが、ブレンドのほうがクオリティが劣る、というわけではないので、この結果はとても興味深かったです。2つめの質問はざっくりすぎてそれぞれの方での判断に差はあるとは思いますが。
好みという点では慣れ親しんでいるブルゴーニュタイプの赤でも、クオリティいという点ではボルドータイプのような濃い赤だと通常接することないようなタイプだと判断ができる、いいものだと感じるのかなあとも思いました。

赤は、慣れ親しんでいる系統のタイプのほうがいいのかなとも感じ、次にやると時はピノ・ノワール、レンベルガーで少しずつの違いを感じてもらうのがいいかなと思いました。今回はビオ、ヴァンナチュールの話もしたかったし、軽いけどしっかりしている赤、ということでトロリンガーを入れたのですが。


話して理解、というよりはワインを飲んでもらってそこから感じることの補足を説明、という方向をイメージしていたのですが、うまくいったのかなと手ごたえはあります。ドイツワインの多様性も感じていただけと思います。

アンケートでは話しなれていないなどの感想を書かれている方がいらっしゃいましたが、講座を専門にしているわけではないので、ふだんの講師の方たちと比較されてしまうともうしょうがないです。聞きやすく、ということは努力していますしこれからも向上させていたいとは考えていますが。
でもまあその分、熱意とワインでカバーできていて、アンケートでもドイツワイン愛や情熱が伝わったと書かれている方がたくさんいらっしゃいました。

2時間の講座でしたが、時間が短いと感じた方が多かったようです。色々と話したからなのですが、これでも考えてしぼりましたし、概要だけでも伝えるととらえ方の感覚が変わることは話しておきたかったので、配分はしょうがないかなと思いました。
土壌や格付けの話をもっと聞きたいということをアンケートに書かれている方も多かったですが。
これを機に、少しテーマをしぼってのじっくりと話せる機会があったらそういう時にご参加いただければと思います。

おおむね評価は悪くなかったようなので安心しました。ドイツワインのイメージをふくましてより理解するということに協力できたのはとてもうれしいことです。
こういった機会をくださったことに感謝しています。自分自身も成長できたかと思います。

教本や勉強する、という方向で入っていくととっつきにくいドイツワインですが、こうやって魅力を伝えていける機会がもっと増えるといいなあとあらためて思いました。
ドイツワイン、素晴らしいのです。

最近のブログの記事では、教本などにはあまり書いていないようなドイツワインの畑、醸造に関ししてのことを書いていますのでそれらもお読みいただけるとうれしいです。


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2018年06月08日

斜面でないけれどいい畑 畑の話その2 ファルツ、ラインヘッセンのグランクリュの話も

前回の記事ではドイツの斜面の畑の話を書きました。
そこで書いたようにたくさんの斜面の畑が存在しそこから良質なワインが生まれています。
しかし斜度がない平面の畑からも良質なワインが生み出されています。そういった話を、産地の特徴も含めながら書いていきます。
そのポイントは気候と土壌です。

南のほうが気温が高く温暖で穏やかな気候のため、斜面で直射日光を当てなくても完熟できるようになってきました。特に2000年代以降はファルツでは平面からもバランスの良い酸が強くない辛口ワインを容易に造れるようになりました。
大量生産のワインは他の地域でも平面に植えられていることは多いですが、家族経営の小中規模の生産者で良質なワインを造っているところも平面の畑からワインが造られている、というのもポイントです。


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ファルツのシュピンドラーの所有する畑です。このエリアはイエズスイーテンガルテンJesuitengarten、その奥の教会の前のエリアがキルヒェンシュトゥックです。その先はフロインドシュトゥックで、いずれもVDPではグローセラーゲGrosse Lageに認定されていて、グローセスゲヴェックスGG(辛口の最上級の格付け、ブルゴーニュのグランクリュ)をリリースすることができる畑です。どの畑も斜度がありません。シュピンドラーもこれらの畑から高品質なリースリングの辛口ワインをリリースしています。
そのまわりもほとんどの畑は斜度がなく、平面からも良質なワインが造られています。ダイデスハイム周辺、ワイン街道Weinstrasseのエリアの畑の大半は平面です。南ファルツや西の丘には斜面の畑もありますが、斜面だからよいブドウができるわけではないのです。特性によって植える品種を分けていたりしています。水はけがよすぎると、など斜面であることのデメリットがあったりもするのです。
モーゼルやラインガウなど斜面がいいというところでも、赤の品種は、斜面がゆるやか、陽の当たり方、風通しなどでリースリングとは好条件のエリアは異なります。

そして平面でも、区画が細かく分けてられていてそれぞれに畑名がつけられていることも特徴です。一つの畑名で一つの生産者、ということではなく一つの畑名でも複数の生産者が所有しているのですが、その大きな理由は土壌にあります。もちろん最初に持っていた生産者によって分けられていた、所有者の理由によって、という畑もあるのですが。そういったことも含めてファルツは特にブルゴーニュの畑名の由来と似ている部分もあるかと思います。
特にフォルストの先のキルヒェンシュトゥックなどの良質な畑は、4ha前後で細分化されているのですが、地質の違いごとに分けられています。単一の土壌というわけではなく、石灰岩が多いところ、雑色砂岩が多いところ、玄武岩が混ざっているところ、というようなかんじですが、それぞれの畑からできるワインはそれぞれキャラクターが異なります。フォルストの場合は、イエズス会系の修道院が所有していた畑ということもあり、最良の畑がキルヒェンシュトゥック、その次の良質な畑がイエズスイーテンガルテンという畑名がつけられました。
また、全てが分かれているというわけではなく、同じくGGに認定されているウンゲホイヤーUngehauerは先の畑よりは面積が大きいのですが、区画によって、石灰が多くて斜度もある畑、平面だけど玄武岩も混ざっている、というように異なっていて、所有する区画の生産者によってキャラクターが異なる、というような例もあります。


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同じく斜度があまりない畑からGGが造られているのが、ラインヘッセンのヴェストホーフェンWesthofenの畑です。この村名ではキルヒシュピール、モアシュタイン、ブルンネンホイスチェンといった複数のグランクリュの畑名のエリアがあります。画像はモアシュタインですが、このように大半が平面です。グローセラーゲの畑の大半はリースリング、ピノ・ノワール(シュペートブルグンダー)が植えられています。これらの畑は、石灰岩、メルゲルなどが含まれていたりと、それぞれの土壌に特徴があり、まわりの広大な面積のブドウ畑があレスロームである中で、特色がありなおかつ特に良質なワインにすることができるため、畑名が異なり特別な畑とされています。
これらの畑は、これから輸入を開始するグッツラーも所有しています。

ラインヘッセンはゆるやかな丘や平面の畑が多く、土壌も特別ではないので、生産量は多いけれどそれほどいいワインができない、というイメージでした。しかしビオやヴァンナチュールだったりと高品質なワインを造ることを努力する生産者が増えイメージを変えることに成功することができました。その要因にはファルツと同じように温暖化により高品質なワインにするためのぶどうが造りやすくなったということもあると思います。
そしてそんなラインヘッセンの中でも、先のヴェストホーフェンのように平面だけれど土壌と気候がよく素晴らしいワインができるところ、ニアシュタインのように急斜面のところ(土壌もレスロームでくロートリーゲンデンだったりします)、など畑自体が良いところ、というのも存在しているのです。


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平面でもよい畑はある、地域の中でも色々ある、ということを書いていきましたが、最後は同じ畑名だけど条件がかなり異なる、という話です。
画像はヴュルテンベルクのクナウスの所有するヴァインシュタットの畑です。このように彼が所有する畑のほとんどは丘の斜面です。
このように丘はぐるっとまわっていて角度が異なるので陽の当たり方が異なります。急斜面のところもあれば、少し穏やかなところもあります。そして標高によって土壌が多少異なります。コイパーなのですが、その中でも少し年代が異なるのです。
そういった、区画によって条件が異なる畑なので、それぞれの場所に適したぶどう品種が植えられいます。この地域では特に、一つの生産者で一つの区画で大きな面積を所有しているのではなく、点々とたくさんの小さい区画を所有しそれぞれのエリアに適した品種を栽培しているのです。
一つの畑名、といっても違いが出てくることがおわかりいただけると思います。斜面の場合は、こういうことも重要になってくるのです。
モーゼルでは同じ生産者でも急斜面の畑で、5月初めの葉の生育が斜面の下と陽が当たりより暖かい上の方では全く異なる、ということも見てきましたの。そういうできるぶどうに違いができるところでは同じ品種でも同じワインにしないで別々に醸造していたりということもあります。

斜面の場合は土壌だけでない条件、平地の場合は土壌が重要、ということが大まかにですが言うことができます。


畑の話は細かくたくさん話さないと説明できない部分あるのですが、ドイツの畑の特徴(地質の説明ということではなく)を紹介できたかと思います。
また、テロワールが同じ条件でも、栽培する人によって、仕立て方や収穫のタイミングなどが変わり、ワインの味が大きく変わる、ということも最後に書いておきます。


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2018年06月03日

ドイツのぶどう畑は斜面? 畑の話その1

シュパーゲルとワイン会の話もはさみましたが、ドイツ出張で感じたことの話は、醸造過程、出来上がったワインに関しての話が続いたので、畑のことも書こうと思います。今回ドイツで撮った畑の写真も載せていきます。

ドイツワインで連想される中で斜面の畑ということを挙げる方も多いのではないかと思います。そして急斜面のほうが良いワインができるのではない、と考えることもあると思います。しかし、実際に畑を造り手と一緒に見て回っていると、急斜面だから高価なワイン、ということがあてはまらない、ということが見えてきます。

なぜ、ドイツは斜面にぶどう畑が植えられているのかというと、冷涼な気候のため、ぶどうが育ちにくいために、斜面のほうがぶどうに太陽の光が直接当たりより育ちやすくなる、ぶどうが熟しやすくなる、ということがあります。また、水はけがよいなどの効果も斜面にはあります。
80年代までは、ぶどうが完熟しない年もあったので、ぶどうを熟させるというのはとても大切なことだったのです。
しかし、温暖化により比較的どの地域でもぶどうが熟すようになったのです。そのため、平地からでも良質な辛口ワインも造られるようになりました。それでもモーゼルなどでは斜面の畑が大半です。大量生産品などが平地で造られています。斜面の畑は限られているため、良質なワインは斜面から造られています。また、斜面だからよいというわけではなく、日当たりも重要なので、くねくね蛇行しているモーゼル川では北向きの斜面にはぶどうは植えられず、主に南、南西向きの斜面にぶどう畑があります(川沿いではないところでも南、南西向きの良質なブドウ畑もたくさん存在します)。また地質も重要なため、良質なワインができる区画の栽培面積は限られてくるのです。

モーゼル以外にも斜面がある例をあげていきます。


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アールのマイショスMayschossです。川沿いではありませんが、急斜面のシーファー土壌です。
隣村のデルナウも同様です。こちらはリースリングではなく赤ワインになる品種が植えられていて、大半はピノ・ノワール(シュペートブルグンダー)です。
アールヴァイラーの地域はおだやかな丘陵で、土壌も異なり、ワインのキャラクターが変わります。

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バーデンも斜面の畑が多いです。有名なのはカイザーシュトゥールですが、もう少し北のオルテナウのエリアも斜面の畑がたくさんあります。
この畑はオッフェンブルクOffenburgから近い畑で、花崗岩Granitの土壌です。


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ラインガウではおなじみのリューデスハイムです。
川沿いの急斜面という、ドイツのぶどう畑を想像した時の典型的な畑かと思います。
この画像のエリアでも3つのぶどう畑があり、それぞれに少しずつキャラクターが異なります。
この画像は、観光船から、ではなく、向こう岸のビンゲンヘの車用の渡し船から撮影したものです。車でないと2ユーロで乗れます。


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こちらはもっと上流側のリューデスハイムのぶどう畑です。左の丘の上にあるのはヒルデガルトの修道院です。
このようにゆるやかな斜面が実はラインガウには多いです。川沿いではなく良質なワインが造られているところもたくさんあるのです。

このように、斜面といっても色々あること、モーゼルやラインガウ以外にも斜面の畑があることをお伝えしていきました。

次回は平地の良質な畑、ぶどう畑により土壌の話を、もう少し書いていきます。



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posted by ヴァインベルク at 13:07| ワインのためになる知識 | 更新情報をチェックする

2018年05月28日

ヴィンテージの話 まとめ編

前回の記事では2017年のヴィンテージについて書き、その前の記事では、ワインには時間が必要、ということを書きました。
重複もする内容もありますが、それらのことをもう一度まとめとして書いていきます。
ヴィンテージの感想を具体的に書いているものは、ドイツワインに関してで、主に白、リースリングを多く飲んでいる中での感想です。


ドイツでは3月、4月、5月の試飲会で前年のワインが出てきますが、その段階でポテンシャルがわかるワインは多くはない。特に木樽熟成、天然酵母のワインは、おいしく飲めるまで時間がかかるので、判断はできるとしても早くに飲むべきではないワインもたくさんある。
特に2017年産は時間がかかる年で、この段階での判断は特に難しい。まだ傾向を判断するには早すぎる。

いい年、悪い年というのは、出来たワインの質という見方だけでなく、生産量、高く売れるもの、売れ筋となるワインが多いか、という生産者、販売者目線での考え方もある。遅霜、雹により生産量が落ちた醸造所が大半なので後者の点では2017年はとてもよくなかった年といえる。しかし天候はよく、生産されたワインはクオリティの高いワインが多い。しかし先に書いたとおりポテンシャルが見えないワインが多く、飲み頃もつかみにくい。

トロッケン(辛口)の白はフレッシュなうちに飲むほうが良いといわれていて1年以内にと考えている方が多いが、2016年産は1年たった今でもオルツヴァイン(カビネット・トロッケン)であっても今飲んだほうがよさが出ているワインも少なくない。そしてエアステラーゲ(シュペートレーゼ)、グローセスゲヴェックス(GG)のクラスはもう数年経ってから飲むとさらに良さが出るポテンシャルの高いワインが多い。

2015年もポテンシャルの高い年、とされているが、果実味と深みのある傾向のため、フレッシュで早飲みに向いているワイン以外はもう少し待ったほうがよい。そのかわりに2014年は白も赤も今が飲み頃のトロッケンが多い。
時間が経ってこそワインは良さがわかると考え、ボトリング後すぐにリリースをしないでとっておいている生産者で2014年産があれば試してみるとよい。日本でもあれば飲んでみるとよい(ポテンシャルの高いGGクラスはもう少し待つべきかもしれないが)。

というようにまとめてみました。
これらのことをもう少し詳しく書いている今までの記事をあらてめて一覧にします。

ワインの時間、熟成について need time

時間と熟成の話 少し補足です

2017ヴィンテージについて 自然に向き合う大変さが表れた年


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昨年は空輸で少量のみで、今年は秋ごろに本格的に輸入を開始する予定のラインヘッセンのグッツラー醸造所では、赤も白も2014年よりも前の
ヴェストホーフェンWesthofenの畑のグローセス・ゲヴェックス(VDPの辛口最上級の格付け、GG)を何種類か用意していただき試飲させてもらえました。2015や2016では早すぎる、とリースリングは2014から2012、赤は2010や2007を持ってきてくださいました。特に赤は、この段階で十分素晴らしかったのですが、このくらい経っていてもまだまだ熟成しての変化、ポテンシャルがありそうと感じられました。
そして時間が経っていると同じ畑のヴィンテージ違いだとより差がはっきりわかります。飲み頃の時期が生産年から何年後と同じようには言えないことなどもわかります。
当主は、あまり良い年とはいえないヴィンテージと言われている2013年が好みだと話していました。甘みのある果実味よりも複雑味とパワーのある傾向のワインが多かったです。ヴァインベルク当主は別の年の果実味によるボリューム感があるほうが好みだと感じて、その違いが新鮮で面白かったです。どちらのタイプもこの造り手では質が高いワインなのですが、その中で好みが分かれます。
もちろん同じ年の中でも色々なタイプのワインが生まれるわけですが、ヴィンテージで比べてみると、それぞれの年の共通する部分があったりということも見えてきます。

ヴィンテージというくくりでのとらえ方のことを書いていきましたが、先入観から入るのはあまりよくない、いうことも書いておきます。いいヴィンテージ、そうでないヴィンテージ、というのを目にすることもありますが、先に書いた通り色々な目線がありますし、全体として質が高いのか、長く熟成することができるワインが生まれた年なのか、などということでも色々な見方から良い悪いということができてしまいます。
なので、気候や生産量、どういう傾向のワインになるのかということをある程度理解してからヴィンテージという見方をしてみるとよいかと思います。また、同じ地域であっても局地的に傾向が全然異なる場合もあり、造り手と話しているとそのヴィンテージでイメージしていたこと真逆なことを言っていたということもあります。
それと、ドイツの場合では、酸の出方(果実味などバランスも含めて)はヴィンテージの特徴としてとらえるべき一つなのですが、モーゼルでは2016年は酸が強めに感じるのですが、ファルツではそうではなかったり、ラインガウでは2015と2016が酸の出方が全く逆、というような話も今回のドイツ出張では話をしました。

知れば知るほど深いので、理解する、というのはドイツワイン専門として仕事にしていてもなかなか難しいと感じているのですが、決めつけずに感じていく、というスタンスが特にドイツワインでは楽しめるかと思います。勉強、考察しよう、ではなくそういうやり方だとより楽しみながらワインを飲んでいけます。好奇心により考察をしていくのが、ドイツワインの場合はより深く知っていけるかと思います。



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2018年05月25日

2017ヴィンテージについて 自然に向き合う大変さが表れた年

今年新しくリリースされる2017ヴィンテージについて少し書きます。
醸造所やマインツで行われたVDP加盟の醸造所が集合する新酒試飲会でもたくさんの2017ヴィンテージを飲んだので。


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昨年訪れた3月のプロヴァインの展示会くらい前年収穫したワインが試飲で出回るようになります。
4月くらいにはすでに販売を開始されるものも多くなり、今回訪れたVDP新酒試飲会では大半がニューヴィンテージ(2017年産)の試飲となります。しかしまだこの時期は、まだボトリングされていなくてタンク、樽から直接とってきた、いわゆるファスプローベFass Probeのワインもたくさんあります。
前の記事で書いた通り、ドイツは早くから販売されることが多い傾向にあり、そのため展示会でも新しいヴィンテージの試飲をたくさん出しているのですが、時間が経ってこそ良いワインになるものも多く、この時期で質を判断するのは難しいワインもたくさんあります。
そのこともふまえた上で2017ヴィンテージの話をします。

まずは2017ヴィンテージの大きな特徴を2つ。

1つは生産量がかなり少ないということです。
生産量は年の平均の20%減という数字が出ています。

4月末に全国的に氷点下となり、局地的ではなく大半のところで霜で芽がやられ、半分から70%くらいがダメージを受けてしまった生産者が多数ありました。これはドイツだけではなく、ブルゴーニュやオーストリアなど他の国でも起こったことなのでご存じの方もいらっしゃるかと思います。

その後、天候がよかったため新しく出た芽により少し生産量が回復したところもありますが、それでも平年よりは大きく量が減ることとなりました。加えて、局地的なこととして雹により生産量が減ってしまった造り手もたくさんあります。特に、実が成った状態での雹によるダメージは致命的です。
どこがどれだけやられたという話はあまり把握はしていませんが、試飲会などではラインガウでは収穫前の雹の被害がかなり大きかったと聞きました。エストリッヒの著名な造り手では生産量が半減してしまい、例年はアウスレーゼは、ノーマル、ゴールドカプセル、競売会用と分けて作るのにこの年はノーマル1種類にせざるを得なかったという話を聞きました。他にもそういう例がたくさんあると思います。
リューデスハハイムは少し気候が異なるので雹は降らなかったそうで、少しの違いで被害に合うか合わないかが決まってきます。霜も大きな範囲ですがその中でも川に近い、遠い、下、上などで被害に差が出てきます(ただこの年は斜面でも多くの霜の被害があったそうです)。
2016年は霜で所有していた区画の大半がやられてしまったけれど、昨年はその区画は無事だったなんて話も聞きました。
こういったことは毎年起きることで、生産者は被害に合わなければ感謝をし、被害に合ってしまったらその事実に向き合って進んでいかなければなりません。こういった話をしているとどの生産者も、自然と向き合って商売、生活しているのだからしょうがないことだ、ということを言っています。
2010年代からはずっと順調だった樹が霜や雹で昨年多くやられてしまったという話を畑で聞いてました。ところどころに新しく植えた樹があったりするのも、昨年やられたから、というのを聞いたりしました。ヴァインベルクの輸入している造り手には樹齢が80年を超えている樹の区画を所有しているところも多く、そういう話は本当に悲しくなります。


2つ目は収穫時期が早いということです。
夏は天候が良く、例年より半月くらい収穫時期が早かったそうです。史上最速、と言っているところもあります。早かったということはありあますが、被害を免れて残ったぶどうは健康に育ち、良質なぶどうを収穫できています。
収穫が早いことによりぶどうに差が出るのか、ということはここではあまり書きませんが、収穫タイミングが多いと樹につながっている時間がない、ゆっくり実が育った、という時とは少しキャラクターが異なるというのは明らかかと思います。いい悪い、というのは別にしてですが。

大きなまとめとしては、生産量は最悪、質は良かった、という年です。
消費者としては選んだ飲む一本がおいしければよいので、そのクオリティが平均的に良ければよい年、なのですが、造り手、インポーターにとっては量が確保できないと商売ができないので、クオリティの良いワインがある程度の量がなければ良くない年、という言い方をすると思います。


そして、実際に飲んだ感想なのですが、正直まだ傾向が見えません。
わりと同じようなタイプに感じました。酸は強くなく飲みやすい、というものが多く、低価格のグーツヴァインならば今飲んでもおいしく飲めるワインもいくつもありました。そういうワインは素直な味筋(薄いというわけではなく)というようタイプが多いかと思います。
しかし、まだキャラクターが出ていないワインも多いようです。収穫時期が早かったわりには、ボトリングは例年より遅めの傾向にあるようで、熟成がゆっくりなようで、飲むのも秋以降にするべきワインが多いのかなと思います。
試飲会ではその中でもポテンシャルを判断しなければいけないのですが、2017ヴィンテージはこの段階ではあまり傾向が見えない、というのも特徴かなと思いました。なんとなくですが、残糖が少しあるタイプのワインのほうがいいバランスになる年だったのかな、とは感じましたが。また、モーゼルのワインは、ボリューム感がある、酸がない、というのではなく、なんとなく重さがある、と感じたワインが多かったです。特にリースリング・トロッケン(辛口で)。
というように、味わいの面ではまだ参考にならないレポートとなりました。もっと早い3月に訪れた昨年(2016ヴィンテージ)のほうがもう少し傾向がわかったのです。


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そういった中でも毎年飲んでいる造り手、ワインだと、クオリティyこの先の変化がなんとなくは見えます。どういった傾向の年ということは説明できなくても、といったかんじですが。
VDP試飲会ではフランケンのビッケル・シュトゥンプの2017ヴィンテージを試飲しましたが、土壌違いのオルツヴァインのジルヴァーナーのポテンシャルは感じることができました。夏には決めて輸入したワインを販売します。


少し色々な話をつめこんで書いたので、ヴィンテージのことに関してはもう一度書こうと思います。



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