2017年01月09日

亜硫酸無添加のトロリンガーからドイツのビオワイン、自然派ワイン(ヴァンナチュール)について考えてみます

前回はクナウスの醸造所を訪れた時のことを書きましたが、クナウスと一緒に畑をまわってるいる時に会話が盛り上がったワインがあります。それが亜硫酸無添加のトロリンガーです。
このワインは2014年産を飲んだことがあって、あまり好みではないという印象があって、2015年の11月にクナウスを訪れた時にその話をしました。そういうこともあり、2015年産はかなりの自信作だからとこのワインについて熱く語っていたのです。アメリカではかなり人気があり数千本売れていること、デンマークの有名なレストラン、ノーマでもオンリストされていることなども話してくれました。
そこまでいうのなら、と試飲するのを楽しみにしていて、彼の自宅での夕食の時に飲みました。
そのワインのことを中心に、ドイツにおけるビオ、自然派ワインについて説明したいと思います。もっとふみこんで書きたいこともあるのですができるだけ簡潔に、なおかつわかりやすく理解できるような内容を心がけました。説明が不十分な部分があるかもしれないことをお許しください。


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抜栓したては還元香が少しあるのと開かせるためにデカンタに移してから飲みました。
色は通常のワインのトロリンガーも薄めでロゼに近い淡さがありこれは品種の特徴でもあります。
内側に濃さがありピュアな味わいで、少しくせを感じた2014年とは異なり素直な味わいで素直においしいと思えました。
当主のアンディが自信を持って薦めていたこととこれから書く理由により、このワインを輸入することを決めたのです。もちろんおいしかったからというのが決め手ですが。

その理由を説明するためにには自然派ワインということについての説明が必要です。自然派ワイン、ヴァンナチュールはぶどう自らで発酵させたワインで、培養酵母は使わず自然酵母であること、酵母を殺さないために亜硫酸は添加しない、という特徴があります。そういった造りにするためと自然な造りという理念から当然のように農薬を使わないビオの栽培が行われています。この部分を認識していない方が日本ではまだ多くいると思うのですが、ビオワイン、オーガニックワインと自然派ワイン、ヴァンナチュールは異なるということです。自然酵母での発酵をしているし限りなくヴァンナチュールに近い味わいのワインもありますが、ドイツの場合には亜硫酸を添加しているかどうか、というのが分類の違いだと思います。
コンビニやスーパーで見かける酸化防止剤無添加ワインとここで言っているビオワイン、自然派ワインは別物ということにもふれておきます。そういったものは果汁を熱処理したりして別の方法で劣化を防ぐようにしているだけで、テロワールなどの個性ということとはかけ離れた商業用の商品なのです。手のかかっているワインとは全く異なる商品だということは知っていていただきたいです。


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これはクナウスの所有している区画ですが、農薬を使っていないことがおわかりいただけるかと思います。
このように農薬を使わないビオの栽培は高品質なワインを造っているドイツの生産者では現在では当たり前のことになっています。その中には、急斜面の畑などリスクと手間がかかる場所では病気が蔓延し始めた時などの緊急事態には農薬を最小限でも使用しなければいけなかったりと一部のみ農薬を使用するため、認証を取得してないところも多く含まれています。しかし理念として極力農薬は使わないというのが根底にありワイン造りをしています。ヴァインベルクの取引している醸造所もそういうところばかりです。
醸造に関しても、トロッケン(辛口)に必ずしなければいけないので補うために培養酵母を使用ている生産者もいますが、自然酵母のみで発酵をしているところも少なくありません。ヴァインベルクのワインでもファルケンシュタイン、マルティン・ミュレン、クナウスは全て、ベルンハルト・アイフェルは大半が自然酵母による発酵です。
それでも自然派ワインとは異なる、という点は亜硫酸の添加にあります。亜硫酸が添加されていることが悪、と考えている方もいると思いますが、ドイツの場合は亜硫酸の添加により、ぶどうやテロワールの個性がはっきりと表れるという傾向があり、最低限の添加によりおいしいと思えるワインが造れるので必要なのです。リースリングの場合は酸が強めなので安定したワインにするために酸化防止剤も必要で、他のぶどう品種より量が多くなります。甘口ワインも多くなる傾向にあります。そういうこともあり、亜硫酸無添加というのはドイツワインにはあまり向いていないのです。
亜硫酸を添加しているのでヴァンナチュールではないのですが、テロワールの個性を重視した自然を生かしたワイン造りをしているのです。自然派ワインという言葉が大きくなってしまい、そのためにわかりにくくなってしまっている部分があるのです。自然派ワインのカテゴリーではないが、自然なワイン造りをしているというところがたくさんあるということです。ドイツには特にそういう醸造所が多いのです。

クナウスもそういった意味合いでは自然な造りということにこだわっているのですが、その中で亜硫酸無添加の醸造というチャレンジもしているのです。亜硫酸が添加されているといっても最低限なのでかなり少ないのですが、添加ゼロとは違いがあります。そういった無添加のワインが自然派ワイン、ヴァンナチュールいうカテゴリーに入るワインとなります。味わいとしてもそちら側の風味があります。
しかしそういうカテゴリーの中でも、私のように独特のくせのある味わいに少し抵抗がある人たちにも2015年のトロリンガーは受けていれるもらえるのではないかと思ったのです。和食や日本の家庭の食卓の料理にも合わせやすい味わいなのもポイントです。自然派ワインという世界が大きくなっている現在の中の、ドイツワインをインポーターしていてる私にとっての答えがこのワインだと考えています。
2014年よりは良くなっていると考えて私は進化していると思ったのですが、2016年産が出てからでないと2015年だけよかったのか技術が上がって進化しているかはわからないのですが、この2015年産が素晴らしいということだけは断言できるので、ドイツの自然派ワインにどういうものがあるのかというのを知りたい方にはぜひ飲んでいただきたいワインです。
大半は日常消費用のワインになるトロリンガーですが、こういったワインに向いているということを証明した点でクナウスは先駆者だと言えます。トロリンガーの亜硫酸無添加が面白い、というのは間違いないです。
レンベルガーも2015年から亜硫酸無添加のワインの製造を始めたそうで、樽から試飲をしましたが、こちらは2014年のトロリンガーで感じたようにあまり好みではありませんでした。
レンベルガーは1000リットルの木樽、トロリンガーは3000リットルの木樽で発酵、熟成させています。

ドイツでもここ最近、亜硫酸無添加、オレンジワイン、アンフォラによる醸造、という自然派ワインにカテゴライズされるワインの醸造にチャレンジする醸造所が増えています。ビオが当たり前になり、ではさらにその先のいいワインを造るためには、ということでこの方向性に向く傾向があるようです。今はまだ話題作りだったり、ビジネスのための手法にすぎないだけだったりする場合もあるのですが、一昔前のドイツでのバリック樽の使用は、色んなぶどうでチャレンジしていてその経験があり適したぶどうや使い方というのが定着して今になっているように、自然派ワインというカテゴリーもドイツでは今はまだ過渡期であり、これからいいものが生まれたり残っていくといように進化していくと思います。その中でトロリンガーの品種というのはこのクナウスの2015年産を飲んで可能性を感じたのでした。

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トロリンガー Without all 2015 クナウス (Weingut Knauss)
http://weinbergwine.com/22_83.html

2014年産までは他のラベルと同じでその中にWhithout allと書いてあったのですが、わかりづらいという声があったようで2015年産から葉っぱのラベルに変更となりました。

今は欠品となっていますが、新たに入荷し2月かた販売を開始するクナウスのワインの中に通常のラインのトロリンガーもあります。こちらも人気があるのですが、Without allとは少し味わいが異なるのは面白いので、両方購入して比較するのも興味深いと思います。


ビオワインもヴァンナチュールもドイツだからこその良さがあると思っています。比較ではなく、良さを感じていただけるような楽しみ方をしていただけるとうれしいです。


今回紹介したワインを造っているクナウスは2月に来日します。
前回の記事でもワイン会のお知らせをしましたが、2月17日の人形町モリモトハウスにて行う試飲即売会ではこのトロリンガーWithout allも試飲で提供予定です。16時半から18時半までの予定です。参加費は無料です。飲食店の方も大歓迎です。お気軽にお越しください。


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2016年07月17日

2015年産のドイツワイン

前回は2016年の今のところの様子について書きました。次は2015年産のドイツワインについてです。

2015年はどうだったかというと、猛暑だった2003年と同じように暑い夏で地面が乾いていて水が必要な夏だったそうです。しかし9月ごろから雨が降り、健全なぶどうが多く収穫できた年となりました。昨年、収穫後の11月にドイツに行った時には、どの生産者も、糖度が上がりなおかつ房を選ぶ必要もなくどれもよいぶどうでいい年だったと口にしていました。

そのようなことを聞いた上で、今回たくさんの醸造所の数々の2015年産のワインを飲んだ感想を書きます。まだ若い状況で、樽から直接試飲したものも少なくはなく、おいしいかおいしくないかを判断するべき状況ではないワインも多かったので、味わいの印象についてのみ書きます。
フランケンの試飲会で感じたのは厚みのあるワインが多いなあという印象でした。スラッとしていてなおかつ凝縮感のあるワインは少ない印象でした。試飲会では生産者がそこで売りたいワインを出すので、いわゆるフランケンらしいワインはすでに売れていて、それ以外のワインが多く出ていたこともあってそういう印象を受けたのだと思います。
他の地域でも骨格の太いワインが多く、等級の高いワインのほうがバランスが良いと思えるワインが多かったです。これらは熟成させるとより素晴らしくなると思いました。また、リースリングでない品種のほうが出来がよいワインが多いという生産者も少なくないのかなと感じました。

今回一番2015年産を飲んだのはモーゼルの地域のリースリングです。モーゼルも、凛としたいうよりやや骨格の太いワインになっているという印象でした。どのタイプに似ているかというと私としては2003年の要素があるのかなと思いました。2003年産は酸が少なかったのですが、その年よりも酸の量は多いようです。モーゼルは酸と果実味のバランスが重要なのですが、2015年は収穫時期は夜は温度が下がったため酸もほどよく生成されたそうです。ヴュルテンベルクでも同じような話を聞きました。
ただ、酸はそれなりにあるけれど骨格が太めという印象を持ちました。
醸造所によってぶどうの条件や醸造方法などが異なるので一概には言えませんが、軽く飲むタイプではファインヘルプやカビネット、ボリュームのあるタイプならシュペートレーゼクラス(VDPだとエアステ・ラーゲ)の上級のトロッケンや重たい甘みのシュペートレーゼクラス以上の甘口がよいのかなあと思いました。もちろんそれらのもの以外でも素晴らしいと思ったワインはありましたが、全体でとらえるとそういった印象を受けました。
モーゼルでは赤ワイン用ぶどうにロゼも何種類か飲んだのですが、こおれはどれもいいボリュームでよかったです。それなりのボリュームはあるけれどモーゼルらしい軽さもありました。こういうワインのほうがモーゼルらしいの言うのは少し躊躇しますが2015年産は赤ワインのぶどうのほうがモーゼルらしいと思えるワインを作りやすかったというように感じました。私のいうモーゼルらしさというのを説明するのはなかなか難しいのですが、果実味や味わいという一部ではなく飲んだ時の全体の印象のことを指しています。

冒頭にも書きましたが、瓶詰め数か月とその翌年ではかなり印象が変わってくるワインが多く、ハウスワイン以外の上質、上級な辛口ではその傾向が強く、あまり評価もよくなかった2014年産も今の飲むとおいしいワインが多いです。2015年産も今年判断してしまうともったいないワインが多い印象を受けました。

また、2015年は質、量ともによく生産者にとっても消費者にとっても良い年というような評価も聞いていましたが、生産者によっては2014年のほうが生産量は多く総合的にもよかったというところもありました。
産地の全体でとらえるのも大事ですが、生産者ごとに様子を聞くというのも大事だということをあらためて思いました。
そういった醸造所ごとの話も今後このブログで書いていきたいと考えています。


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ケラーで樽から直接試飲することもありました。ここでは、木樽とステンレスで別々に醸造したワインを50%のブレントにて瓶詰めすることが決まっているものをグラスの中で同じ割合で注いでもらって混ぜて飲むということもしました。


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2015年産だけで他のヴィンテージを飲んでいる醸造所もあります。同じ畑のいくつかのヴィンテージを並べて飲むのは興味深い経験です。


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2016年07月16日

2016年のドイツのぶどうの現状について

ドイツで生産者と話して聞いた今年の今のところの状況を書いていきます。

今年は5月、6月は毎日のように雨が降っているそうでこれは異常なことのそうです。私の訪れたは6月末ですが、ザールでこの時期に木々がこんなに鮮やかになっていることはないと言われていました。それだけ水(栄養素)が多いということです。それはぶどうにとってよいことかというとマイナスの部分が多いのです。会った生産者は口々に雨が多くて困っていると言っていました。
その理由のひとつがカビが繁殖してしまうことです。特にビオの栽培をしている生産者にとっては重大な悩みで、ヴァインベルクの取引している生産者もビオの認定は取得していませんが可能な限り農薬を使わないで栽培している生産者なので、この雨はかなりこまっているようでした。そして私の滞在指定期間も日本の夕立のように、晴れていたのに急に大雨になったという日が何日がありました。さらに32度になった日もあったのですが、この条件が最悪だという説明も畑で聞きました。大雨により地面に水分がたまり、暑くなって表面は乾いても地面の中は湿っていてそれにより熱がこもるので、ぶどうの樹によってはよくない状況だということでした。
もうひとつの理由は、雨が降るということは太陽が出ていないということで日照不足となっています。訪れていた時期は花が咲き始めている時期で、この時期からは太陽の光は重要だから晴れてもらわないと困ると言っていました。
日本でもヨーロッパの洪水のニュースを耳にした方は多いと思いますが、ドイツに関してはワイン産地ではそれほど洪水によるダメージはなかったそうです。フランスやオーストリアの一部では深刻な被害があったそうですが。雹についても、今年はブルゴーニュなどで深刻な被害があり、ドイツでも毎年耳にしますが、僕の取引している生産者からは雹によるダメージは聞きませんでした。


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ぶどうの花


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カビが出てしまった葉と表面は乾いているけれど中は湿っている地面。ザールの畑にて。


次回は2015年産について書きます。


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2015年01月31日

甘口のドイツワインとは 自然の恵みで生まれた奇跡

甘いものが話題になる時期ですので甘いワインの紹介をしたいと思います。
その前にドイツの甘口ワインとは何かという話しをしていきます。

日本ではドイツワインは甘いというイメージがありますが、今は生産量の7割近くが辛口系です。
食事に合わせられるワインのほうが需要が多く、ほとんどの醸造所の主力は辛口ワインです。醸造所の中でもモーゼルなど甘いワインを造るのに適しているところでは甘口主体のところはありますが。
甘口のカテゴリーの中での生産量の比率としてはリープフラウミルヒやシュバルツカッツといった日本でもスーパーでも売られているような大量生産品がかなりの割合を占めています。日本人のドイツワインのイメージはこれらのワインの味わいを想像している方が多いかと思います。これらのワインにも良さはありますが、マイナスなイメージをいだく人も少なくありません。
ドイツワインの本来の甘口ワインの魅力は生産量としては比率の少ない家族経営の生産者が造るワインにあります。
冷涼な地で斜面などでできるだけぶどうが熟すような環境で育ったぶどうからは果実味豊かな甘口ワインが造られます。これらの一部のワインこそが世界中で通用するドイツが誇れるワインなのです。ドイツワインを紹介している人たちは基本はこういったワインを紹介しています。このカテゴリーの中にも、醸造所がある地域のみで消費されるような親しみやすい味わいで安価なものから、トップワイナリーが生産する気品ある高貴な甘口ワインまであるということも知っていただきたいことです。

一言で甘口といっても、食事にも合わせられる心地よい甘みのファインヘルプやカビネットから上品な甘さのシュペートレーゼ、アウスレーゼ、はちみつのようなトロッとした甘さのアイスヴァイン(アイスワイン)やトロッケンベーレンアウスレーゼ(貴腐ワイン)ととても幅が広いのもドイツワインの甘口の魅力です。果実味の甘みはトロッケン(辛口)でも感じられますが実際の糖分の甘みがあるのはこういった甘口ワインです。
糖度が高いぶどうのほうが収穫量が少ないため値段は上がっていきます。特に急斜面で栽培されている貴腐ワインやアイスワインは、気象条件により収穫できない場合もありとても貴重とされていてアウスレーゼの倍以上の値段がつけられている醸造所も少なくありません。

収穫時期を遅らせて熟した基本的にはシュペートレーゼに使われるようなぶどうからはトロッケンやファインヘルプ(中辛口、中甘口)も造られていて、これはそのまま食べたら甘いものを発酵することで糖分をアルコールにして辛口や中辛口に仕上げています。その場合、完成したワインには糖分(残糖)は少ないのですが果実味、甘みは残っているのが特徴でボリューム感のあるふくよかなワインとなり、こういったワインは上質なワインとされています。
甘口ワインに関しては、途中で発酵をとめたり、高い糖度になってから収穫されたものは発酵が自然に止まっても残糖が残るから、ということで残糖のある甘口ワインになります。
カビネットやシュペートレーゼなどといった肩書きがついているワイン(Prädikatswein)には捕糖(別のぶどう果汁の添加、ズースレゼルヴ)が許されていないので発酵したぶどうだけの自然の恵みの甘さだけということも知っていただきたいです。はちみつのような甘さが自然に育ったぶどうだけの甘みというのは奇跡だとそういったワインを飲むと思うのです。
また、安価なワインでは辛口でもアルコールにするため補糖をしているケースもありますが、甘口ワイン同様肩書きのついているワインや同クラスのVDPの新しい格付け制度のワインは甘口ワイン同様捕糖が禁じられています。

ドイツの甘口ワインの特徴のひとつとしてアルコール度数が低いということがあります。例外もありますがモーゼルやラインガウなどのリースリング種の甘口ワインのほとんどはアルコール度数が10%以下です。トカイワインやソーテルヌでは13%前後のものが一般的なので、それらとは味わいが異なるということがおわかりいただけるかと思います。アルコールが低いことにより心地よいやさしい味わいになります。
アウスレーゼや貴腐ワインなどのリースリングの極甘口ワインには6%や7%といったワインも多く存在します。
収穫糖度が300g/lを超えるぶどうから造られたワインの中には規定の最低度数の5.5%というものもあります。この規定に達しないために一年以上発酵させてこの度数に到達させた、というワインも聞いたことがあります。

もうひとつのドイツワインの甘口ワインの大きな特徴のひとつが酸です。これは主にリースリングの甘口ワインにあてはまることです。
冬と夏、昼と夜の温暖差が激しい冷涼な地で育ったぶどうからは酸も生成されます。酸味というのをマイナスにとらえる方もいると思いますが、骨格のあるワインになるためには大事な要素です。酸がないとまったりとしたワイン、酸があるほうがきりっとしたワインになります。酸が多く含まれていても酸っぱいと感じない場合もあり、それはミネラル感や甘みなど色々な要素により味覚としては感じないということです。そういう点でもドイツワインの甘みは重要な要素です。甘みと酸味のバランスにより美味しいと思えるワインになるのです。
そしてヴィンテージによって気象条件が違うので、酸味が際立つ年になったり糖度があまり高くならない年になったりというのがヴィンテージの特徴となります。
また、そういう点でバランス良いと思えるワインになるということは、テロワールの条件が整っている畑だけなので、それは自然の恵みであると感謝しなければいけないことなのです。
また、甘口ワインで糖度がワインの中にたくさん含まれていても甘ったるく感じないのは酸があるから、ということもあるのです。
酸と甘み、というのはドイツワインでは重要な要素なのです。モーゼル地域のワインを語る上では特に重要です。


そういった自然の奇跡によって生まれた甘口ワインをヴァインベルクでも扱っています。
ドイツの甘口ワインに私は癒されます。理屈とかは関係なく頭は使わずドイツワインの甘口ワインは飲むことができるのです。
こういったワインを飲んだことがない方にはぜひ飲んでいただきたいです。
また、若いうちは直線的に感じる甘みだったのが、熟成してくるとほんわかとしたふくよかな甘みになり深みも出てくるのが魅力です。熟成ワインには熟成したものにしかない良さがあります。本当に癒されます。10年や20年以上経過したドイツワインの甘口ワインの味わいを言葉で説明するのはなかなか難しいです。百聞は一飲にしかずです(笑)。

先に書いたように甘みと酸味で色々な味わいになるのでさまざまなヴァリエーションがあります。そういったワインを次の記事で紹介していきます。



ドイツワインショップ ヴァインベルク
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2015年01月28日

新入荷のワインと食事との相性 主に和食と合わせての感想

12月末に新しくワインが届きましたが、ワイン会などでそれらのワインを試す機会が何度かありました。
ヴァインベルクのワインを扱っていただいている飲食店森川(東銀座)での会、金沢の食材を取り寄せてのお宅でのワイン会、椿山荘で行われた東京ドイツワイン協会の新年会、などですがこれらの会に共通することは和食ということです。

ヴァインベルクが輸入するドイツワインは和食との相性が良いという自信があるのでこういった会を進んで開いたりワインを使ったりということをしています。
和食には日本酒、という認識の方は多いと思いますが、日本酒と合わせるよりもドイツワインと合わせたほうがしっくりくる組み合わせを今まで何度も経験しています。
日本酒のアルコール感や米の甘みによる余韻というのがマイナスな効果を与える場合があり、きりっとした味わいややさしい味わいのドイツワインのほうがうまく溶け込んだり、後味も酸味によってさっぱりしているからこそ食べ物の邪魔をしなかったりということがあります。
もちろん日本酒のほうが合う食材もありますが、和食には日本酒というイメージは振り払って、ドイツなどのワインと試していただき新たなに世界を広げると食事の楽しみが増えるのはではないかと思います。
そのための参考としても具体的な例を紹介していきます。なぜ合うのかなどもできるだけ書いていきます。
今回は会ごとのレポートではなく、ワインごとに料理との相性を紹介していきます。
和食というジャンルだけではなく、日本人が作る料理についてというとらえ方をしていただけると応用の幅が広くなるかと思います。


まずは比較的オールマイティに合わせやすいファインヘルプ(中辛口、中甘口)のリースリングです。
ファインヘルプはトロッケン(辛口)にほぼ近い残糖量があるものから、もっと甘みを感じるものもありますが、少しでも甘みがあるいうことで和食と合わせやすくなっています。
砂糖やみりんなど甘みのある調味料、しょうゆや出汁などのうまみは甘みがある(残糖は少なくても果実味、甘みを感じるもの、残糖が少しあるものの両方)の飲みものと合いやすいのです。だからこういったお酒は日本の料理と合わせやすいのです。日本酒が合わせやすいというのもこういった理由があります。

このワインは食事と合わせるにはぎりぎりの甘さを感じます。しかし酸味があるフレッシュ感があるので食事とともに楽しむことができます。
料理もフレッシュなものと合わせやすいのですが、フレンチドレッシングのかかったグリーンサラダと抜群に合いました。ドレッシングの酸味と濃さが合った理由だと思います。


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揚鶏と水炊き「森川」にて


また、石川の食材の会の時にはかぶら寿司がありましたが、いくつかの日本酒よりもこのワインが一番合いました。麹の少しつんとしているけれど甘みのある味わいとこのワインの心地よい甘みがうまくからんで口の中で融合していました。


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右の二つの小皿が麹を使った料理です。


こちらのファインヘルプはそこまで甘みは感じない、ミネラル感が豊富で甘くも辛くも感じない、甘み、酸味、ミネラル感が一体となった味わいです。
ゾンネンベルクと両方提供した会が多く、ひとつの料理でそれぞれのワインを試すというのを色々とやりましたが、よく合うものがまったく異なるという結果になりました。
こちらのワインは醤油や出汁のものと相性が良いと思いました。
揚鶏は抜群でしたし、鶏の出汁の水炊きともよかったです。凝縮感があるから出汁のものと合っているかと思います。水炊きはゾンネンベルクはあまり合わなかったのですが、それは甘みとフレッシュ酸味とによる影響かと考えられます。
蒸し牡蠣や網焼きの魚介ともよく合いました。これは魚介系のうまみと相性がよかったからだと思います。これらの食材でも調味料やソース(西洋料理の)がかかったりすると合うワインは変わってきます。


次はトロッケン(辛口)のリースリングです。
ドイツでもリースリングは和食に合う、というプロモーションの仕方をしているのですが、正直に言って大半のドイツのリースリングの辛口は和食や日本の食卓の料理と合わせづらいと私は考えています。
それは例えば、シーファー土壌だとミネラル感が強く複雑みがあったり、他の産地でも酸味が先行する味わいだったり、というようなリースリングのワインでは食事をよせつけないものも少なくありません。特に上級の格付け、等級のものはワインだけで完結していて、食事と一体になる余地がないワインも多いです。そういったものと和食は洗練された料亭の料理ではないとうまく合わないのではないかと思っています。
また、かたい印象を受ける白ワインは和食とは合わせづらい、とも思っていただいてよいかと思います。和食や家庭の食卓で、グーツワインでリースリングとミュラー・トゥルガウがあったら後者のほうが一通りの料理と相性がよい可能性が高いと思います。
という中でも、ヴァインベルクのモーゼルのリースリングは、トロッケンでも和食と相性が良いものが多いのです。
味わいでいえば、やさしい、やわらかい味わいのものだから料理となじみやすいと言えます。自分がそういう味わいのものが好みなので、数あるラインナップの中から選んだヴァインベルクとして入荷したワインは和食に合いやすいワインが多いと言えます。
技術的な部分で言うと、木樽による熟成でやわらかさがあったり、天然酵母による発酵で親しみのある味わいになったり、という要因が考えられます。

今回輸入した中で一番和食や日本の家庭の食卓の料理と合わせやすい辛口はこのワインだと思います。料理によっては酸味が少しじゃまをして合わないかもしれませんが、たいていの料理とはやわらかくミネラル感の味わいはうまく寄り添ってくれます。
椿山荘であった強すぎない上質な脂の鮪(おそらく中トロくらい)との相性がとてもよかったです。醤油はほんの少しつけたくらいがちょうどよかったです。
他に寄り添うというよりは相性が良いと感じたものは鶏肉のタタキ、餡のかかった煮物などがありました。

同じラインナップの2012年は野菜に合わせやすい味わいだったのですが、2013年産のほうが少し複雑みとかたさがあり、ワイン単体で飲むのはもちろん美味しいのですが、食事と合わせる場合のポイントがなかなかつかみどころがない味わいになっています。
そういうこともあってまだ研究段階でしっかりとアドバイスができる状況ではないのですが、クリーミーだったりとろける食材との相性はとてもよかったです。
あん肝のソテーや茶わん蒸しの白子などが口の中で絡み合ってとけこんで幸せな気持ちにさせてくれました。
あん肝は日本酒よりも一番このワインが合ったのが驚きでした。すっきりしているけれどコクもある酒質ときれいな余韻が、素材の味わいを邪魔しないでなおつ一体となっていました。

グローセス・ケヴェックス(GG)クラスのこの醸造所の最上級の辛口リースリングです。先に書いた通りGGクラスの辛口はワインだけで完成しているので食事とは合わせづらいのですが、このワインはそんなことはありませんでした。とはいえオールマイティに合うとは言いづらいですが。
最高の相性だったのは脂ののった焼いたのどぐろでした。塩味そのままでもしょうゆをつけても美味しくいただけました。口の中に広がるのどぐろのゴージャスな味わいを、アルコール感もあるどっしりとした味わいが受け止めて脂に負けないで存在感を保ち、そして一体となります。酸によって後味はさっぱりするのでしつこくはなくいくらでも食べられるのも良いところでした。
このワインのように熟成することによってかたさが和らいででくればGGクラスでも和食と合わせやすくなります。ただ気品のあるスタイリッシュなものや複雑みがすごくて深い味わいのものはかなり料理を選ぶかと思います。このワインは輝きはありますが親しみやすさもあるので和食や家庭の食卓にチャレンジしやすいと思います。


最後に赤ワインです。
和食には赤のほうが白より合わせるのが難しいのですが、タンニンや樽香よりも果実味のあるドイツの赤は比較的和食などにも合わせやすいと思っています。やわらかさ、というのが重要な要素だと私は考えています。

ドイツの中では濃いめの味わいですが熟成していることで丸みもあり多くの料理と違和感なく楽しむことができました。
火の通った野菜と合わせやすいです。先に書いたグリーンサラダと合ったのは驚きでした。
もちろん肉料理にも合います。まだ試していませんが、うまみも感じる肉じゃがと合わせると面白いような気がしています。

このワインは今のところ肉よりも魚料理に合う確率が高いです。前回輸入した同じ造り手のゾンネンベルクもふうつの赤ワインに合わないような食べ物と合っていた不思議な赤ワインでしたが、このワインも同じような傾向にあります。果実味とザール特有の酸、ほのかな甘みが魚料理に合うポイントかもしれません。ソースというよりは素材そのものでそのポイントが影響を与えているような気がします。
参考にはならない驚きの組み合わせですが、生の何もつけない甘えびと合ったのにはびっくりしました。生臭さは全く感じず甘みなどがうまくとけこんでいました。
新年会ではブリとともに牛肉が出されましたが、疑いなくブリのほうが相性が良いと感じました。


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東京ドイツワイン協会(愛好家の非営利団体)の新年会、椿山荘「錦水」にて


お肉と合わせる時は牛肉や豚肉よりくせがある肉で、ソースは濃いめで甘みのあるものだったら合うのかなと考えています。


このようにドイツワインとこういった料理は色々な楽しみ方をすることができます。
この体験は料理人が作った料理に限ったことではなく、ふつうに手に入る食材で家庭で作る料理でも体験することができます。
そのことがフランス料理とは違うことなので、ドイツワインをご家庭でも気軽にお楽しみいただける説得力のある理由になるのではないかと思っています。


実際に合わせてみると思いがけない相性のよい組み合わせが見つかったりして面白かったです。あった時になぜ合うのかと考えることも楽しみのひとつです。
文献などのセオリーだけを参考にせずチャレンジしてみるのも面白いと思います。ただ、そのためにはなぜ合いそうと思うのかという根拠を自分の中に蓄えておく必要があると思います。今までの経験からどういうポイントでそう思うのかというのを整理しておくと、家庭でもワインを選ぶときなどに役に立つかと思います。
そのチャレンジのために今回の記事も参考にして試していただけるとうれしいです。そして試した後にには、自分でポイントを整理してみると自分の糧になり今後に役立てるようになるかと思います。



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オープン1周年記念のリースリング3本セットを2種類販売しています。
同じ期間、2月上旬まで代引き手数料無料キャンペーンもしています。



家庭では難しい料理とドイツワインを愉しむ会を計画しています
ドイツ料理とジビエの会
日時 2月21日(土) 18時開始
場所 ツム アインホルン 最寄駅 六本木一丁目、神谷町
会費 12,000円
ソーセージ以外のドイツ料理をあまり知らない、興味があるという方に参加していいただきたいです。
詳細は下記リンクの記事をご覧ください。


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