2018年05月18日

時間と熟成の話 少し補足です

前回、ワインの時間と熟成のことを書いて、いいワインになるためには時間が必要、と書きましたが、もう少し書いたほうがいい、というようなことがあるので少し補足という形で書いていきます。


ドイツワインの白ワインはリースリング、ジルヴァーナー、ヴァイスブルグンダー(ピノ・ブラン)など、さわやかできれいな味筋のタイプが多いので、他の国に比べて木樽に入れている時間やボトリングのタイミングが早い傾向にあります。複雑みをそこまで必要としないからです。そういうこともあり、ドイツは販売開始が、高品質なワインを造っている生産者でも早い傾向にあるのです。
その中でも、深みや複雑みが必要だから、樽に入れている時間を長くする、ボトリングしてもすぐには販売しない、と考える生産者もいるということを前の投稿では書きました。


ドイツでは収穫した翌年の春ごろから販売を開始するのが一般的、と書きましたが、そのことについてももう少し。
シュペートレーゼ以上の等級(辛口も含む)は3月1日以降に販売、と定められています。それでも3月はまだ早すぎると感じます。
そしてVDPの新しい格付けの辛口の最上級グローセス・ゲヴェックス(GG)に関しては、9月からの販売というルールがあります。
いいものには時間が必要、というのをしっかりと表しています。ただ、質のいい上級クラスのワインは9月でも飲むには早すぎます。たいていのワインは翌年から2年は最低でも待たないと、というワインが大半です。


ボトリングや販売時期に関しては、白ワインを前提に書いていました。
赤ワインの場合はもう一度樽で熟成させてから販売するのが基本です。例えば今年で新酒試飲会という場合には、白は2017年産、赤は2016年産が中心となります。タイプによってはグーツヴァインクラスでは2017年産を夏ごろから販売している例もありますが。
先のGGは白よりも1年先の9月に販売開始となります。


新酒試飲会では、最新ヴィンテージではなく、1年前のワインを中心に提供しているところもあります。そういうところからも造り手の考え方、自時間を必要とするワインを造っている造り手、というようなことを推測することができます。
もちろん新しいヴィンテージを出しているところでも、低価格帯はフレッシュなもの、高価格帯は熟成させてから飲んでもらい、と考えているところもあります。例えば上のクラスだけでさらに2年以上経過しているワインを出展している醸造所もあります。


ボトリングされてからの熟成の話も少し。ドイツの甘口は3年から5年くらいは寝かせてから飲んだほうがいい、という話を聞いたことがある方ももいらっしゃいました。深みや広がりが出るのがだいたいそれくらいからのワインが多いからです。辛口はもう少しスパンが早い傾向にあります。なので半年、1年待っただけでもかなり変化し飲み頃になっているということも多々あります。なので、その半年、1年を待つだけで違う、ということを伝えたかったのです。前の投稿や先にも書いていますが、辛口ワイン(白も赤も)でももっと数年、5年、10年寝かせるべきワインもたくさんあるということも忘れてはいけません。
また、甘口ワインに関しても寝かせればよりおいしくなるかというと、そうではない場合もあり。ヴァインベルクでも1、2年しか経っていない甘口ワインも取り扱っていますが、フレッシュだからこそ甘みとのバランスがいい、というワインもあることも書いておきます。
そして、熟成をさせると、予想を超えた、素晴らしい味わいになることもある、ということも付け加えておきます。熟成は、予定調和にはならない、というのも、ワインは自然の産物だからこその魅力、楽しみです。

日本に輸入すると少しだけ時間が進む、と書きましたが、輸入されてすぐのワインは、長期間の移動で揺れたりしているので状態が安定していないないので、現地で飲んだものとは全然異なると感じた経験がある方もいらっしゃると思います。日本についてから3週間から1か月くらいは落ち着かせると、本来の良さが見えてくるワインになると思います。その状態が、現地で同じ時間が経過しているものよりも少し熟成が進んでいる、という話です。
こういうところでも時間が必要なのです。インポーターも商売優先だけではなく、質のために時間をかける必要があります。


時間や熟成の話は、例外があったり、細かい話をしなければいけない系統の話ではあるのですが、need timeというのは質の良いワインにはキーワードになるということは覚えておいていただきたいのです。


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写真がないのも、ということで一枚だけ。
モーゼルのベルンハルト・アイフェルの新しいケラーです。前のところから全てを移動しているのですが、昨年収穫したぶどうがまだ樽に入っていたり、2017年産だけでなく複数のヴィンテージのワインがストックされています。画像のバリック樽にはヴァイス、グラウ、シュペートとブルグンダー系の品種が入っていて熟成させています。



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2018年05月16日

ワインの時間、熟成について need time

今回はワインの時間、熟成の話を少し。
ワインをある程度飲んでいる方は、熟成するとテイストが変わってくる、というのは当然おわかりだと思います。といっても、どのワインでも寝かせれば良くなるというわけではないし、長いほどいい、というわけでもないということを。
今回は10年、20年という話ではなく、もっと短い時間軸での話です。大まかに分けるとボトリングのタイミング、ボトリングしてから1年くらいの違い、数年経ったワインの違い、ヴィンテージによる飲み頃の違い、というような内容です。
どう変化するのか、というのは、ワインによっても異なるので、その説明は今回は省き、飲み頃という言葉でまとめています。熟成ということについては奥が深いので、一度での説明は不可能ですので。

ドイツワイン業界の傾向として、出来上がったものはすぐに販売する、という傾向があります。たとえば、前年に収穫したものは、翌年3月、4月ごろにボトリングし、4月、5月から販売開始、というのが大半です。ドイツでは、フレッシュなものを好む傾向が多いからか、他の国よりも少し販売開始が早いのではと思います。テーブルワインのタイプでは、ボトリングしてすぐに販売しても少し経ってもそんなに変わらないのですが、ヴァインベルクで扱っているタイプの上質なワインでは、ドイツでは販売開始は少し早いなあと感じます。前のヴィンテージが残っていても新しいものから売れていく、というのもドイツならではの現象かと思います。そういう状況なので、3月、4月の試飲会でも出来立て、もしくはまだ樽に入っているワインがバンバン試飲に出ています。
しかしその状況で魅力がわかるワインはそう多くはありません。もう少し経ってからでないと魅力がみえてこないワインがたくさんあります。

こういうような話をヴァインベルクが取り扱って醸造所に行くとよくしています。
時間が経たないと自分のワインもよさがわからないということを。
ステンレスタンク、人工酵母での発酵だと、発酵が終わるのが早くボトリングも早くでき、おいしいと思えるタイミングも早い傾向にあります。しかしゆっくり発酵させ、少し経ってから飲むべきワインを作っている、とだいたいのところは話します。
ただ、そのタイミングも、造り手や産地によって考えが違うのも面白かったです。モーゼルではそう話している造り手でも3月、4月に大半のワインはボトリングが終わっていたり、他のところでは4月終わりに訪れてもまだ大半はボトリングをしていない、と話していたのです。遅めといっても最適なタイミングはそれぞれが異なるのです。

モーゼルのベルンハルト・アイフェルは青いシーファーと赤色のシーファーの畑を持っているのが、赤色のシュバイッヒのワインはボトリングしてから1年以上経ってから飲むべき、と言っていて、ヴァインベルク店主もそう思っています。
ドイツのグーツヴァイン、オルツヴァインクラスの低価格帯のトロッケン(辛口)はなるべくボトリングした年にフレッシュなうちに飲むべき、と日本でのドイツワイン好きの方も言っている方がいます。ただし、全てがそうではない、ということを知っていていただきたいです。

また、すでに日本で販売している2016年産を醸造所で飲むという経験も何種類かしたのですが、現地で飲んだほうがフレッシュな傾向にありました。劣化ではなく、移動で揺れていたりするので熟成が進んでいるようです。
なので時間が少し必要なワインも、日本で販売しているほうが、飲み頃に早く達しているということもある、というのを確信したのも今回のドイツでの収穫でした。


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先に書いたように、ドイツでは最新ヴィンテージがすぐ売れる傾向にあるのですが、数年経ってから飲んでほしいと思っている造り手はたくさんいます。甘口でなくてもGGなどの上のクラスの辛口ワインでも少なくとも3年くらい経たないと魅力がでてこないのでは、というワインがたくさんあります。
アールの造り手は、試飲会では最新ヴィンテージを出すけれど、前のヴィンテージはたくさんストックしているし、想いとしては数年経ってから飲んでほしいと言っていました。
そして後半は2014、2015のヴィンテージを中心に試飲していきました。
その中でも興味深かったのは、2014年のほうが今飲んでほしいと思うものが多かったことです。ヴィンテージの特徴として、2015年のほうがもっと時間が必要という印象だったのです。一つの考え方だけで見るのはよくありませんが、良いヴィンテージと言われるほうが飲みごろになるまで時間がかかる傾向にあるのです。


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モーゼルのマルティン・ミュレンでも同じような考えで、すぐに販売せずにストックしておくワインがたくさんあります。中には1990年代のワインもあります。
そのため前のヴィンテージのワインもたくさんあるので、一年でも畑、味わい、格付けごとにたくさんのワインを作っているので、その時にリリースしているワインの種類は膨大となり、このような量の試飲をすることになります。これでも販売中の全てではなく、当主のマルティンのおすすめだけを試飲しています。


このように、何にしても時間が必要なのです。複数の造り手でneed timeという単語が出てきます。時間が経てさえすればいいワインになるというわけではないのですが、発酵、ボトリング、その後の熟成、と商売ではなく質を追求するために時間を遣う考え方をしている造り手のワインは質が高い傾向にあるのは間違いないと思います。


次の記事でこの投稿に対しての補足を書いていますので、そちらもあわせてお読みいただきたいです。



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posted by ヴァインベルク at 20:47| ワインのためになる知識 | 更新情報をチェックする

2018年05月13日

木樽の使い方の話

ワインをよく飲まれている方は、樽の使い方によって出来上がって販売されているワインのキャラクターが異なってくることは認識されていると思います。樽の風味もワインを構成する中での重要な要素とされています。
ドイツワインには繊細なワインが多く、樽の風味を利かせるために木樽を使用するということは率で言えば多くはありません。それでも木樽w使用している醸造所はたくさんあります。
今回のドイツでは、試飲していて樽に関しての質問をすることが多く、色々な話も聞いたので、樽に関して少し書いてみます。
醸造に関しては専門ではないのと細かく書くとキリがないので、あまり詳しくは書かず概要といったかんじで書かせていただくことをご了承ください。

一般的にドイツでは白ワインで木樽を使用する場合はシュトゥック(1200リットル)、フーダー(1000リットル)といった大樽を使用します。その倍以上の巨大な樽を使用します。これらは樽の風味をつけるため、というよりは、酸をまろやかにしたり、天然酵母の働きをさせる目的で使用されることが多いです。ステンレスタンクのほうがクリーンだったり、温度管理もできたりするので、ステンレスタンクでの発酵、熟成が大半の醸造所もたくさんあります。
ヴァインベルクが取り扱っている醸造所では全て木樽というところもありますが、リースリングに関してはハウスワインなど大量に生産するものはステンレスタンクで、上のクラスは木樽で熟成、というところが多いです。その比率は醸造所によって異なりますし、上のクラスのワインでも年によってはステンレスタンクで熟成させるというところもあります。
リースリング以外では、同じように低価格帯はステンレスタンク、上のクラスでは木樽、というところが大半を占めています。
ただし、木樽、といってもその範囲がとても広いのです。今回の出張ではその選択肢の多さをより感じることとなりました。

先に書いたような1000リットルを超える大樽はドイツでは多用されているのですが、他の国のワインでは木樽といえばもっと小さい樽が思い浮かぶと思いますし、ドイツでももっと容量の小さい樽は使われています。


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この画像はラインヘッセンのグッツラー醸造所のケラーです。たくさんのバリック樽でワインが熟成されていました。
バリックといえば200リットル台を想像される方が多いと思いますが、ここで使われていたのは350リットルのものです。
そしてトノーと言われている500リットルの樽やハルプシュトゥックと言われる600リットル前後の樽も使われています。
バリックでないものは主に白ワイン用ですが、フランス産のトノー、ドイツ産のハルプシュトゥックは品種や年によって使いわけているそうです。例えば、リースリング、ヴァイスブルンダーは樽の風味はいらずさわやかにしたいのでハルプシュトゥックに、グラブブルグンダーは複雑味がある味わいにしたいのでトノーやバリックに、ということです。
もちろん全て同じ容量の樽に入れるのではなく、大きさが異なるものや新樽で熟成させたものも混ぜて、瓶詰め前に合わせてからボトリング、というやり方も一般的です。
ヴュルテンベルクのクナウスはこの樽の選択の感性が素晴らしく、収穫したぶどうのジュースで出来上がりが想像でき、適した大きさの木樽にワインを入れます。500、700、1000、2000リットルといった異なる大きさの樽にワインを入れます。前は350のバリックも多く使っていたそうですが樽の風味が強すぎるということで、最近では500リットルのをメインに使っているとのことでした。

また、複数のぶどう品種をブレンドしてひとつのワインとする場合には、品種ごとに別々で熟成させる場合も、木樽に入れる前にミックスすることも両方あります。


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先のグッツラーは赤ワインはステンレスタンクで発酵せてからだいたいは4か月後に木樽に移します。
クナウスは、発酵の段階から木樽に入れているものも多いです。


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この画像はアールの醸造所のケラーです(といっても工場地帯のガレージの一角ですが)。たくさんのバリックやトノーにシュペートブルグンダー(ピノ・ノワール)が入り熟成されていますが、ミッテルラインにも畑を持っていて、リースリング、グラウブルグンダー、ソーヴィニヨンブランも木樽に入っています(ステンレスタンクで熟成、発酵しているものもあります)。
この造り手では、わりと若い年数の使用の木樽でリースリングを熟成させているワインも多々あります。試飲すると樽の風味を感じるワインが複数ありました。一般的にはリースリングは樽の風味がないほうが良いとされています。しかしこの造り手は木樽の中で長く熟成させることでより複雑味を出そうとしていま。新樽で熟成させた2011年のリースリングを試飲しましたが、ボトリングしてから年数が経っていても樽の風味は強く感じました。開けて時間が経てば消えていくし、デキャンタなどをすれば問題ないと言っていましたが、ヴァインベルク店主にはこの風味は少しじゃまに感じました。とはいえ、別のワインで木樽がいい作用をしているリースリング・トロッケンもありました。
ここのように新樽、何回か使った樽、という選択もワインのキャラクターに影響します。ドイツではそのワインの10パーセントから30パーセントくらいを新樽で、というパターンが多いと思います。ドイツではうまみ、出汁のようなタイプのジュースができるので、樽でワインの味を造るというよりは樽は補助的な役割と考えている造り手が大半です。それでも造り手によって樽の風味をについての考え方が異なるので、フランスのタイプのように樽がきいているワインを好むところやもっとダイレクトなぶどうの味わいを好むところなどさまざまです。そしてひとつの造り手でも色々なタイプのワインを造っていたりもします。
ファルツのシュピンドラーでは、新樽だけれども、一年空のまま放置してから使用する、なんていうことも聞きましたし、選択肢はかなりたくさんあるのです。


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この画像はザールのファルケンシュタインのケラーです。ここは全て木樽での発酵、熟成で、大半は1000リットルのフーダーで、赤ワイン用のバリックや少量のみの収穫の時用の500リットル樽も少しあります。
ここの樽のほとんどは10年以上使用しているもので中には30年以上使用しているものもあるそうです。
樽にも酵母の作用などの癖があり、毎年同じ樽に同じ区画のぶどうを入れるということをしています。
このように樽の使い方も醸造所によってまちまちなのです。

ステンレスタンク、大樽、バリック、樽でも新樽かそうでないか(ミックスの割合も)、軽く質問する際にはこのくらいの情報の会話になるのですが、使い方やどう作用させる目的なのか、など醸造所によって考え方がたくさんあり、できるワインも異なってくるということを今回特に感じました。
ただ、そういった細かいことを知ってワインを選ぶ、のではなく、できたものが好みかどうかでワインを選べばよいということも同時に思いました。好きな造り手の醸造の選択には異論はないので、やり方で選ぶ、のではなくできたワインで判断すればよいのです。もちろんワインの情報として、樽の情報も伝えることもありますが、その情報で選択はされたくはないなあとは思っています。

今回の内容は、何かの結論を出すものではなく、樽の使い方でもドイツには多様性がある、ということを知ってほしいという内容です。
畑の管理だけでなく、醸造でもさまざまな考え方がありドイツワインは生まれています。どうあるべき、というのは産地や品種の個性からではなく造り手から生まれるものだと思っています。もちろん産地や品種の個性を最大限に引き出すことをしているのではあるのですが。
すぐ近くの醸造所でもスタイルが全く違ったりするのもとても面白いです(品質は同程度だけれども醸造の仕方が異なるという意味で)。とはいえ、ドイツワインは、畑があってこそのワインという考え方をしている造り手が大半で、醸造でワインを造るのではなく、最高のタイミングで収穫したぶどうをよりいいワインにするための醸造の選択をしている、と考えていただきたいです。



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2017年01月09日

亜硫酸無添加のトロリンガーからドイツのビオワイン、自然派ワイン(ヴァンナチュール)について考えてみます

前回はクナウスの醸造所を訪れた時のことを書きましたが、クナウスと一緒に畑をまわってるいる時に会話が盛り上がったワインがあります。それが亜硫酸無添加のトロリンガーです。
このワインは2014年産を飲んだことがあって、あまり好みではないという印象があって、2015年の11月にクナウスを訪れた時にその話をしました。そういうこともあり、2015年産はかなりの自信作だからとこのワインについて熱く語っていたのです。アメリカではかなり人気があり数千本売れていること、デンマークの有名なレストラン、ノーマでもオンリストされていることなども話してくれました。
そこまでいうのなら、と試飲するのを楽しみにしていて、彼の自宅での夕食の時に飲みました。
そのワインのことを中心に、ドイツにおけるビオ、自然派ワインについて説明したいと思います。もっとふみこんで書きたいこともあるのですができるだけ簡潔に、なおかつわかりやすく理解できるような内容を心がけました。説明が不十分な部分があるかもしれないことをお許しください。


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抜栓したては還元香が少しあるのと開かせるためにデカンタに移してから飲みました。
色は通常のワインのトロリンガーも薄めでロゼに近い淡さがありこれは品種の特徴でもあります。
内側に濃さがありピュアな味わいで、少しくせを感じた2014年とは異なり素直な味わいで素直においしいと思えました。
当主のアンディが自信を持って薦めていたこととこれから書く理由により、このワインを輸入することを決めたのです。もちろんおいしかったからというのが決め手ですが。

その理由を説明するためにには自然派ワインということについての説明が必要です。自然派ワイン、ヴァンナチュールはぶどう自らで発酵させたワインで、培養酵母は使わず自然酵母であること、酵母を殺さないために亜硫酸は添加しない、という特徴があります。そういった造りにするためと自然な造りという理念から当然のように農薬を使わないビオの栽培が行われています。この部分を認識していない方が日本ではまだ多くいると思うのですが、ビオワイン、オーガニックワインと自然派ワイン、ヴァンナチュールは異なるということです。自然酵母での発酵をしているし限りなくヴァンナチュールに近い味わいのワインもありますが、ドイツの場合には亜硫酸を添加しているかどうか、というのが分類の違いだと思います。
コンビニやスーパーで見かける酸化防止剤無添加ワインとここで言っているビオワイン、自然派ワインは別物ということにもふれておきます。そういったものは果汁を熱処理したりして別の方法で劣化を防ぐようにしているだけで、テロワールなどの個性ということとはかけ離れた商業用の商品なのです。手のかかっているワインとは全く異なる商品だということは知っていていただきたいです。


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これはクナウスの所有している区画ですが、農薬を使っていないことがおわかりいただけるかと思います。
このように農薬を使わないビオの栽培は高品質なワインを造っているドイツの生産者では現在では当たり前のことになっています。その中には、急斜面の畑などリスクと手間がかかる場所では病気が蔓延し始めた時などの緊急事態には農薬を最小限でも使用しなければいけなかったりと一部のみ農薬を使用するため、認証を取得してないところも多く含まれています。しかし理念として極力農薬は使わないというのが根底にありワイン造りをしています。ヴァインベルクの取引している醸造所もそういうところばかりです。
醸造に関しても、トロッケン(辛口)に必ずしなければいけないので補うために培養酵母を使用ている生産者もいますが、自然酵母のみで発酵をしているところも少なくありません。ヴァインベルクのワインでもファルケンシュタイン、マルティン・ミュレン、クナウスは全て、ベルンハルト・アイフェルは大半が自然酵母による発酵です。
それでも自然派ワインとは異なる、という点は亜硫酸の添加にあります。亜硫酸が添加されていることが悪、と考えている方もいると思いますが、ドイツの場合は亜硫酸の添加により、ぶどうやテロワールの個性がはっきりと表れるという傾向があり、最低限の添加によりおいしいと思えるワインが造れるので必要なのです。リースリングの場合は酸が強めなので安定したワインにするために酸化防止剤も必要で、他のぶどう品種より量が多くなります。甘口ワインも多くなる傾向にあります。そういうこともあり、亜硫酸無添加というのはドイツワインにはあまり向いていないのです。
亜硫酸を添加しているのでヴァンナチュールではないのですが、テロワールの個性を重視した自然を生かしたワイン造りをしているのです。自然派ワインという言葉が大きくなってしまい、そのためにわかりにくくなってしまっている部分があるのです。自然派ワインのカテゴリーではないが、自然なワイン造りをしているというところがたくさんあるということです。ドイツには特にそういう醸造所が多いのです。

クナウスもそういった意味合いでは自然な造りということにこだわっているのですが、その中で亜硫酸無添加の醸造というチャレンジもしているのです。亜硫酸が添加されているといっても最低限なのでかなり少ないのですが、添加ゼロとは違いがあります。そういった無添加のワインが自然派ワイン、ヴァンナチュールいうカテゴリーに入るワインとなります。味わいとしてもそちら側の風味があります。
しかしそういうカテゴリーの中でも、私のように独特のくせのある味わいに少し抵抗がある人たちにも2015年のトロリンガーは受けていれるもらえるのではないかと思ったのです。和食や日本の家庭の食卓の料理にも合わせやすい味わいなのもポイントです。自然派ワインという世界が大きくなっている現在の中の、ドイツワインをインポーターしていてる私にとっての答えがこのワインだと考えています。
2014年よりは良くなっていると考えて私は進化していると思ったのですが、2016年産が出てからでないと2015年だけよかったのか技術が上がって進化しているかはわからないのですが、この2015年産が素晴らしいということだけは断言できるので、ドイツの自然派ワインにどういうものがあるのかというのを知りたい方にはぜひ飲んでいただきたいワインです。
大半は日常消費用のワインになるトロリンガーですが、こういったワインに向いているということを証明した点でクナウスは先駆者だと言えます。トロリンガーの亜硫酸無添加が面白い、というのは間違いないです。
レンベルガーも2015年から亜硫酸無添加のワインの製造を始めたそうで、樽から試飲をしましたが、こちらは2014年のトロリンガーで感じたようにあまり好みではありませんでした。
レンベルガーは1000リットルの木樽、トロリンガーは3000リットルの木樽で発酵、熟成させています。

ドイツでもここ最近、亜硫酸無添加、オレンジワイン、アンフォラによる醸造、という自然派ワインにカテゴライズされるワインの醸造にチャレンジする醸造所が増えています。ビオが当たり前になり、ではさらにその先のいいワインを造るためには、ということでこの方向性に向く傾向があるようです。今はまだ話題作りだったり、ビジネスのための手法にすぎないだけだったりする場合もあるのですが、一昔前のドイツでのバリック樽の使用は、色んなぶどうでチャレンジしていてその経験があり適したぶどうや使い方というのが定着して今になっているように、自然派ワインというカテゴリーもドイツでは今はまだ過渡期であり、これからいいものが生まれたり残っていくといように進化していくと思います。その中でトロリンガーの品種というのはこのクナウスの2015年産を飲んで可能性を感じたのでした。

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トロリンガー Without all 2015 クナウス (Weingut Knauss)
http://weinbergwine.com/22_83.html

2014年産までは他のラベルと同じでその中にWhithout allと書いてあったのですが、わかりづらいという声があったようで2015年産から葉っぱのラベルに変更となりました。

今は欠品となっていますが、新たに入荷し2月かた販売を開始するクナウスのワインの中に通常のラインのトロリンガーもあります。こちらも人気があるのですが、Without allとは少し味わいが異なるのは面白いので、両方購入して比較するのも興味深いと思います。


ビオワインもヴァンナチュールもドイツだからこその良さがあると思っています。比較ではなく、良さを感じていただけるような楽しみ方をしていただけるとうれしいです。


今回紹介したワインを造っているクナウスは2月に来日します。
前回の記事でもワイン会のお知らせをしましたが、2月17日の人形町モリモトハウスにて行う試飲即売会ではこのトロリンガーWithout allも試飲で提供予定です。16時半から18時半までの予定です。参加費は無料です。飲食店の方も大歓迎です。お気軽にお越しください。


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2016年07月17日

2015年産のドイツワイン

前回は2016年の今のところの様子について書きました。次は2015年産のドイツワインについてです。

2015年はどうだったかというと、猛暑だった2003年と同じように暑い夏で地面が乾いていて水が必要な夏だったそうです。しかし9月ごろから雨が降り、健全なぶどうが多く収穫できた年となりました。昨年、収穫後の11月にドイツに行った時には、どの生産者も、糖度が上がりなおかつ房を選ぶ必要もなくどれもよいぶどうでいい年だったと口にしていました。

そのようなことを聞いた上で、今回たくさんの醸造所の数々の2015年産のワインを飲んだ感想を書きます。まだ若い状況で、樽から直接試飲したものも少なくはなく、おいしいかおいしくないかを判断するべき状況ではないワインも多かったので、味わいの印象についてのみ書きます。
フランケンの試飲会で感じたのは厚みのあるワインが多いなあという印象でした。スラッとしていてなおかつ凝縮感のあるワインは少ない印象でした。試飲会では生産者がそこで売りたいワインを出すので、いわゆるフランケンらしいワインはすでに売れていて、それ以外のワインが多く出ていたこともあってそういう印象を受けたのだと思います。
他の地域でも骨格の太いワインが多く、等級の高いワインのほうがバランスが良いと思えるワインが多かったです。これらは熟成させるとより素晴らしくなると思いました。また、リースリングでない品種のほうが出来がよいワインが多いという生産者も少なくないのかなと感じました。

今回一番2015年産を飲んだのはモーゼルの地域のリースリングです。モーゼルも、凛としたいうよりやや骨格の太いワインになっているという印象でした。どのタイプに似ているかというと私としては2003年の要素があるのかなと思いました。2003年産は酸が少なかったのですが、その年よりも酸の量は多いようです。モーゼルは酸と果実味のバランスが重要なのですが、2015年は収穫時期は夜は温度が下がったため酸もほどよく生成されたそうです。ヴュルテンベルクでも同じような話を聞きました。
ただ、酸はそれなりにあるけれど骨格が太めという印象を持ちました。
醸造所によってぶどうの条件や醸造方法などが異なるので一概には言えませんが、軽く飲むタイプではファインヘルプやカビネット、ボリュームのあるタイプならシュペートレーゼクラス(VDPだとエアステ・ラーゲ)の上級のトロッケンや重たい甘みのシュペートレーゼクラス以上の甘口がよいのかなあと思いました。もちろんそれらのもの以外でも素晴らしいと思ったワインはありましたが、全体でとらえるとそういった印象を受けました。
モーゼルでは赤ワイン用ぶどうにロゼも何種類か飲んだのですが、こおれはどれもいいボリュームでよかったです。それなりのボリュームはあるけれどモーゼルらしい軽さもありました。こういうワインのほうがモーゼルらしいの言うのは少し躊躇しますが2015年産は赤ワインのぶどうのほうがモーゼルらしいと思えるワインを作りやすかったというように感じました。私のいうモーゼルらしさというのを説明するのはなかなか難しいのですが、果実味や味わいという一部ではなく飲んだ時の全体の印象のことを指しています。

冒頭にも書きましたが、瓶詰め数か月とその翌年ではかなり印象が変わってくるワインが多く、ハウスワイン以外の上質、上級な辛口ではその傾向が強く、あまり評価もよくなかった2014年産も今の飲むとおいしいワインが多いです。2015年産も今年判断してしまうともったいないワインが多い印象を受けました。

また、2015年は質、量ともによく生産者にとっても消費者にとっても良い年というような評価も聞いていましたが、生産者によっては2014年のほうが生産量は多く総合的にもよかったというところもありました。
産地の全体でとらえるのも大事ですが、生産者ごとに様子を聞くというのも大事だということをあらためて思いました。
そういった醸造所ごとの話も今後このブログで書いていきたいと考えています。


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ケラーで樽から直接試飲することもありました。ここでは、木樽とステンレスで別々に醸造したワインを50%のブレントにて瓶詰めすることが決まっているものをグラスの中で同じ割合で注いでもらって混ぜて飲むということもしました。


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2015年産だけで他のヴィンテージを飲んでいる醸造所もあります。同じ畑のいくつかのヴィンテージを並べて飲むのは興味深い経験です。


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