前の2回の記事ではドイツで食べた料理とドイツでの食事で感じた事を書いていきました(食べた料理については
こちら、感じたことについては
こちら)。
その中で、ドイツでの料理と日本での料理ではワインの合わせ方は変わってくるということを書きましたが、日本でヴァインベルクのワイン会(食事会)ではどういうポイントで料理に合わせるワインを選んでいるのかということについて書きます。
ヴァインベルクの会は、取引先を中心にテーマに寄って色々な飲食店で開催しています。
そのお店でやること自体がテーマだったり(蕎麦屋さんや天ぷら屋さん)、フグや鴨など食材をテーマにすることもあります。このワインは入れたいと数種類は料理との組み合わせを考える前に先に数種類はワインを決めていることもありますが、大方は料理内容が決まっていく中でワインを選んでいきます。ヴァインベルクはお酒を売っていますので、ワインが会のメインではあるのですが、料理と合わせての楽しみ、その会ででしかない組み合わせを楽しんでいただきたいので、料理ありきのでのワイン選びをしています。
こういうワインだからとリストと味わいを先に伝えたり、全てワインを先に飲んでもらって料理と合わせてみたりしたほうが、こちらとしては楽ではあるのですが、通常のお店の料理と合わせることでの魅力などもありますので、料理にワインを選んでいきます。
さて、最近ペアリングという言葉がよく聞かれるかと思います。以前は料理と合わせる時はマリアージュという言葉がよく使われていましたが最近はこちらのほうがよく聞くようになりました。ペアリングはその一皿にワイン1種類を合わせる、という形が基本で、ペアリングコースとなると料理それぞれに合わせたワインをグラスワインでの量で次々に飲むことができます。ワイン会もペアリングコースと同じような形式で進むことが多いかと思います。
ヴァインベルクの会も料理に合うようなワインを選ぶのですが、料理とワインは対では考えないのです。もちろんメインに置く部分がある場合にはこの料理とこのワインで、とする場合もあるのですが、この料理はこのワインでないと、というようにはしていないやり方が基本です。グラスはどの会でもお一人につき少なくとも2脚は用意していて、ひとつの料理で2種類のワインをお飲みいただく形にしていることが多いです。前のワインを少し残しておいて後半でそのワインをまた飲むということもあったりします。
このやり方を逃げととらえられるかもしれないのですが、こちらがこの料理とこのワインは合う、と言うとその先入観が強いと思うのですが、2種類以上のワインがあると、合わせ方の違いをそれぞれの方が感じることができ、そして味覚はそれぞれが違うのでこちらのほうが好み、などとそれぞれの方が判断することができます。ワインが2種類になるとひとつの見せ方がふたつに、ではなくより多角的に感じることができるようになるのでこういったやり方をしています。
またワインを決めた段階で自分で全部試したりということはしないです。試してみて、ワインに合わせるために料理の味付けを変えてもらったりというようなことをしていくと、予定調和で面白みがないように感じてしまうこともあると思っていて、合わせてみて驚きの結果が、というのがそれでは起きないので、想像だけで合わせることも多々あります。とはいえ、料理の内容を聞く打ち合わせやそのお店の料理の特徴(ワイン会をやるお店では事前に何度もそこで食事をしていることも多いです)からヴァインベルク店主の経験でワインを選択しているので、今までうまくいかなかったという組み合わせはほんの少ししかありません。
そして料理との相性なのですが、日本での料理だとうまみや出汁という要素がある料理が多いので、ドイツやフランスでの料理とワインの合わせ方とは異なるアプローチをしていかなくてはいけない、ということを前回の記事で書きました。日本酒と和食というのを想像していたいただければと思うのですが、ポイントで合うというよりはふわっとお酒が料理に合っているというという感覚があるのです。それはなんとなく合っているということだけではなく、お酒の雰囲気が包み込んで料理と合っているような感覚です。出汁、うまみの要素が多くのドイツワインにはあるのですが、日本酒と和食のような同じ感覚で料理と楽しむことができるのです。
ドイツやフランスだとソースやあ素材のポイントに合わせて(糖や酸、味の濃さなど)同調するようなワインを選ぶのがセオリーで、日本でも多くのソムリエはそうやってワインを選んでいくのですが、日本の料理だと先に書いたように別角度での合わせ方もできるのです。そしてそういう合わせ方のほうがいいなあと思う場合が個人的には多いのです。
そういったこともあるのでヴァインベルクでは一つの合わせ方だけをすすめるのではなく、複数のワインで試してもらうことをしています。色々な合わせ方があるということを感じていただき、ご自身での食事の際のヒントにもなってもらえばという気持ちがあります。そしてこのやり方だと自分の意図した感覚ではない良さを参加された方が感じることもあり、見せ方の幅が広いのだと感じています。
ただ、ワイン会では最高で最良の組み合わせえみせてもらえればいいという方もいらっしゃるかと思います。しかし、ヴァインベルクではワインの魅力と食事を合わせた時の楽しみをより知っていただきたいので、できるだけ多くの要素がみせられたらと考えているのでこういった形をとっています。個人でのお食事の時にはより最良を選択できる環境になるかと思います。レストランによってはグラスをもっと細かく選択できたり、とより深い部分を知ることができると思います。ヴァインベルクの会では基本の魅力を知っていただくことが大事で、なおかつ食事の良さも感じられ、組み合わせもよかったと思ってもらえる会であればいいと思っています。これがヴァインベルクの考えるワイン会の形で、そして今まで参加された方には支持されていて、この形を続けています。その日だけの特別な会にはしたいのですが(ふだんの食事では体験できないような組みあわせを考えたりと)、いろいろな方が参加できる敷居の低い会に、ということも両方意識しながら会の組み立てはしています。

ここからは先週開催した豚もつ焼きの会(東中野の晴れときどき...にて)での会のことを例にあげて具体的な様子をお伝えしていきます。
この会でも料理の内容を聞いてワインを選んでいきました。その中で、暑いしサラダにも合うので
ゼクトから、ホルモン系でタレのもつ焼きには
シュペートブルグンダー、カレーにはスパイスと辛みというポイントで残糖が少しある
ファインヘルプのゲヴュルツトラミナー、と選んでいきました。その中で、茄子の煮浸しにうすうまのシュペートブルグンダー(ピノ・ノワール)の相性がとても良いという驚きがあったりもしました(おそらく相性がよいとは思ってはいたのですが)。

塩味の肉っぽいお肉2種類には2種類のリースリングを。クナウスの2018年産の
グーツヴァインのリースリングは、気軽に合わせて違和感なく楽しめるといったかんじでこいうった料理とオールマイティに合わせられると思えた組み合わせで、リープフラウミルヒのオリジナルの畑の
GGは果実味の甘みもある優雅なワインならではの合わせ方でした。それぞれ組み合わせ、といっても合わせ方のポイント、印象が全く違うのです。
そしてGGのほうはカシラ、サガリと2種類のお肉で印象が全く違うということも感じていただけました。カシラのほうがやわらかくジューシサーもあるのでやわらかいこのワインととても相性がよく、サガリだと肉の強さと塩味を強く感じてしまい、同じ豚肉でも部位の違いで感じ方が違うということも体験していただけました。
このように、色々なワインが飲める、料理との組み合わせを楽しむ、ひとつのワインでの多角的な経験、などがヴァインベルクの会ではお楽しみいただけます。こちらが見せたい部分だけでなくそれぞれの方の楽しみを得られるというのもヴァインベルクの会の魅力だと思っています。
席順はきっちりではありませんがある程度は考えていて、おひとりでの参加の方も他の方と楽しく話していたりと、いつもアットホームな雰囲気な会となっています。
ヴァインベルクならではのワインの濃い解説をすることもありますが、同時に楽しくもある会です。まだ参加されたことがない方もお気軽にご参加ください。
初めてのテーマやお店などでワインを選ぶ時は本当に大変なのですが、会が終わるとみなさん喜んでくださっているのでやってよかったなと思いワイン会は続けていけています。今後も色々なテーマを考えていますのでぜひご参加ください。
今後の会のお知らせ
ヴァインベルクの会のお申込みはfacebookからだけでなく、、ホームページの
お問合せページからでも受け付けています。
posted by ヴァインベルク at 23:47|
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