2018年06月08日

斜面でないけれどいい畑 畑の話その2 ファルツ、ラインヘッセンのグランクリュの話も

前回の記事ではドイツの斜面の畑の話を書きました。
そこで書いたようにたくさんの斜面の畑が存在しそこから良質なワインが生まれています。
しかし斜度がない平面の畑からも良質なワインが生み出されています。そういった話を、産地の特徴も含めながら書いていきます。
そのポイントは気候と土壌です。

南のほうが気温が高く温暖で穏やかな気候のため、斜面で直射日光を当てなくても完熟できるようになってきました。特に2000年代以降はファルツでは平面からもバランスの良い酸が強くない辛口ワインを容易に造れるようになりました。
大量生産のワインは他の地域でも平面に植えられていることは多いですが、家族経営の小中規模の生産者で良質なワインを造っているところも平面の畑からワインが造られている、というのもポイントです。


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ファルツのシュピンドラーの所有する畑です。このエリアはイエズスイーテンガルテンJesuitengarten、その奥の教会の前のエリアがキルヒェンシュトゥックです。その先はフロインドシュトゥックで、いずれもVDPではグローセラーゲGrosse Lageに認定されていて、グローセスゲヴェックスGG(辛口の最上級の格付け、ブルゴーニュのグランクリュ)をリリースすることができる畑です。どの畑も斜度がありません。シュピンドラーもこれらの畑から高品質なリースリングの辛口ワインをリリースしています。
そのまわりもほとんどの畑は斜度がなく、平面からも良質なワインが造られています。ダイデスハイム周辺、ワイン街道Weinstrasseのエリアの畑の大半は平面です。南ファルツや西の丘には斜面の畑もありますが、斜面だからよいブドウができるわけではないのです。特性によって植える品種を分けていたりしています。水はけがよすぎると、など斜面であることのデメリットがあったりもするのです。
モーゼルやラインガウなど斜面がいいというところでも、赤の品種は、斜面がゆるやか、陽の当たり方、風通しなどでリースリングとは好条件のエリアは異なります。

そして平面でも、区画が細かく分けてられていてそれぞれに畑名がつけられていることも特徴です。一つの畑名で一つの生産者、ということではなく一つの畑名でも複数の生産者が所有しているのですが、その大きな理由は土壌にあります。もちろん最初に持っていた生産者によって分けられていた、所有者の理由によって、という畑もあるのですが。そういったことも含めてファルツは特にブルゴーニュの畑名の由来と似ている部分もあるかと思います。
特にフォルストの先のキルヒェンシュトゥックなどの良質な畑は、4ha前後で細分化されているのですが、地質の違いごとに分けられています。単一の土壌というわけではなく、石灰岩が多いところ、雑色砂岩が多いところ、玄武岩が混ざっているところ、というようなかんじですが、それぞれの畑からできるワインはそれぞれキャラクターが異なります。フォルストの場合は、イエズス会系の修道院が所有していた畑ということもあり、最良の畑がキルヒェンシュトゥック、その次の良質な畑がイエズスイーテンガルテンという畑名がつけられました。
また、全てが分かれているというわけではなく、同じくGGに認定されているウンゲホイヤーUngehauerは先の畑よりは面積が大きいのですが、区画によって、石灰が多くて斜度もある畑、平面だけど玄武岩も混ざっている、というように異なっていて、所有する区画の生産者によってキャラクターが異なる、というような例もあります。


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同じく斜度があまりない畑からGGが造られているのが、ラインヘッセンのヴェストホーフェンWesthofenの畑です。この村名ではキルヒシュピール、モアシュタイン、ブルンネンホイスチェンといった複数のグランクリュの畑名のエリアがあります。画像はモアシュタインですが、このように大半が平面です。グローセラーゲの畑の大半はリースリング、ピノ・ノワール(シュペートブルグンダー)が植えられています。これらの畑は、石灰岩、メルゲルなどが含まれていたりと、それぞれの土壌に特徴があり、まわりの広大な面積のブドウ畑があレスロームである中で、特色がありなおかつ特に良質なワインにすることができるため、畑名が異なり特別な畑とされています。
これらの畑は、これから輸入を開始するグッツラーも所有しています。

ラインヘッセンはゆるやかな丘や平面の畑が多く、土壌も特別ではないので、生産量は多いけれどそれほどいいワインができない、というイメージでした。しかしビオやヴァンナチュールだったりと高品質なワインを造ることを努力する生産者が増えイメージを変えることに成功することができました。その要因にはファルツと同じように温暖化により高品質なワインにするためのぶどうが造りやすくなったということもあると思います。
そしてそんなラインヘッセンの中でも、先のヴェストホーフェンのように平面だけれど土壌と気候がよく素晴らしいワインができるところ、ニアシュタインのように急斜面のところ(土壌もレスロームでくロートリーゲンデンだったりします)、など畑自体が良いところ、というのも存在しているのです。


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平面でもよい畑はある、地域の中でも色々ある、ということを書いていきましたが、最後は同じ畑名だけど条件がかなり異なる、という話です。
画像はヴュルテンベルクのクナウスの所有するヴァインシュタットの畑です。このように彼が所有する畑のほとんどは丘の斜面です。
このように丘はぐるっとまわっていて角度が異なるので陽の当たり方が異なります。急斜面のところもあれば、少し穏やかなところもあります。そして標高によって土壌が多少異なります。コイパーなのですが、その中でも少し年代が異なるのです。
そういった、区画によって条件が異なる畑なので、それぞれの場所に適したぶどう品種が植えられいます。この地域では特に、一つの生産者で一つの区画で大きな面積を所有しているのではなく、点々とたくさんの小さい区画を所有しそれぞれのエリアに適した品種を栽培しているのです。
一つの畑名、といっても違いが出てくることがおわかりいただけると思います。斜面の場合は、こういうことも重要になってくるのです。
モーゼルでは同じ生産者でも急斜面の畑で、5月初めの葉の生育が斜面の下と陽が当たりより暖かい上の方では全く異なる、ということも見てきましたの。そういうできるぶどうに違いができるところでは同じ品種でも同じワインにしないで別々に醸造していたりということもあります。

斜面の場合は土壌だけでない条件、平地の場合は土壌が重要、ということが大まかにですが言うことができます。


畑の話は細かくたくさん話さないと説明できない部分あるのですが、ドイツの畑の特徴(地質の説明ということではなく)を紹介できたかと思います。
また、テロワールが同じ条件でも、栽培する人によって、仕立て方や収穫のタイミングなどが変わり、ワインの味が大きく変わる、ということも最後に書いておきます。


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2018年06月03日

ドイツのぶどう畑は斜面? 畑の話その1

シュパーゲルとワイン会の話もはさみましたが、ドイツ出張で感じたことの話は、醸造過程、出来上がったワインに関しての話が続いたので、畑のことも書こうと思います。今回ドイツで撮った畑の写真も載せていきます。

ドイツワインで連想される中で斜面の畑ということを挙げる方も多いのではないかと思います。そして急斜面のほうが良いワインができるのではない、と考えることもあると思います。しかし、実際に畑を造り手と一緒に見て回っていると、急斜面だから高価なワイン、ということがあてはまらない、ということが見えてきます。

なぜ、ドイツは斜面にぶどう畑が植えられているのかというと、冷涼な気候のため、ぶどうが育ちにくいために、斜面のほうがぶどうに太陽の光が直接当たりより育ちやすくなる、ぶどうが熟しやすくなる、ということがあります。また、水はけがよいなどの効果も斜面にはあります。
80年代までは、ぶどうが完熟しない年もあったので、ぶどうを熟させるというのはとても大切なことだったのです。
しかし、温暖化により比較的どの地域でもぶどうが熟すようになったのです。そのため、平地からでも良質な辛口ワインも造られるようになりました。それでもモーゼルなどでは斜面の畑が大半です。大量生産品などが平地で造られています。斜面の畑は限られているため、良質なワインは斜面から造られています。また、斜面だからよいというわけではなく、日当たりも重要なので、くねくね蛇行しているモーゼル川では北向きの斜面にはぶどうは植えられず、主に南、南西向きの斜面にぶどう畑があります(川沿いではないところでも南、南西向きの良質なブドウ畑もたくさん存在します)。また地質も重要なため、良質なワインができる区画の栽培面積は限られてくるのです。

モーゼル以外にも斜面がある例をあげていきます。


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アールのマイショスMayschossです。川沿いではありませんが、急斜面のシーファー土壌です。
隣村のデルナウも同様です。こちらはリースリングではなく赤ワインになる品種が植えられていて、大半はピノ・ノワール(シュペートブルグンダー)です。
アールヴァイラーの地域はおだやかな丘陵で、土壌も異なり、ワインのキャラクターが変わります。

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バーデンも斜面の畑が多いです。有名なのはカイザーシュトゥールですが、もう少し北のオルテナウのエリアも斜面の畑がたくさんあります。
この畑はオッフェンブルクOffenburgから近い畑で、花崗岩Granitの土壌です。


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ラインガウではおなじみのリューデスハイムです。
川沿いの急斜面という、ドイツのぶどう畑を想像した時の典型的な畑かと思います。
この画像のエリアでも3つのぶどう畑があり、それぞれに少しずつキャラクターが異なります。
この画像は、観光船から、ではなく、向こう岸のビンゲンヘの車用の渡し船から撮影したものです。車でないと2ユーロで乗れます。


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こちらはもっと上流側のリューデスハイムのぶどう畑です。左の丘の上にあるのはヒルデガルトの修道院です。
このようにゆるやかな斜面が実はラインガウには多いです。川沿いではなく良質なワインが造られているところもたくさんあるのです。

このように、斜面といっても色々あること、モーゼルやラインガウ以外にも斜面の畑があることをお伝えしていきました。

次回は平地の良質な畑、ぶどう畑により土壌の話を、もう少し書いていきます。



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posted by ヴァインベルク at 13:07| ワインのためになる知識 | 更新情報をチェックする

2018年06月01日

5月のワイン会(帰国報告会)の様子と7月のワイン会のお知らせ

5月30日の銀座ツークシュピッツェでの会の様子を書きます。
この会は、帰国報告会というテーマにして、ドイツ出張での話を、提供したワインのこともからめながら、写真をフォトブックにしたものを見せながらお話ししました。


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ワインは9人の参加者で7種類用意しました。
ファルツのシュピンドラーのフィロソフィー2017とヴュルテンブルクのクナウスのグラウブルンダーは今回のドイツ出張で醸造所を訪れた時に入手したものです。これらも現地で試飲はしていますが、事業として輸入を考えたもので、どうするか迷ったものはその場でワインを買って(もらう場合もありますが)、日本で再び飲んでから決める、ということをしています。


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前菜です。シュパーゲルのスープなどやさしい味わいで甘みもあり、モーゼルのアイフェルのロートリーゲンデン・ファインヘルプのやわらかい味わいが包みこむようになっていました。

シュピンドラーのフィロソフィーは2015年は終売となっているのですが、1本だけとっておいていて、今回2017年を提供することにして、飲み比べると面白いと思いこちらも提供しました。どちらもグーツヴァインのリースリングながら重心がひくめで中につまっているかんじがあるのですが、若い2017年のほうがフレッシュ感もあり、今飲むならこちらのほうがバランスが良いと思いました。もちろん2015年も今もおいしかったのですが、飲み比べてみるとそう感じました。興味深い比較となりました。前の記事で、早飲みではんく時間をとったほうがいい、と書きましたが、グーツヴァイン、低価格帯のワインでは、5月、6月のこの時期に飲んでおいしいワインもあるのです。


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マトウダイ、ボーデンゼー風です。
少しコクと深みのあるモーゼルのマルティン・ミュレンのヒューナーベルク09のリースリング・トロッケンを選びましたがとても相性が良かったです。
急斜面のこのヒューナベルクの畑の写真を見てもらいながら楽しんでいただきました。


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ドイツでクナウスのところに行って当主に料理してもらったシュパーゲル。オランデーズソースと彼のグラウブルグンダーの相性がとてもよかったので、もう一度この組み合わせを試したいと思い、今お店ではドイツ産のシュパーゲルを提供しているということでお願いしてこの料理を入れてもらいまいした。ドイツ産ならでは濃さ、深み、えぐみがあるので、重ためでコクのあるこのグラウブルグンダーと相性がよいのだと思いました。このくらいの重さのあるワインだと、日本産などの白アスパラでは負けてしまうと思います。
ワインとしてもとても好評でした。このワインは日本に入れると6000円強となるのですが、リースリング以外でもこの価格帯のものを受け入れてもらうのに最適なワインだと思いました。入荷は秋ごろを予定しています。
シュパーゲルのことは前の記事でも書いていますのでそちらもお読みください。


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茹でた石見ポーク、しょうがソースです。軽めだけどコクのあるザールのファルケンシュタインのシュペートブルグンダーとの相性がとてもよかったです。何でもというわけでもありませんが、ドイツワインと豚肉の相性はやはりとてもいいです。赤なのにしょうがソースと合うというのはこのワインならではです。シェフとヴァインベルク店主の信頼関係があるからこその一品でした。


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デザートです。白いのはシュパーゲルのババロアです。甘すぎないデザートと酸と心地よいボリュームの甘みのファルケンシュタインのシュペートレーゼ2015、良い組み合わせでした。

料理、ワイン、会話からドイツをたくさん感じていただき楽しんでいただけた会となりました。


今後のワイン会のお知らせです
6月の新宿つな八別館での天ぷらの会は満席となっていますので、7月の会のお知らせです。

7月8日(日) ドイツワインと鱧づくしの会@高円寺和食処徳竹 17時開始 会費10,000円
ワインにも力を入れている和食のお店徳竹での会です。この季節ならではということで鱧料理を用意していただき、それらの料理に合わせてワインを選びます。調理法や調味料の変化を考えたセレクトをお楽しみください。
https://www.facebook.com/events/425434444550056/

7月26日(木) 蕎麦屋の料理と熟成、甘みのある白ワインの会 19時開始 会費10,000円
鴨鍋の会が好評だった大野屋での2回目の会です。今回は夏ということで、出汁、うまみのある蕎麦屋さんならではの料理と白ワインを合わせます。この会ではトロッケン(辛口)だけではなく、熟成や少し甘みのあるリースリングも数種類入れます。

facebookをされていない方はお申し込みはヴァインベルクのホームページのお問合せページからも可能です。


また、まだHPでの告知がされていませんが、6月30日に文京区のスポーツセンター(最寄駅茗荷谷)の広場で開催されるドイツイベントにヴァインベルクも出店します。ビールなどの飲食の店舗も出店しその場でも飲食ができるそうです。10時から17時までです。



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2018年05月28日

ヴィンテージの話 まとめ編

前回の記事では2017年のヴィンテージについて書き、その前の記事では、ワインには時間が必要、ということを書きました。
重複もする内容もありますが、それらのことをもう一度まとめとして書いていきます。
ヴィンテージの感想を具体的に書いているものは、ドイツワインに関してで、主に白、リースリングを多く飲んでいる中での感想です。


ドイツでは3月、4月、5月の試飲会で前年のワインが出てきますが、その段階でポテンシャルがわかるワインは多くはない。特に木樽熟成、天然酵母のワインは、おいしく飲めるまで時間がかかるので、判断はできるとしても早くに飲むべきではないワインもたくさんある。
特に2017年産は時間がかかる年で、この段階での判断は特に難しい。まだ傾向を判断するには早すぎる。

いい年、悪い年というのは、出来たワインの質という見方だけでなく、生産量、高く売れるもの、売れ筋となるワインが多いか、という生産者、販売者目線での考え方もある。遅霜、雹により生産量が落ちた醸造所が大半なので後者の点では2017年はとてもよくなかった年といえる。しかし天候はよく、生産されたワインはクオリティの高いワインが多い。しかし先に書いたとおりポテンシャルが見えないワインが多く、飲み頃もつかみにくい。

トロッケン(辛口)の白はフレッシュなうちに飲むほうが良いといわれていて1年以内にと考えている方が多いが、2016年産は1年たった今でもオルツヴァイン(カビネット・トロッケン)であっても今飲んだほうがよさが出ているワインも少なくない。そしてエアステラーゲ(シュペートレーゼ)、グローセスゲヴェックス(GG)のクラスはもう数年経ってから飲むとさらに良さが出るポテンシャルの高いワインが多い。

2015年もポテンシャルの高い年、とされているが、果実味と深みのある傾向のため、フレッシュで早飲みに向いているワイン以外はもう少し待ったほうがよい。そのかわりに2014年は白も赤も今が飲み頃のトロッケンが多い。
時間が経ってこそワインは良さがわかると考え、ボトリング後すぐにリリースをしないでとっておいている生産者で2014年産があれば試してみるとよい。日本でもあれば飲んでみるとよい(ポテンシャルの高いGGクラスはもう少し待つべきかもしれないが)。

というようにまとめてみました。
これらのことをもう少し詳しく書いている今までの記事をあらてめて一覧にします。

ワインの時間、熟成について need time

時間と熟成の話 少し補足です

2017ヴィンテージについて 自然に向き合う大変さが表れた年


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昨年は空輸で少量のみで、今年は秋ごろに本格的に輸入を開始する予定のラインヘッセンのグッツラー醸造所では、赤も白も2014年よりも前の
ヴェストホーフェンWesthofenの畑のグローセス・ゲヴェックス(VDPの辛口最上級の格付け、GG)を何種類か用意していただき試飲させてもらえました。2015や2016では早すぎる、とリースリングは2014から2012、赤は2010や2007を持ってきてくださいました。特に赤は、この段階で十分素晴らしかったのですが、このくらい経っていてもまだまだ熟成しての変化、ポテンシャルがありそうと感じられました。
そして時間が経っていると同じ畑のヴィンテージ違いだとより差がはっきりわかります。飲み頃の時期が生産年から何年後と同じようには言えないことなどもわかります。
当主は、あまり良い年とはいえないヴィンテージと言われている2013年が好みだと話していました。甘みのある果実味よりも複雑味とパワーのある傾向のワインが多かったです。ヴァインベルク当主は別の年の果実味によるボリューム感があるほうが好みだと感じて、その違いが新鮮で面白かったです。どちらのタイプもこの造り手では質が高いワインなのですが、その中で好みが分かれます。
もちろん同じ年の中でも色々なタイプのワインが生まれるわけですが、ヴィンテージで比べてみると、それぞれの年の共通する部分があったりということも見えてきます。

ヴィンテージというくくりでのとらえ方のことを書いていきましたが、先入観から入るのはあまりよくない、いうことも書いておきます。いいヴィンテージ、そうでないヴィンテージ、というのを目にすることもありますが、先に書いた通り色々な目線がありますし、全体として質が高いのか、長く熟成することができるワインが生まれた年なのか、などということでも色々な見方から良い悪いということができてしまいます。
なので、気候や生産量、どういう傾向のワインになるのかということをある程度理解してからヴィンテージという見方をしてみるとよいかと思います。また、同じ地域であっても局地的に傾向が全然異なる場合もあり、造り手と話しているとそのヴィンテージでイメージしていたこと真逆なことを言っていたということもあります。
それと、ドイツの場合では、酸の出方(果実味などバランスも含めて)はヴィンテージの特徴としてとらえるべき一つなのですが、モーゼルでは2016年は酸が強めに感じるのですが、ファルツではそうではなかったり、ラインガウでは2015と2016が酸の出方が全く逆、というような話も今回のドイツ出張では話をしました。

知れば知るほど深いので、理解する、というのはドイツワイン専門として仕事にしていてもなかなか難しいと感じているのですが、決めつけずに感じていく、というスタンスが特にドイツワインでは楽しめるかと思います。勉強、考察しよう、ではなくそういうやり方だとより楽しみながらワインを飲んでいけます。好奇心により考察をしていくのが、ドイツワインの場合はより深く知っていけるかと思います。



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2018年05月25日

2017ヴィンテージについて 自然に向き合う大変さが表れた年

今年新しくリリースされる2017ヴィンテージについて少し書きます。
醸造所やマインツで行われたVDP加盟の醸造所が集合する新酒試飲会でもたくさんの2017ヴィンテージを飲んだので。


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昨年訪れた3月のプロヴァインの展示会くらい前年収穫したワインが試飲で出回るようになります。
4月くらいにはすでに販売を開始されるものも多くなり、今回訪れたVDP新酒試飲会では大半がニューヴィンテージ(2017年産)の試飲となります。しかしまだこの時期は、まだボトリングされていなくてタンク、樽から直接とってきた、いわゆるファスプローベFass Probeのワインもたくさんあります。
前の記事で書いた通り、ドイツは早くから販売されることが多い傾向にあり、そのため展示会でも新しいヴィンテージの試飲をたくさん出しているのですが、時間が経ってこそ良いワインになるものも多く、この時期で質を判断するのは難しいワインもたくさんあります。
そのこともふまえた上で2017ヴィンテージの話をします。

まずは2017ヴィンテージの大きな特徴を2つ。

1つは生産量がかなり少ないということです。
生産量は年の平均の20%減という数字が出ています。

4月末に全国的に氷点下となり、局地的ではなく大半のところで霜で芽がやられ、半分から70%くらいがダメージを受けてしまった生産者が多数ありました。これはドイツだけではなく、ブルゴーニュやオーストリアなど他の国でも起こったことなのでご存じの方もいらっしゃるかと思います。

その後、天候がよかったため新しく出た芽により少し生産量が回復したところもありますが、それでも平年よりは大きく量が減ることとなりました。加えて、局地的なこととして雹により生産量が減ってしまった造り手もたくさんあります。特に、実が成った状態での雹によるダメージは致命的です。
どこがどれだけやられたという話はあまり把握はしていませんが、試飲会などではラインガウでは収穫前の雹の被害がかなり大きかったと聞きました。エストリッヒの著名な造り手では生産量が半減してしまい、例年はアウスレーゼは、ノーマル、ゴールドカプセル、競売会用と分けて作るのにこの年はノーマル1種類にせざるを得なかったという話を聞きました。他にもそういう例がたくさんあると思います。
リューデスハハイムは少し気候が異なるので雹は降らなかったそうで、少しの違いで被害に合うか合わないかが決まってきます。霜も大きな範囲ですがその中でも川に近い、遠い、下、上などで被害に差が出てきます(ただこの年は斜面でも多くの霜の被害があったそうです)。
2016年は霜で所有していた区画の大半がやられてしまったけれど、昨年はその区画は無事だったなんて話も聞きました。
こういったことは毎年起きることで、生産者は被害に合わなければ感謝をし、被害に合ってしまったらその事実に向き合って進んでいかなければなりません。こういった話をしているとどの生産者も、自然と向き合って商売、生活しているのだからしょうがないことだ、ということを言っています。
2010年代からはずっと順調だった樹が霜や雹で昨年多くやられてしまったという話を畑で聞いてました。ところどころに新しく植えた樹があったりするのも、昨年やられたから、というのを聞いたりしました。ヴァインベルクの輸入している造り手には樹齢が80年を超えている樹の区画を所有しているところも多く、そういう話は本当に悲しくなります。


2つ目は収穫時期が早いということです。
夏は天候が良く、例年より半月くらい収穫時期が早かったそうです。史上最速、と言っているところもあります。早かったということはありあますが、被害を免れて残ったぶどうは健康に育ち、良質なぶどうを収穫できています。
収穫が早いことによりぶどうに差が出るのか、ということはここではあまり書きませんが、収穫タイミングが多いと樹につながっている時間がない、ゆっくり実が育った、という時とは少しキャラクターが異なるというのは明らかかと思います。いい悪い、というのは別にしてですが。

大きなまとめとしては、生産量は最悪、質は良かった、という年です。
消費者としては選んだ飲む一本がおいしければよいので、そのクオリティが平均的に良ければよい年、なのですが、造り手、インポーターにとっては量が確保できないと商売ができないので、クオリティの良いワインがある程度の量がなければ良くない年、という言い方をすると思います。


そして、実際に飲んだ感想なのですが、正直まだ傾向が見えません。
わりと同じようなタイプに感じました。酸は強くなく飲みやすい、というものが多く、低価格のグーツヴァインならば今飲んでもおいしく飲めるワインもいくつもありました。そういうワインは素直な味筋(薄いというわけではなく)というようタイプが多いかと思います。
しかし、まだキャラクターが出ていないワインも多いようです。収穫時期が早かったわりには、ボトリングは例年より遅めの傾向にあるようで、熟成がゆっくりなようで、飲むのも秋以降にするべきワインが多いのかなと思います。
試飲会ではその中でもポテンシャルを判断しなければいけないのですが、2017ヴィンテージはこの段階ではあまり傾向が見えない、というのも特徴かなと思いました。なんとなくですが、残糖が少しあるタイプのワインのほうがいいバランスになる年だったのかな、とは感じましたが。また、モーゼルのワインは、ボリューム感がある、酸がない、というのではなく、なんとなく重さがある、と感じたワインが多かったです。特にリースリング・トロッケン(辛口で)。
というように、味わいの面ではまだ参考にならないレポートとなりました。もっと早い3月に訪れた昨年(2016ヴィンテージ)のほうがもう少し傾向がわかったのです。


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そういった中でも毎年飲んでいる造り手、ワインだと、クオリティyこの先の変化がなんとなくは見えます。どういった傾向の年ということは説明できなくても、といったかんじですが。
VDP試飲会ではフランケンのビッケル・シュトゥンプの2017ヴィンテージを試飲しましたが、土壌違いのオルツヴァインのジルヴァーナーのポテンシャルは感じることができました。夏には決めて輸入したワインを販売します。


少し色々な話をつめこんで書いたので、ヴィンテージのことに関してはもう一度書こうと思います。



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