2016年09月24日

ファルツのシュピンドラーSpindler醸造所

もうだいぶ前になってしまいましたが6月のドイツ滞在の中の訪れた醸造所でまだ書いていないところがあるので書いていきます。
今回はファルツPfalzのフォルストにあるハインリッヒ・シュピンドラーHeinrich Spindlerです。
実はこの醸造所は昨年の11月も訪れています。ファルツの醸造所を扱いたいと考えていて所有している畑や価格帯からこのシュピンドラーを選び、扱いたい旨をメールで伝えたら快く受け入れてもらうことになり訪問したのです。実際に訪れてとても良い造り手だということがわかったので扱おうと考えたのですが、輸入したかった複数のワインの在庫がなかったり輸入スケジュールの関係で仕入れを見送っていたのです。その状態で再びドイツに行くことになったのですが、ここのワインはぜひやりたいと考えていたので少し気まずい状態ではあったのですがメールを送ったら再び快く受け入れてもらえることとなりました。
最初に訪れた際には複数の畑を車で案内してもらい土壌など細かい話を聞いて、地下のケラーにも入れてもらい収穫から2か月後の発酵が止まった状態のワインを樽から試飲させてもらいました。そういった話やこの醸造所の特徴などは、シュピンドラーのワインが入荷する10月後半にあらためてブログで書こうと考えています。今回は6月に訪れた時の様子を書いていき、その中でシュピンドラーの紹介も少し混ぜていく形にします。ファルツの産地の特徴も少し書きます。

ミュンヘンでDVPフランケンの試飲会に訪れた後、夜行列車でヴィースバーデンに向かい荷物を置いたのち、ヴィースバーデンからローカル列車を乗り継ぎ3時間かけて南下しファルツにたどり着きました。今回訪れたのは、ミッテルハートMittelhaardtというファルツの真ん中で著名な醸造所や畑が密集している地域です。ワイン街道Weinstrasseがあることでも知られています。ミッテルハートの北にバートデュルクハイムという街があり毎年9月に世界最大のワイン祭りと言われているヴュルストマルクトWurstmarktが開催されていて(ワイン中心のオクトーバーフェストと考えていただくとわかりやすいです)私も3回訪れています。
今回最初に降りたのはダイデスハイムDeidesheimです。この町には著名な醸造所がいくつかりワイン街道を観光する方は必ず訪れる街です。この町で一軒ビジネスとは関係ない部分で醸造所を一軒訪れてからシュピンドラーのあるフォルストへ向かいました。

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そんなに大きくはないダイデスハイムの町の広場には教会があります。この広場にあるダイデスハイマーホーフというレストランもあるホテルは首相が泊まったりして有名なところです。


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広場から続く道です。この周辺にも名の知れた醸造所が複数あります。


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フォルストはダイデスハイムから北に20分くらい歩いたところにあります。車だとワイン街道をまっすぐ行けばすぐなのでシュピンドラーが車で迎えに来てくれると言っていたのですが時間もあったのでぶどう畑の中を散歩しながら向かいました。
ミッテルハートの大半の畑は平地に畑があり、素晴らしい畑と言われている畑も平地にあります。これがモーゼルやラインガウと異なるところです。ファルツはそれらの地域よりも温暖で平地でもぶどうはしっかり熟すので斜面でなくても問題がないのです。それだけでなく土壌が辛口ワインに向いているのです。ヴァイサーブルグンダーなども造られていますがファルツのリースリングは他には存在感があり、著名な畑から造られるグローセス・ゲヴェックスは他の産地よりも高価格に設定されています。
また、平地なので畑の管理もしやすいので有機栽培、ビオロジック、ビオディナミの栽培が積極的に行われていてトップワイナリーも特別のことではないようにビオの認証を取得しています。ビオであることが大事なのではなく、良いワインを造るためにビオである、といえる産地です。


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フォルストForstはぶどう畑に囲まれた縦長の集落の小さい町で商店も少ないです。建物はダイデスハイムより小さいものが多く町の雰囲気が少し異なります。この通りが目抜き通りで、醸造所とレストランが数軒あります。


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目抜き通りの中にハインリッヒ・シュピンドラーSpindlerがあります。醸造所だけでなくレストランも経営しています。
先代の次男が醸造所を継ぎ、長男と先代の奥さんがレストランを切り盛りしています。
シュピンドラーはVDP加盟醸造所ではないのですが、VDPファルツではシュピッツェンタレントというシステムがあり、優秀で今後有望な醸造所を選び、VDPの試飲会やイベントなどのプログラムが組まれていて、昨年までそこに属していまた(1期は3年のようです)。2年前のグローセス・ゲヴェックスの試飲会でシュピッツェンタレントとしてこの醸造所も出展していたのがシュピンドラーを認識した最初でした。


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醸造所のゲストルームです。
前回は2014年産の試飲が中心でしたが(樽からは2015年産を飲みましたが)、今回は全て2015年産を試飲しました。
生産量がは多くなく自分のところのレストランでも消費している次のヴィンテージのがリリースされる前に大半が売り切れてしまうようです。


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シュピンドラーはクラスによってラベルを変えています。これは価格を見なくてもシュピンドラーを知っていればどういったクラスと価格帯のワインかすぐわかるのでいい試みだと思いました。一番右が畑名が記されているグローセスゲヴェックスのクラス(VDPではないのでGGは名乗っていません)のワインのラベルです。以前の等級でいうシュペートレーゼ、アウスレーゼクラス(辛口も含めた)に相当します。これらのみナチュラルコルクでグーツヴァインやオルツヴァインはスクリューキャップです。


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ミッテルハートの特徴として、小さいエリアごとに土壌が異なり、特性の異なるワインになる、ということがあります。大半がブントザントシュタイン(雑色砂岩)のエリアなのですが、ところどころに異なる土壌があり、それぞれのエリアを分け畑名がつけられています。特にフォルストはとても小さい畑だけがいくつかあり、複数の醸造所が少しずつ所有しているのですが、優れた畑なので生産量が少量であっても手放さず、そして高価なワインとなっています。大半はVDP加盟の著名なワイナリーが所有しそれらの畑のぶどうはリースリングのグローセスゲヴェックス(GG)という高価な辛口ワインになっています。
画像はフォルストの畑の土壌の説明です。畑の話は次回シュピンドラーのことを書くときにもう少し詳しく書きます。


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教会が見えますがこのエリアがキルヒェンシュトゥックkirchenstueckです。この他にFreundstueck、Jesuitengartenという小さなエリアの畑があるのですが、いづれもシュピンドラーは所有していてそれぞれの畑からGGクラスの辛口ワインをリリースしています。しかし他の著名な醸造所よりも価格が低くなおかつ質は劣らないので、数量が少ないこともあり毎年争奪戦となっているようです。2015年産も6月の時点で大半が売れているとのことだったのですが、キルヒェンシュトゥックのワインがとてもよかったのでお願いして2ケースだけわけてもらうことができました。


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一通りの試飲と輸送の過程の打ち合わせを終えてから今の当主のマルクス・シュピンドラーと昼食をとりました。暖かかったので外のテラスです。庭もありました。ワインまつりなどのイベントの時はこの芝生も活用するのでしょう。
彼は真面目そうで温厚な雰囲気ですがその中で時折ユニークなことを言うのがおかしかったです。
おすすめをきいて伝統的な料理で、と頼んだらこれが出てきました。自分でちゃんとチェックしていなかったのが悪いのですがこの2つはよく食べているし、もっと他の郷土料理が食べたかった、とは思いましたが、おいしかったのです。ザウアークラウトは絶妙な酸味で今まで食べた中で一番おいしくこの量でもすいすい食べることができました。
前回はより魅力的な料理を食べているので次に書く時に紹介します。


今回の記事ではシュピンドラーのワインがどういったものかまだわからないかと思います。入荷する時に書く記事とショップページでのそれぞれのワインの説明を楽しみにしていただければと思います。



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2016年09月05日

ヒルデガルトゆかりの料理とワインの集いの様子と感想です

日本にあるドイツ料理のレストランとしては最も有名で最初に名前の出てくる六本木一丁目のツム・アインホルンで会を開催しました。こちらでは一年半前に一度食事会をやらせてもらっていますが、今回はその時とはテーマが違い趣の異なる会となりました。
ツム・アインホルンの野田シェフはヒルデガルト・フォン・ビンゲンHildegard von Bingen(11世紀の修道女でさまざまな分野に影響を残した女性)のハーブを使った料理に興味を持っていて「ドイツ修道院のハーブ料理」という本も刊行しています。ヴァインベルクで輸入することとなったリューデスハイムのビショッフリッヒェス・リューデスハイムがヒルデガルトの建てた教会に醸造所を併設しているということもあり、ヒルデガルトのことを勉強しました。その中でツム・アインホルンでヒルデガルトをテーマにした会をできないかと打診したところ快く引き受けてくださったので、6月にドイツに行った時にヒルデガルトで造っているワインも入手しそれらとヴァインベルクで輸入しているリューデスハイムの醸造所のワインとヒルデガルトに関連する料理での食事会をすることとなりました。ヒルデガルトの修道院を訪れた時の様子はこちらをごらんください。


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まずはヒルデガルトについて野田シェフからの解説がありました。修道士たちの食生活をただす、健康を気遣うためにハーブ料理のレシピを多く開発したことなどをお話しいただきました。その当時はじゃがいもやトマトはなかったということも言われてみればそうだなと思いました。じゃがいもはアメリカ大陸からやってきたものなので。ドイツ料理なのにじゃがいもがない料理なのです。


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タルトにはトマトが入っていたり川魚ではなくメバルだったりと当時の料理の完全再現ということではなく、ハーブなどによる味付けなどヒルデガルトのレシピとはどういった系統のものかという雰囲気がわかりつつ、現代においしく食べられる料理、といったメニューです。事前にどういったワインを提供するかということを話して、野田シェフに料理の構成を考えていただきました。お話を聞きながらのゼクト以外のワインと料理を一種類ずつ合わせていく形となりました。


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料理が出たときなどに野田シェフからハーブや食材の解説をしていただきました。
僕も調理されていない根セロリは初めて見ました。


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こういったハーブの香りをかいだりなめたりしました。紅茶で使われているようなものや胃腸薬おような苦味のあるベルトラムなど面白い体験でした。


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提供したワインです。
Aヒルデガルト リースリング トロッケン
Bヒルデガルト リースリング シュペートレーゼ ファインヘルプ Sanctus
Eヒルデガルト リースリング シュペートレーゼ Scivias

当初は6種類の予定だったのですが予備として用意していたもう一種類のシュペートレーゼも提供しました。
ヒルデガルト以外のワインはヴァインベルクで販売しているので各ワインの紹介のページへリンクを貼ってあります。
ヒルデガルトのワインは全て2015年産です。他のヴィンテージも試飲したのですが、気にいったものが結果的に2015年産となりました。2番のラベルのものとヒルデガルトのシンボルをラベルにしているものの2種類の系統があり、後者はシュペートレーゼクラスのぶどうを使用していてワイン名にはヒルデガルトにまつわる単語が使われています。Eのワイン名になっているSciviasはヒルデガルトが執筆した有名な指導書で日本訳では「道を知れ」とされています。



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根セロリのサラダ。生クリームのとハーブのみの味付けです。こういった味わいには、きりっとしたAのような酸味がありフレッシュなリースリングの辛口がぴったりあいました。リースリングの酸の重要性はこういった料理でもよくわかります。Aのワインは、わざわざ日本で購入するほど、というわけではないのですが、現地で飲んだらとてもおいしく感じるドイツの風土、食べ物にあった(あまり料理を選ばないので)お手本のようなフレッシュなリースリング・トロッケンです。トロッケンではサマーワインというシリーズもあったのですがこちらのほうがコクがあって好みだったのでこちらを入手しました。


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野菜のタルト。ハーブの風味がとけこんでいます。野田シェフの腕も感じる料理として完成している素晴らしいものでした。
Bのファインヘルプは先のトロッケンがアルコール度数が11.5%だったのに対し12%で、収穫したときの糖度が高いので辛口よりもアルコールに変えていっても度数が高くボリュームがあるものになっているというのが参加者にも興味深かったと思います。甘いとは感じないけれど心地よいボリュームの残糖で野菜の料理との相性がとてもよいワインだと思いました。


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ヒルデガルトはいくつかの区画にブドウ畑を所有していますが、Bのワインは修道院の真下の斜面のエリア、リューデスハイマー・クロスターベルクKlosterbergの畑です。ここは砂岩に石英が混ざっている土壌だそうです。リューデスハイムはレスやシーファー、石英、といった要素が畑ごとに微妙に異なっています。畑のことを調べていたらこの隣にはクロスターライKlosterlayという畑もありこちらはシーファーとレスの土壌だそうです。なんで似たような名前をつけるの、とは思いますが畑名が異なるのには構成要素が違うというちゃんとした理由があるのです。昔は科学的な分析ではなく感覚でその違いがわかっていたのだからすごいです。


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メバルです。クリームソースでこちらも塩、コショウの味付けはありません。ヒルデガルトでも重要な食材であるスペルト小麦があります。スペルト小麦はヘルシー健康というだけでなく食感やこくといった部分で食材としてもいいものだということがわかる料理でした。
こういったうすめだけどコクがあり洗練された料理とまったりめだけど深みと奥に力強さもあるCのワインは最高の組み合わせでした。


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仔羊とレンズ豆の煮込みです。内側に力のある料理と、一見薄く感じるけれど力がありなおかつエレガントなDの赤ワインの組み合わせはとてもよいです。提供された時は少し温度が低かったのですが、時間がたつにつれこのワインの良さが出てきてほっとしました。一瞬でなくてゆったりと味わっていただきたいピノ・ノワールです。6000円というと高く感じるかもしれないけれど他の国の同価格のピノ・ノワールと比べたらとてもよいワイン、という感想をいただけました。


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デザートはかぼちゃのタルトです。砂糖の甘みが強くなくてもかぼちゃのうまみでホットできます。ツム・アインホルンといえばやはり一角獣の砂糖のデコレーションです。
甘口のシュペートレーゼはEのほうが甘みを感じ、Fはより複雑みがありシュロスベルクという畑の良さがわかるものでした。どちらがよいかは好みであり、どちらもおいしい甘口ワインだということは間違いありません。

ヒルデガルトで販売しているハーブティで落ち着きこの会は終了となりました。

豪勢と感じない味付けや食材でも幸せで特別な食事になるということを感じられる会になりました。一見物足りなく感じる料理でも、繊細なドイツワインと合わせると相乗効果でお互いの良さが引き立っていくのがよくわかりました。ヘルシーと(心の)贅沢という相反しなさそうにみえるものの共存ということを強く感じることができました。新しい体験をすることができた料理を提供してくださった野田シェフに心から感謝しています。
多くの方の想像するドイツ料理とは異なるものですが、こういった料理によりドイツの文化の幅を知ってもらえる機会になればと思います。ワインと料理が好きな方も、フランス料理などとは異なる合わせ方なので、ぜひヒルデガルトの料理とドイツワイン、というのを体験していただきたい、と思いました。


次回のヴァインベルクの会は9月22日新宿リースリングにてゼクト(スパークリングワイン)でランチの会です。さまざまなタイプのゼクト6種類をお楽しみいただけます。



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2016年09月04日

マルティン・ミュレン訪問

間があいてしまいましたが、ドイツに行った時のことの続きです。
モーゼルの醸造所のことが続いていますがこちらもモーゼルのマルティン・ミュレンMartin Muellenです。
醸造所のあるトラーベン・トラーバッハTraben-Trarbachはトリアーからは離れていますが、電車だけで行けるのでモーゼル川のエリアでは比較的行きやすい場所です。


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前回はヒューナーベルクの畑に一緒に行ったりレストランで昼食をとったりしたのですが、今回は時間をかけてじっくり試飲をしながら話をしたいと思ったので醸造所に向かうことにしました。
しかしここでアクシデントが。醸造所軒自宅のところに向かったのですが、ベルを鳴らしても誰もいなく人の気配がありませんでした。近くにケラーがあるのでそこにも行きましたが当主のマルティンはいませんでした。30分早めに着いていたので、行くと伝えてあった時間にまた来ようということで近くの畑を見たりしていたのですが、大雨が降ってきたので近くのカフェに避難してラドラー(ビールの炭酸割り)を飲んでいました。
で時間になったので戻ったのですが同じように人の気配がなく、途方にくれながらまた数十分後に行ってベルを鳴らしたら見知らぬ女性が出てきました。同居人?と事情はわからなかったけれど、マルティンと約束をしていることを告げて携帯に電話してもらったのですが出てくれなく、でもそのうち帰ってくると思うということだったので待っていました、それから20分くらいしてからマルティン登場です。約束は完全に忘れていたようで、朝からずっとぶどう畑で仕事をしていて戻ってきたところだったのです。まあ何にせよ会えたのでよかったのです。
汗だくだったのでシャワーを浴びるから待っててと言われ、それからいつもどおりの試飲がスタートです。なぜ知らない女性がいたかというと、マルティンの奥さんが病気で入院しているので、週何回か来てもらって家事やマルティンの食事を作ってもらっているとのことでした。息子はガイゼンハイムの大学に行っていて頻繁には帰って来られないし、マルティンが一人で畑仕事や営業のことをしているのはかなり大変なんだろうということが容易に想像できました。


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トロッケンから試飲をしていきましたが、途中でマルティンが、お腹はすいているかとたずねました。お手伝いさんが作った料理を食べるとのことだったのですが僕も昼はパンしか食べていなかったので一緒に食べることに。
どんぶりいっぱいの茹でたジャガイモとと白身魚のフライでした。典型的な家庭のドイツめしってかんじでこういうのもうれしかったです。ただふつうじゃないのが、上質なワインと合わせているということでとても幸せで特別なランチでした。これと合わせたほうがいい、と別のワインを出してくれたりして二人で楽しんでいました。食後にヨーグルトもあったのですが、これにはアウスレーゼと言って、酸と甘みが強くない複雑みのある2009年のアウスレーゼと合わせて食べたらとても幸せな気持ちになりました。ヨーグルトは普通のものでもとても贅沢をしたという気持ちになれました。


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朝から6時間以上ずっと畑にいたというマルティン、お腹がかなり減っていたようであっという間に平らげていました。フライが残っていたので食べる?と聞いたらじゃがいもをいっぱい食べればそれでよいという答えでした。20年前はどんぶりいっぱいのじゃがいもを一人で食べていたそうです。


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そういったことをはさみつつの2時間強の試飲、今回も畑の個性やヴィンテージによる違いの話をしながらあっという間に時間がすぎていきました。
2015年産はまだ販売を開始していないものも含めてたくさん試飲しました。この年は他の醸造所では骨格の太めのワインが多いのですが、ミュレンのトロッケンはアルコール度数が低くスラッとしているワインが多いのが印象的でした。ヴィンテージを決めつけるのではなく醸造所ごとで特性を把握するのが大事だとあらためて思いました。
2014年産で昨年試飲して気に入っていたものも今回よいと思いました。それらは2015年産と合わせて輸入予定です。11月から販売開始予定です。これだけ種類が入るとおいしいと思うのがたくさんあるのですが、価格も含めて日本で販売しやすいというものを選んでいます。貴腐のぶどうも混ざっているファインヘルプもとてもよかったのですが、5000円を超えた額での販売となると難しかったりするのです。

次の予定があったので別れを惜しみつつ、彼の家族の幸せを願いながら醸造所を後にしました。彼と一緒に飲んでいると何十回も一緒に飲んでいるかのようにホッとできるし楽しいです。でもその中でもしっかりとワインの話もしてるのも我ながらすごいと思います。
あまり口にはしませんが色々と大変だと思うのですが、実直にやっている彼のような人が報われてほしい、そのためには僕も彼のワインをちゃんと売らなければいけないと強く思ったのでした。


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別の日に再び車でモーゼルを訪れることになったのですが、車を止めてミュレンの所有するバラディースの畑を撮影しました。ヒューナーベルク同様、ミュレンにとって重要な畑です。ヒューナベルクは複雑みが出て、こちらの畑はより果実味が前に出てきます。次回はマルティンと一緒にこの畑を訪れたいと思っています。


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2016年08月16日

ファルケンシュタイン醸造所を訪れて

ザールのファルケンシュタイン醸造所Hofugut Falkensteinを訪れた時のことです。今回で4回目なので、畑やケラーの写真はあまり撮っていませんが、過去の投稿でも色々撮っていますのでそちらもご覧ください。
今回は途中でデジカメのバッテリーが切れてしまったので大半はipadで撮った画像となります。


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いつもどおり一番近い駅のコンツKonzで待ち合わせしてヨハネスと車で畑をまわりました。昨年からお父さんのエリッヒから醸造所の仕事の大半をまかされていて、訪問客の相手もヨハネスが対応しています。エリッヒも畑仕事は現役でがんばっているそうです。


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ここはニーダーメニンガー・ヘレンベルクNiedermenniger Herrenbergの畑で、ずっと南向きの斜面が連なっていて、右側がゾンネンベルク、その先に醸造所がありそこの畑名はファルケンシュタイナー・ホーフベルクとなっています。
正面の奥に見える丘がシャルツホーフベルクです。
左のほうに見える南西向きの斜面の畑はクレットナッハー・アルテンベルクで、ファルケンシュタインも所有しています。


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移動してアルテンベルクAltenbergの畑です。ここは熟しすぎないのと酸が強すぎないので、残糖の少ないトロッケンのリースリングに向いている畑です。土壌としてもシーファーだけでなく火山性由来のディアバスDiabasという土壌が混ざっているので、他の畑よりミネラル感と複雑みがあり、それが良い辛口ワインになる、という大きな理由のひとつでもあります。


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今回の6月の訪問は雨の話題が必ずあがりました。ここでもその話は多くしました。
画像の葉っぱはベと病というものにかかっているもので、これらの葉をしっかり除かないと実にも影響を受けてしまうのです。農薬を使えば被害は防げるのですが、ビオでやっている生産者(認定はとっていないところも含めて)は農薬を使わずに害から守らなければいけないのでとても労力を使うのです。
また、この日は晴れていたのですが、連日雨が降っていて、土の中は湿っていてその状態で晴れるから湿度があがりカビの被害が出やすくなってしまう、という話も聞きました。


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そして醸造所兼彼らの住居に向かいました。
おととし火事で一部焼けてしまって昨年訪れたときは外の壁もシートをかぶせて修復中だったのですが、外はきれいになっていました。


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実は上の写真でも猫が2匹寝ていて、アップで撮るとこのようになっていて3匹の猫が暖かい気候なので伸びながら気持ちよく眠っていました。
そして今回は天気が良かったので建物の中ではなく上の画像の左側に見えるテーブルで試飲をしました。


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一緒にこの場にいたのはラース・カールベルクで、アメリカにファルケンシュタインのワインを輸出するのを出助けしていて、今年から畑や醸造所の仕事も手伝っているそうです。

ここのワインは生産量が少なくゴーミヨでも評価が高いので、リリースする前に予約する必要があり、現地で試飲して輸入するものを選ぶのではなく、これまでのワインで傾向はわかっているので好みのタイプをメールで告げて予約しそのワインを確認するという形になりました。
2015年産の場合は11月に樽から試飲をしているのでなんとなくイメージはわかっていますが、あらためて飲んでどれも素晴らしいと思いました。特にアルテンベルクのトロッケンは素晴らしく、3人でワオ、と言っていました。今回のドイツで一番素晴らしかったトロッケンです。ただ、まだ若くフレッシュな時だったので、日本に輸入した際には印象は少し異なるとは思います。

甘口のシュペートレーゼは、2014年の印象が強かったので比較してしまっていて、感想を聞かれて少しイメージと違うと答えました。本数を少なめにしようかと思っていたのですが(事前予約では本数はおおまかに告げているだけです)、同じ畑の別のシュペートレーゼがあるからそれを試してみないかと、まだ瓶詰めしていないロットなのでケラーに行き樽から試飲しました。こちらのほうが好みで、まだ数はあるとのことだったので予約していた樽ナンバーとは別のロットのワインに変わりました。こういうこともあるので何度も訪問していても足を運ぶのは大事だと思うのです。


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その後は、ラースがワインセレクトに関わっているトリアーのアジア料理の店に3人で向かいました。
ワインバーというよりは食事をメインにする方が多く、フォーが料理の中心です。


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この日は大皿で何種類か出してもらい、ワインを飲みながら料理を食べました。けっこうパクチーが入っています。


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この卵焼きみたいのがとてもおしかったです。


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ファルケンシュタインともう一本ラースとヨハネスのお気に入りを飲みました。
ファルケンシュタインはヘレンベルクのファインヘルプですが予約しているのとは別の樽のもので(同じ畑でも区画ごとにわけてそれぞれの樽で発酵、醸造し、ブレンドしてないで別のワインとしてリリースしています)、これが飲めたのもよかったです。自分が選んでいるものより複雑みがあり、ラースがこういうのが好きなのはよくわかり、選ぶ人の好みは反映されるなあと思ったのでした。
そして少しの辛みやパクチー、卵にファルケンシュタインのファインヘルプがとても合うのがよくわかりました。ヨハネスもこういうものと合わせるのが大好きで、たまにこの店を訪れると言っていました。


いつもは午前中に訪れていたのですが、今回は夕方に訪れて夕食も一緒だったので今までより長い時間話すことができましたがそれでも話したりませんでした。ヨハネスの人柄は日本のみなさんにも知ってほしいのでいつか日本に来てほしいなあと思っています。本人も望んでいるので数年以内には実現できると思います。



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2016年08月14日

ベルンハルト・アイフェル醸造所にて

ベルンハルト・アイフェルBernhard Eifelを訪れた時のことを書きます。

モーゼル中域ピースポートの近くの醸造所にいて当主のアレキサンドラのお父さん(前当主)に迎えに来てもらいトリッテンハイムへ向かいました。
ここは自宅兼ケラーに加えて上の階はゲストハウスになっていて毎回泊まっています。レストランも経営していたのですが、多忙のため家族の夜の労働は厳しいということで昨年末から営業をやめているそうです。


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入り口の壁にはこういうものがはりつけてあります。アイフェルは少し離れた3つの土地の畑を所有しているのですが、それぞれの畑の土壌の石です。どこもシーファーなのですが石の色が異なるのがお分かりかと思います。そしてロングイッヒの土壌は石がわりと細く砕かれたているというのも表現しています。これらの違いにより水はけや保温などの条件が変わってくるのです。

部屋に荷物を置いてからいつものように一階で試飲をしたのですが、今回はアレキサンドラだけでなく旦那さんも一緒でした。
畑違い、辛口から甘口まで順にリースリングを試飲していきます。この醸造所では扱いたいラインナップがある程度固まっているので新しいヴィンテージがどうなのかという再確認と毎回輸入していない枠の2、3種類をどうするかということを考えながら試飲していきました。6月のこの時点で数が少なくなっているものや売り切れになっているものもあり、そういうことも聞きながら次回の購入のことを考えていきました(実際の注文は帰国してからします)。何を選んだのか、なぜ選んだのかはそのワインが輸入されてきてからあらためて書きたいと思います。

会話の中で印象的だったのは、2015年はドイツでは質も量も充分な年という言われ方をしているのですが、アイフェルは2014年のほうが量は多かったそうです。2014年はアンナベルクの畑が収穫量が少なく例年よりワインのラインナップをひとつ減らした、という話を聞いていましたが、2015年は全体として充分な量が収穫できなかったとのことでした。総量というよりは貴腐などがついたためクリーンなぶどうによる辛口、中辛口にするぶどうが少なかったという意味合いも含まれていると思います。
質としては、アイフェルはヴィンテージによる差がそんなにないのが特徴で、2015年産もどれもよかったです。

もうひとつ、シュヴァイッヒャー・アンナベルクの畑はロートリーゲンデンという土壌のな名前をワイン名にしているワインがあるのですが、この赤底統という土壌がモーゼルでどういうふうに成り立ったのかというのを聞きたくて質問したら、この畑は全てシーファー(粘板岩)だと言われました。赤底統と粘板岩は別の土壌じゃないの、と少し腑に落ちないままそのやりとりはやめました。
そして帰国後にドイツワインの土壌をテーマにしたセミナーに参加する機会があって、その話を講師の方にしたら、別の時代の層がのかってその新しい層が下の層にしみこんで一体となることがあると言っていました。この土地の場合はシーファーの上に火山の噴火の影響によってできた赤底統の土壌が重なり、シーファーにその要素がしみこんでいる、ということが考えられます。溶岩の影響でシーファー自体が赤くなっている部分もあり、全体としてはローテンシーファー(赤色粘板岩)と呼んでいるということかと解釈しました。ごつごつした岩の部分だけではない、というのが赤底統の影響を受けているからとも言えると思います。


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一通り試飲した後は彼女らの行きつけのイタリアンにご夫婦と。暑い時にはビール、と彼女らも言っていて一緒にビールから飲み始めました。
試飲の時はテクニカルな話が中心となりますが、こういう食事の場などでは好きな食べ物の話とか色々な話ができます。なぜ彼らがこういうワインを造るのか、というのを人柄や生活からも感じることができて、そういうことを知り造り手がどういう人なのか、ということを伝えるのもインポーターの大事な役割だと思っています。


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部屋から声が聞こえたので覗くと家族が自転車に乗っているところです。アレキサンドラは2児の母で、醸造所とゲストハウスと育児とで毎日かけまわっています。立っているのはアレキサンドラのお母さんです。お母さんたちにも毎回とてもよくしてもらっています。


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翌朝は川沿いまで散歩しました。街から橋がかかっている先の丘がトリッテンハイマー・アポテーケTrittenheimer Apothekeです。モヤがかかっていて、これが保湿作用を生んでいます。


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橋から街側を。奥に見えるのがトリッテンハイマー・アルテーヒェンの畑です。


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もう一枚アルテーヒェンとトリッテンハイムの街並みです。


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ここの朝食がドイツで一番好きです。パンもとてもおいしいのです。


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甘口をもう一度確認したかったので、出してもらいカウンターの内側で試飲しました。
バス時間はぎりぎり間に合うだろうと思っていたら、角曲がったら停留所というところで目の前バスが見えてあわてて走ったり停留所で降りる人がいたので間に合いました。3分前なのに。危なかったです。

今回もご家族のやさしさに包まれた滞在となりました。
ベルンハルト・アイフェルの新入荷は11月の始めを予定しています。



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